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3つの原則をおさえて、見る人に感謝される発信にする方法

スマホを使う現代人を、
もっとも頻繁にイライラさせているのは、
腹立たしい広告に違いない。

と本気で思っています。

同時に、そんな広告の時代は
そろそろ終わるんじゃないか
とも考えています。


なぜかというと、非常にコスパが悪い。
長く続けられるもんじゃないのです。

というわけで、今日は“煙たがられる広告”と“感謝される広告”について語ります。情報発信をする際に、参考になるかもしれません。

【そもそも、なぜ邪魔に思うのか?】


煙たがられる広告はどんなものか。
ということを考えてみます。

自分の関心にまったく合わない
商品やサービスを「すごいでしょ?」
と一方的に、何度もしつこく押しつけてくる

端的に言って、これに尽きます。

さらに加えるなら、下品である、というもあるでしょう。眉を顰めたくなるような、売っている人の品性を疑うようなショートアニメを使っている場合がよくありますね。見ていて気分が悪くなる。

こういう広告を見て、「買いたい」と思う人と、「ウゼェ」ってツイートしたり、友達と罵倒するネタにしたりする人、どっちが多いでしょうか?


おそらく、後者ですよね。

人は、基本的にネガティブな情報ほどシェアしたがりますし、身近な人がサービスの悪い店に行こうとしていたら止めます。同じ目に遭う人を減らしたいからです。

つまり、ウザい広告は、認知している人の中のアンチ率を上げてしまうのです。

【認知を上げれば売れる?】

もちろん、広く認知されれば、売上は上がります。

ただし、利益が上がることと、認知や売上が上がることは別物です。

1人の顧客に買ってもらうためにかかる費用が、商品を売って出る利益より多かったら、当然売れば売るほど赤字になります。

極端な例で示すと。

ウザい広告を出したせいで、認知1000人に対し1人が買っていた商品を、認知する10万人に対し1人しか買わなくなったら、非常にコスパが悪いわけです。

しかも、認知されれば一定数のアンチが生まれるので、広く知れ渡るほどにアンチの母数が増え、アンチ同士で共感者を見つけやすくなります。

ネガティブな評判ほど拡散力があるので、気づけば、みんなが知ってる「ウザい広告のサービス」になっていることでしょう。

こうなってくると、同じ会社の出した広告というだけで信用されなくなります。「10万人に1人も買ってくれていたあの頃が懐かしい」みたいになるかもしれません。

作っても買ってもらえないので、さらに広告にお金をかけます。しかも、商品はさらに安くするしかない。予算の都合上、品質が下がります。品質を徹底して高められない理由が、「ウゼェ」と思う人を量産するような、ただただ認知を増やすためだけの奇抜な広告にお金をかけているから、になっていくのです。恐ろしい。

そもそも、優れた商品・サービスは最低限しか広告しなくても売れていくのです。広告の前に見直すべきとところがないか考えるべきかもしれません。

というわけで、まとめると、ウザい広告は、信用や利益とトレードオフで手に入れるものです。言い換えれば、企業の寿命と引き換えになっているかもしれないということなのです。

『ONE PIECE』第579話「”勇気ある数秒”」


【優れた広告は、感謝される】

では、ウザくない広告(情報発信)は何かということですが。

最初の定義の逆です。

自分の関心にピッタリあった
商品やサービスを「あなたのために作りました」
と教えてくれるもの

こういうものになれば良いのです。

そのためには、3つ押さえるべきことがあります。

①ターゲット以外に届けない
②衝動買いもさせない
③「聞かせる」ではなく「教える」

以下で詳しく説明させていただきます。

①ターゲット以外に届けない

1つは、広告を出すとき、知っても買っても得がない人には広告を見せないことです。

もし、あなたが「Web広告ウザい」と 思っても、それはその広告が「あなたにとって」必要ない内容だからであり、全ての人があなたと同じように感じているわけではない

『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』より

役に立つ人にとっては、「教えてくれてありがとう」となるのが適切な広告なのです。(下品な広告は必要な人に届いても滅多に感謝されないでしょうけど)

ターゲットに合っている広告は、有用な情報として扱われます。

広告が「ウザい」と思われるか「有用な情報」と思われるかはその内容が「ターゲットに合っているか」による。

出典:前掲書と同じ

逆に言えば、

私の届けたいサービスを「頼むから売ってくれ」と言ってくれる人は誰なのか?「もっと教えてくれ」と懇願するのはどんな人か?

を考えて、その人に届くような届け方を選び、かつその人にとって最高に有益なコンテンツであろうとして作るべきなのです。

②衝動買いもさせない

「本来買う必要があまりない人」が
まちがいやその場の勢いで買ってしまう。

このようにして「必要以上の売上」が上がることは、短期的に見ればプラスですが、長期的に見るとマイナスです。

なぜなら、リピートに繋がらないことが多いからです。

そもそも、売上が増えると対応するための業務の量が増えます。初見の人を相手にする場合はなおさらです。

業務が増えたせいで、ひとりひとりへの対応が雑になれば、顧客満足度が下がります。

こうしてリピートに繋がらないお客さんが増えると、かける時間に対する利得が少なくなる一方です。

売上が上がってるのに、なんかしんどい、報われない感じがする、といった状態が生まれます。

どうせ業務が増えるなら、それが未来のさらなる利益につながってほしい。であるなら、衝動買いはさせないことです。最小限のドンピシャなターゲットに手厚いサービスをすること。

