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バイオリニストと呼ばれた日

昨日のことである。

「この食パン一枚もらっていい?
買ったら返すから」
「買い物行ってないから切らしちゃってて…」

相方(くぼちー)はリビングの
テーブルに置いてあった
ボクの食パン(未開封)を見てそういった

※うちは食事は各々。買い物も料理も各々なので食材等もそれぞれの物なのだ

「いいけど5枚切りだよ」

「え〜厚すぎる〜。サンドイッチ
作りたいから8枚切りがいいんだけど」

「俺も薄い方が良いんだけどさ
近所のGENKY(ドラッグストア)は
6枚切りからしか置いてないんだよね。
だから5枚切りを買って食べるときに
自分で10枚にスライスしてるんだ」

※なぜ5枚切りかと言えば、さすがに6枚切りでは薄くなりすぎて、スライス出来ないからである

「10枚切りの厚みでよければ今、スライスするけど、どうする?」

「じゃあ…お願い」

キッチンからパン切り包丁(ナイフ?)を
持ってくる僕。
パン切り用のまな板も一応あるけれど、
それは面倒なので持ってこなかった。

僕はテーブルの5枚切りの食パンを
一枚取り出すと
パンを左手もち(手は洗ってきた)
右手に持ったパン切り包丁で
スライスし始めた。

「わ、エアー(まな板を使わず空中で)で
スライスするんだ〜!」と相方

これはこれでけっこうなコツがいる。
そもそも新しい食パンは柔らかく
強く掴めば潰れてしまうので優しく掴む。
そして5枚切りとはいえ食パンを
『エアー』で均等にスライスするのは
簡単ではない。
ましてや新しくて柔らかい食パンは
パン切り包丁でも切りにくいので
包丁を小さく小刻みに動かして切っていく。

あくまで優しくである。


それを見ていた相方は言った

「バイオリン弾いてるみたい!!」

「くぼちゃんバイオリニストだよ!」


僕は昨日、バイオリニストと呼ばれた。

多分、相方には
僕がこんな風に見えていたんだろうな…

優しく5枚切り食パンをスライスする僕


おわり


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