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【MTG】Fallout:ならず者レビュー+元ネタ解説

 前回『【MTG】カルロフ邸殺人事件:新録ならず者レビュー』に引き続き、今回もマジック:ザ・ギャザリングの新セットに新たに収録されたならず者をレビューしていく。

 今回はゲーム『Fallout』とのコラボということで、元ネタも解説しておこうと思う。Falloutは大好きなゲームなのですべてのカードの元ネタについて語りたいところだが、そんなことをすると過労で死ぬので止めておく。


新録

トンネルスネーク、ブッチ・デロリア

 威迫2/2で攻撃するたびに自軍のならず者や蛇の数だけ強くなる。ならず者が横並びしないと厳しいが、自分でトンネルスネークに勧誘することが可能。威迫カウンターが乗るので《歩く墓場、髑髏茨/Skullbriar, the Walking Grave》でもワンチャン……ないか。威迫はあまり強くないので。蛇トークンを生成するカードもあるが、緑が多いのでその辺は逆風か。

 元ネタは『Fallout3』に登場するコンパニオンの1人。主人公と同じVault 101に住み、トンネルスネークという悪ガキ軍団を率いている。蛇関係の能力を当てられているのはそのためだろう。ラッドローチが大の苦手で、物語冒頭で彼の母親をローチから救うと感謝される。美容師でもあり、彼がいるといつでも髪型を変更できる。

パウダーギャング

 唱える際に追加コストを支払うとコピーであるトークンが出てくるキーワード能力「分隊」を持つならず者。出たときの誘発でアーティファクトを破壊できるのは、強力かつ厄介な置物が蔓延る統率者戦では嬉しい効果。
 個人的に、統率者戦において強いカードはゲーム展開のどの進度で引いても使えるカードだと思う。1マナのカードを10ターン目に引いても仕方ないし、逆に8マナのカードが1ターン目のドローで来ても困る。分隊のような能力を持っていると自分のマナベースに合わせて使い分けられるので便利。

 元ネタは『Fallout:New Vegas』に登場するレイダー集団。つまり雑魚キャラの勢力。NCRという政府組織に捕まり刑務所に収容されていた犯罪者だが、NCRが戦争で疲弊したこともあり暴動を起こして刑務所を乗っ取ってしまった。名前の由来はダイナマイトを多用するところから。主人公が眼を覚ます物語開始の街グッドスプリングスへ因縁をつけたことから、プレイヤーと真っ先に敵対することの多い勢力でもある。

ミステリアスストレンジャー

 戦場に出たとき、各プレイヤーの墓地からインスタントかソーサリーを追放してその中から1つを無作為に唱える。1人だけが強力な呪文を墓地に落としていると一気に爆アドだが、スカると普通に1マナや2マナの呪文を唱えることになる。この色なら黒との組み合わせで手札破壊を利用することになるだろうか。ウィノータで使っても強そう。

 元ネタはシリーズを通して習得できるPerkの1つ。Lukに依存する能力で、戦闘中に突如として守護天使が現れ敵をハチの巣にして帰っていく。これのおかげで、強敵相手にも守護天使ガチャで当たるまで粘るという戦い方が可能である。存在は長年謎に包まれていたが、『Fallout4』で探偵ニック・バレンタインが正体を調査していることからカードのように本当に実在の人物なのかもしれない。

反骨のスクライブ、ベロニカ

 攻撃するたびにルーティングを行い、土地ではないカードを捨てるたびにジャンク・トークンを生成する。ジャンク・トークンはタップで生贄に捧げると衝動ドローを行う新メカニズムである。時間制限つきの衝動ドローとはいえ、カードを捨てるたびに1枚ドローしているようなものなのでアド損となりにくい。また、ジャンクはいつ生贄に捧げてもよいのでタイミングを自分で操作できるのもいい。墓地利用したい場合でも墓地を肥やしながら手数は維持でき、プロスパーのデッキのように追放領域からプレイすることを中心に考える場合でも継続的に能動的に衝動ドローできるのは嬉しい。