③「聞かせる」ではなく「教える」

ウザい広告を擬人化するとどんな感じか。

「みんな聞いて!私すごいの!きれいで、頭が良くて、誰とでも親しくできるの!来年はもっとすごいことになるわ!」

これを全校集会でしゃべっている感じです。
ウザい広告では、メッセージの主役が自分なのです。
加えて、誰に向けてしゃべっているかわからない。

しかし、感謝される広告は徹底してお客さんを主役にします。

何を望んでいるのか、何に困っているのか、ということに寄り添い、お客さんが変化していく物語を提供します。

私がいかにすごいか、ではなく、相手にとって何が有用かを考えて伝えているのです。

これも擬人化しますと。

相手の話をしっかり聞いた上で、「これ、〇〇ちゃんほしがってたよね?」「〇〇さん、このこと心配していたよね。もしかしたら役立つかもしれない情報があるんだけど」という形で話をします。


【広告の理想は、広告しないでいいこと】

広告をどうするかの話をしていましたが、
広告はいらなくなるのがいいという話をします。

広告の理想の状態は、
広告しなくてもいい状態です。


広告に莫大なお金をかけずとも、十分すぎるほど自社にピッタリの顧客が流れ込んできて、しかも「もっと売ってくれ。私の友人にも勧めたいんだ」と顧客が顧客を呼ぶ状態。

これが最高の形です。

そもそもの話ですが、次から次へと商品・サービスが生まれる中、「あぁ、おん、ありがと」みたいなレベルの感謝は拡散しません。

忘れられるからです。

人の関心は、貴重な資源です。みんな考えるべきことがたくさんある中で、そのごく一部を誰かの発信を見ることに捻出してくれているのです。

そんな中で「もっと売ってくれ。私の友人にも勧めたいんだ」と言ってもらうためには、大前提、感動レベルのものを作らなくてはいけません。

【第1ステップ】
価値のあるものをつくること。それも、誰かに伝える価値のあるストーリーを備え、伝える価値のある社会貢献ができるもの。

『THIS IS MARKETING ディスイズマーケティング 市場を動かす』より


逆に言えば、これをできていない状態で売り方をいくら工夫しても、利益の上がる仕組みは続かない、と言えるのかもしれません。

【完璧なマーケティング方針事例】

ここまで語ってきたことを完璧にやっている会社があります。

それが「北の達人」です。たぶん知らない人がほとんどだと思いますが、売上100億円近い会社です。なのに、必要な人にしか知られていない。巧なマーケティングができている会社です。

この会社の経営方針は、ぜひ読んでいただきたい。
非常に参考になります。

北の達人は、驚異的な利益率を誇る会社です。その秘訣は、「安い原料で作っているから」「品質を下げているから」ではないのです。

むしろ、品質は最高レベルと言っていい。

商品品質については全く妥協しませんので、商品原価は同業者に比べると比較的高めであり、また顧客サービスについても担当部署に対しては「採算を度外視して顧客満足を優先せよ」という方針で行っております。

北の達人HP 私たちの経営方針より


なんと、品質のために商品点数も絞っているくらいです。

我々が責任を持って顧客フォローできる範囲の、少数の商品しか販売しません。

これにより商品開発、商品生産ライン管理、受注や物流等のバックヤード負荷を低くして、その分のマンパワーをより顧客満足に当てるようにしました。

北の達人HP 私たちの経営方針より


では、なぜ利益が上がるか。
そのカラクリがこれです。

「多くの人に売る」というのをやめ、「必要としている人だけに売る」ことで、注文一件あたりに直すと経営が非常に効率化され、無駄なコストが急激に減ったのです。

一方で、浮いたコストとパワーを顧客満足に向けたため「リピート率が向上してきた」「クチコミが広がり、新規客が増えてきた」という具合に、売上が逆に急上昇していったのです。

天才かよ!
ブランドって、こうやってできるものなんでしょうね。


【僕のウザい広告撲滅作戦】

最後に、報告を。

僕は、ライターとして企業の発信をサポートしているのですが、その際、ここに書いたようなことを企業の方に伝えています。

よい認知とは、認知している人全体のうちの「本当に必要としている人」の割合が限りなく高い状態にあることだ。

だから、

特定の読者にとってドンピシャで有用な情報を届けよう。

短くて、来週には読んだことも忘れるような単発記事ではなく、繰り返し参考にしたくなるような連載をしましょう、と。

ひとつのテーマを決めて、特定の読者に役立つ、ひと記事ずつがボリュームのある、中身のクオリティーが高い連載をする。

というのが僕が提案する企画なのです。ひと記事を書くために、からなず3冊は勉強のため読んでいます。

こうして生まれた連載の一つが、300億円企業であるCROOZの執行役員諸戸友さんとの連載「High Growth」。ぜひ、気になった方は覗いてみてください。


<今回のお礼>

今回もコッテリした重量級の記事でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

もし何らかのヒントが得られましたら、ぜひ努力のいらない何らかの小さな一歩を踏み出してみてください

最後に、みなさんにひとつだけ。

よかったら、スキ・フォロー・シェア・コメントで応援していただけると嬉しいです。この記事が広まって、ウザい広告が減ったら嬉しいです。

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