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本「赤ちゃんは顔をよむ」を読む。

はじまり

ネットでいろんな動物の見え方を、時々検索する。
それを自分にインプットして、
お散歩するたびに、あぁ、この猫さんはそんなに見えてないのだ、と思い
声で話しかけるようにしたり、
鳥さんは視界が広いから、見えてないと思って変な動きをして
びっくりさせないようにして、一緒に遊んだりする。

見え方に興味があるものの、「人間」の見え方にはそんなに興味がなかった。

見え方に興味を持ったのはこの前の記事でも話しましたが
(こちら↓)

奈良美智さんの絵を見ながら、

・デフォルメ
・淡い
・コントラスト(輪郭線)

これらの見え方は赤ちゃんが好む見え方なのでは?となんとなく考えました。

そこで
「赤ちゃんは顔をよむ」 山口真美著
を読んでみることにしました。
読んだ結果、やっぱり奈良さんの作品は理にかなっている部分があると感じられました。

「赤ちゃんは顔をよむ」

視力

・6ヶ月で大人の0.2程の視力
眼球のサイズが小さいためレンズの焦点は網膜の後ろで結ばれる(大人の遠視の状態)
明暗のコントラストのはっきりしたものでないと見えにくい

・水晶体の調節が大人並みになるのは4ヶ月
4ヶ月後の発達は脳の処理能力の発達とともに、大人と同じ見え方に段々となっていく。

・視力が大人並みになるのは4〜5歳から
大脳皮質が大人と同じになるのは11歳

ぼやけた世界が、考えていたよりとても長い間続いていく=幼少期はぼやけた夢のような世界で生きているのかもしれないと、感じた。

私は目が良い方なので、くっきりした世界しか知らないと思い込んでいたが、
ぼんやりとした世界も知っていたのだと、この本を読むことで確認することが出来た。

生きる

・生後数十時間の新生児でも表情の変化に気づく
笑みと悲しみでは口周り、驚きでは口と目を交互に注目する。

・4ヶ月の赤ちゃん・・・喜びや微笑みを、怒りや悲しみや無表情の顔よりも好んで見る。
・7ヶ月の赤ちゃん・・・反対の結果になる。

・なぜか→赤ちゃんは珍しいものに注目する性質があるから
微笑みに馴れて、驚きや恐怖の表情は珍しく映る。

3歳〜5歳の
・養育を放棄された子
表情を「悲しい」と判断しがち
・虐待を受けた子
「怒り」と判断しがち
・親のする表情につられて、表情の判断が決まっていく。

・7ヶ月頃からお母さんの顔色を伺う
12ヶ月の赤ちゃんの実験
視覚的断崖(トリックアートの崖のようなもの)の先に
不安そうなお母さんがいる→渡らない
微笑んだお母さんがいる→渡る

・アジア系の人種「幼形化(ネオテニー)」
日本人の男女の顔の男女の差は眉と輪郭
アジア系の男女は骨格・形態的な特徴の違いが小さい。

自分の絵は無表情なことがほとんどだが、それはあまり表情の認識ができる環境にいなかったからかもしれない。
表情のその内側を知りたい、という気持ちがあるのもそうだが、そもそもそういう発想になるということは、表情と感情がリンクする環境で育たなかった可能性があると感じた。

奈良さんの絵は怒った目に微笑んだ表情であったり、微笑んだ目に不機嫌な口であったりするが、その表情のギャップの面白さ(ここで言う珍しさ)が人を潜在的に惹きつけているのかもしれないと思った。

生き抜く

・カージオサイド変換


生まれたては宇宙人みたいだったお顔が、
成長するにつれ、まんまるの可愛い顔になるのは
あっち行ったりこっち行ったり
いろんな物を口に入れたりする時で
それは一番注意しなくてはならない時。
その時に可愛さ全開になって親に注目してもらう。

この本ではたくさんの実験結果が記されている。
アジア系の人種の特徴や、顔のバランスについてのカージオサイド変換は絵を描くときに意識したいと思う内容だった。

終わりに

「赤ちゃんは顔をよむ」というタイトルの通り、赤ちゃんは親の顔を見ることで学び、社会を知り、脳も心も発達させていくことがわかりました。
自分の絵の人物は大人目線なんだろうか、それとも子供目線なんだろうか。
どんな心で顔を見るのか、今一度考えてみたいと思いました。

こちらの本は平成25年が初版の本。当時の最新技術であらゆる視点から、実験が難しい赤ちゃんを観察した結果が書かれています。
ここでは箇条書きで主に結果しか書きませんでしたが、詳しい内容が見たい方はぜひ、読みやすいので手に取ってみてほしいです。

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