 元ネタは『Fallout:New Vegas』に登場するベロニカ・サンタンジェロ。西海岸BOSのモハビ支部に所属するスクライブで、ウェイストランドに出て情報や資材を集めたり偵察したりするのが仕事となる。主人公と旅をするコンパニオンの1人であり、ブーンと共に強力無比な戦闘力を誇る運び屋の両翼。ただし、モハビではBOSの立場が悪いせいでいいエンディングを迎えにくい。イラストは彼女が近接戦闘に優れていることを表現している。

 ちなみに、統率者デッキの看板となっているマジソン・リーもBOS関係者だが、ベロニカは東海岸BOSの系統なので組織の毛色は少し違う。反面、日本語吹き替え声優はともに甲斐田裕子氏である。甲斐田氏は洋画の吹き替えでミシェル・ロドリゲスも演じており、《Holga, Relentless Rager》(映画ダンジョンズ&ドラゴンズのホルガ)もその一例である。つまり、赤を含むマジソン・リーを統率者にすると全員使うことができる。甲斐田氏は洋画やゲームの声優を担当することも多いので、今後コラボセットでさらにカードが増える可能性もある。バイオハザードのクレア・レッドフィールドが最有力候補では。(マーベルコラボがなければワンダーウーマン/ガル・ガドットが最有力だった)

問題解決人、ラウル

 自分のターンに切削されたカードを唱えることができる。ただし自分の墓地だけだし、マナは支払う必要もある。能動的に切削するときは墓地にカードを貯めたいときだが、落ちたらまずいカードを掬い上げることはできる。

 元ネタは『Fallout:New Vegas』に登場するグールのラウル・テハダ。グールは放射能の影響で不老となった人類で、彼は戦前から生きる人物らしい。家族を失った不幸な身の上からかなりの皮肉屋だが、Falloutの雰囲気にはぴったりで人気は高い。フレーバーテキストで言及されているイダルゴ農場はゲーム中に登場しないが、恐らくメキシコにある彼の出身地。戦後の食糧難から難民の受け入れを拒んだところ逆恨みされ、農場に放火されて妹以外の家族を失った過去がある。その妹も後にレイダーに殺害され、彼は農場唯一の生存者となった。

自由の階、デズデモーナ

 攻撃するたびにアーティファクトかマナ総量3以下のクリーチャーを脱出させられる。赤白には珍しい効果かもしれない。脱出コストはマナ総量+2枚追放なのでマナの踏み倒しは難しいが、厄介な妨害系の置物を延々使いまわすことは可能。

 元ネタは『Fallout4』に登場するレールロードのリーダー、デズデモーナ。手にしているのはレールロード愛用の兵器レールライフル。レールロードは人格の芽生えた人造人間の逃亡を助ける組織で、実は『Fallout3』の時点で1人だけメンバーが登場するなど、その存在は早期から設定されていた。アーティファクトに脱出を与えるのは人造人間をインスティチュートから逃がすフレーバーを再現しているのだろう。イラスト背景はインスティチュートの人造人間工場だが、本編で彼女がここに足を踏み入れることはないはず。

再録

病的な日和見主義者

 ここからは、せっかくなので再録も見ていく。
 病的な日和見主義者はクリーチャーが死亡するとドローできる効果を持つ。自分がコントロールしている必要はないため、クリーチャーが飛び交うカジュアルな統率者戦では強力の一言。

 アートの元ネタは不明だが、単にモブのレイダーに見える。レイダーアーマーは種類も豊富であるため、どの作品かも曖昧である。

つむじ風のならず者

 名前にならず者とついている、ある意味筋金入りのならず者である。出たとき能力で飛行機械を2体作り、アーティファクト2つをタップするとアンブロックを付与する。どうしても攻撃を通したいクリーチャーがいれば活用しよう。

 アートの舞台はダイアモンドシティ。背後にタハカシがいるので確実だろう。後ろにはスタジアムの電飾も見える。ただ、中央の人物の武器と服装は明らかにインスティチュートのそれであり、どういうシーンなのかは不明。そもそも、人造人間がこの格好で外部にいることが稀である。

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