unsnuffを終わらせるつもりだった - 「アストマタス」リリースに寄せて

2020.10.01よりunsnuffニューシングル「アストマタス」がデジタル配信という形でリリースされました。

この楽曲は2019.06.01に予告をしたもので、実際にリリースされるまで1年4ヶ月もかかってしまいました。

当初、この曲のリリースを皮切りにunsnuffを本格的に売り出すということを計画していました。自分でも躍起になって迷走しかけていたように思います。結局計画は頓挫しました。
そのとき、自分に「音楽をやりたい」という気持ちは一切なく、ただ「何でもいいからなにか成功したい」という想いしか無かったことに気づきました。計画が頓挫した瞬間、そこには何も残っていませんでした。

音楽に対するやる気を完全に失い、もう自分が音楽を作ることを想像すらできませんでした。自分の音楽に対する姿勢に失望し、人が音楽を頑張っている姿を見るだけで憂鬱になったほどで(自分と比べてしまうからマジで日本人の音楽を聴くことができず、アニソンか洋楽しか聴けなかった)、実はちょうど1年ほど前にかなり精神を病んでいました。Twitterで人の告知とかを見たくなさすぎてサブ垢作ってそっちにこもってたくらい。

このままもう二度と音楽を作らないかもしれないと思っていたとき、せめてこの「アストマタス」だけは世に出そう、そしてこの楽曲のリリースを最後にunsnuffとしての全活動を終了しようと思いつきました。

皮肉なことに、最後にしようと思うとやる気が出てきました。当初はお金をかけてプロにMVやジャケットデザインを依頼しようと計画していましたが、もう立派な形で発表することもないんだと、MVも稚拙ながら自分でフリーソフトを駆使して作成し、ジャケットも自作しました。

画像1

そのように「とりあえず作品を出す」という目的で肩の力を抜いて進めていると、わざわざ大仰に「全活動を終了する」と宣言することがくだらなく感じてきました。
今までは義務感で活動を続けてきたけれど、別に人気ミュージシャンでも何でもないんだから活動なんて自分がしたいときにして、したくないならやらなきゃいいんだと。わざわざ今終わらせる意味は何も無いなと気づきました。

そんななかで無事にアストマタスを世に出すことができたのですが、決して今回のリリースによって「また音楽をやりたい気持ちが湧いてきた」ということは、残念ながらありません。実を言うともう一年近くギターをケースから出してすらいません。
いつかの自主企画でも話したことがあるのですが、unsnuffとして音楽をやることに楽しさはありません。自分にとってunsnuffの作品を生み出すということは、とにかく苦しいものです。

このままもう二度と音楽ををやらないことも十分あり得ます。しかし、いきなりやりたくなってすぐにまた新しい作品を発表するかもしれません。それを今、どちらかに決める必要はないんだなと気づき、活動終了はひとまず飲み込むことにしました。
(余談ですがTwitterのIDをunsnuffとkudou_snuffで分けたのはこのためです。)

「アストマタス」は"astomatous"というマイナーな英単語で、口がない状態、転じて「無口」という意味を持つそうです。
カタカナで書くとなんとなく惑星の名前みたいだというところから、口には出さない内面の宇宙のようなものがテーマになっているような気がします。(この曲に限らずunsnuffの歌詞の内容は自分でもよくわかっていません)

もしまたいつか自分が作品を作ったり、人前で演奏したりするようなことがあれば、そのときはまたunsnuffとしてお会いしましょう。それまではunsnuffよ、さらば。
「アストマタス」をたくさん聴いてあげてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?