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「TUNIC」が自分の人生ベスト5に入るレベルのゲーム体験だった話

TUNICというゲームをご存じだろうか。2022年3月にリリースされたインディーゲームで、かわいいキツネの主人公と、ゼルダを想起させるグラフィック・デザインが印象的な作品だ。

自分がこのゲームを知ったきっかけはニンテンドーDirectの放送だった。2022年9月に、SteamからSwitch(とPlayStation)に移植された際にこのゲームが紹介された。
このゲームは操作方法も目的も最初は何もかもわからない。未知の言語で書かれた説明書の断片を集めながら手探りで冒険を進めていく」というゲームコンセプトと、ゼルダ的なゲームデザインに「面白そうだな」と興味を持っていた。

しかし実際にプレイするまでには至らず、ずっと「やってみたいゲーム」リストの中に埋もれていたゲームだったが、2023年の夏になってついに購入してプレイした。
そのきっかけはRTA in Japan SummerでこのゲームのRTAがあったからだった。「このゲームはネタバレによって面白さを著しく損ねてしまうゲームなので、これからプレイする予定のある方はプレイ後にアーカイブで見ることを強く推奨します」という解説者の注意喚起を聞き、気になっていたゲームだしせっかくなら自分がプレイしてから見たいなあと考え、そのRTAを見る前に購入に至った。

しかしこのゲームが、自分のゲーム歴を大きく揺るがすほどの衝撃の体験を起こすほどの作品になるとは思いも寄らなかった……。

まずこのゲームを始めて驚いたのがゲームシステムだ。
ゼルダ風のグラフィックで、恐らくゼルダ的な謎解きダンジョンが展開されるのかと思いきや、全くそんなことない。このゲームは完全に「かわいいキツネの皮を被ったダークソウル」だったのだ。
ダークソウルは例えではなく、篝火、ローリング、ソウルロスト、エスト瓶、どこまでも追ってくる敵など、ダークソウル要素がそのまま取り入れられていて、ソウルシリーズをリスペクトして作られているようなゲームシステム。序盤の目的も東西にある鐘を鳴らすことだったりと、オマージュといえるレベルのダークソウル・フォロワーだった。
巷で「ゼルダmeetsダークソウル」とか言われているみたいだが、正直ゲームシステムにゼルダ要素はほとんどなく、序盤から死にまくる難易度に「こんなはずじゃ……」となった。それでもめちゃくちゃ楽しんだ。

ボスが強いのはもちろん、リトライする際に道中の雑魚に慢心してやられたりする。
ダクソじゃん。

死にゲーアクション要素だけでも十分に面白かったが、やはりこのゲームの一番の魅力は「謎解き」だった。

ゲーム開始から一切何の説明もない中で、道中手に入れる説明書のページによって少しずつ明らかになっていくのが本当に面白い。
操作一つとっても、説明書を手に入れて初めて「そんなアクションができたの!?」と知ったり、ずっと「これ何なんだろう?」と気になっていた要素に対して「そういう意味があったんだ!」と後から知ったり……ページを手に入れるたびに新たな発見があって気づきが広がっていく。

ページを手に入れた途端に驚かされることも多いが、最初はページに書かれていることの意味が分からなくても、ゲームを進めていくにつれて「待てよ、ここに書かれていることってもしかしてこういう意味なんじゃないか……?」と後から気づかされたり、攻略に詰まったとき手持ちのページとにらめっこしているうちに急な閃きが降りてきたり……。
ゼルダ的な謎解きパズルとは違う、「説明書を解読する謎解き」に常に脳汁が出続けた。

説明書には誰かが書き残した手書きのメモも見受けられる。一体誰のメモなのか…?
シナリオの謎も多い。

さらにこのゲームは、その謎解きによって起こる新たな展開が毎回予想外すぎる。
自力で謎を解いて、そこから予想の斜め上な展開が起こるたび、「このゲームすげぇ…」と絶句することになるが、その「このゲームすげぇ…」が最後の最後まで更新され続けていく
「このゲームってこんなにすごかったんだ」がどんどん上塗りされ、最終的には購入前のイメージからかけ離れた、とんでもないゲームが眼前に広がっている。

何を言ってもネタバレになるので抽象的な言い方しかできないことを許してほしいのだけれど、特に、ストーリーももう終盤と思えてくる頃に入手できる説明書の43ページを発見した途端、この世界のすべての見え方が変わり、ゲームそのものが変わってしまったような感覚にさせられたのは物凄い体験だった。

なんてことのないフィールド画面だが、終盤は見方が一気に変わってしまう

そこからは友達と画面共有をしながら一緒に巨大すぎる謎解きに挑んだ。夜な夜なdiscordで通話しながらあーでもない、こーでもないと話し合い、それでも毎日雀の涙程度の進歩しかなかったが、少しずつ巨大すぎる謎のピースが集まっていく感覚がたまらなかった。

このゲームのせいで睡眠不足にすらなっていたある日、一人で説明書を隈なく見ているうちに突然ひらめきが降り、自分の部屋にあったスケッチブックに手書きで大きなメモを描きながら最後の最後の謎が解けた瞬間は、手が震えて一人で意味もなく部屋の中をウロウロしたほどだった。

こんなゲーム体験はこれまで体験したことのないものだったし、これからもなかなかできるものではないだろう。
世界に潜む謎を解いていくタイプの謎解きゲーというのは恐らく他にもたくさんあると思うが、TUNICはあくまでアクションゲームで、かわいらしいキャラクターと雰囲気を持ちながら、未知の言語で書かれた説明書を集めて読み解いていく、というのが唯一無二の魅力であると思う。

割と序盤から行ける「山の中の扉」という場所。しかし進み方がずっとわからない

このゲームの100%クリアは本当に難しくて、自分も実績解除の最後のひとつだけは攻略を見てしまった(攻略を見てもなぜこうなるのかよくわからないレベルだった)けど、それ以外は自力で(友人の知恵も借りつつ)解いたので、これでも相当頑張った方だと自負している。
しかし、このゲームの最大の謎はゲーム内100%をさらに超えたところにあったわけだが……それは君の目で確かめてくれ!(Vジャンプ)

単純にグラフィックや音楽も良いし、主人公のキツネがかわいい

このゲームはあまり有名ではないのか、特に日本語の攻略サイトはほとんどない。youtubeには海外ニキによる考察動画がたくさんアップされていて、自分は英語がわからないのでハンカチを噛んでいる。
日本でももっと注目されてほしいゲームだ。みんなにやってほしいが、アクションも謎解きも高難易度なのでなかなか勧めづらい……(アクションの難易度は下げたり、なんなら無敵にすらできるけど)。
しかしゲーム好きな人、謎解きが好きな人にはぜひこのゲームを体験してほしいと思う。クリアしたとき、必ず衝撃のゲーム体験ができることは保証する。


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