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研究と就活と

はじめに

卒論発表も終わり、卒論も大方書き終わって一年間の卒業研究がようやく終わりそうになってきた今日この頃。
もっと言えば大学4年間がもうすぐ終わろうとしている。
大学院へ進学するので、まだ2年間は札幌で学生やっているものの、一応大学卒業という節目が近づいている。

就活も少しずつ意識し始めながら、働くこととは何だろうかとか、自分の強みって何だろうかとか
一方で大学院へ進学する意味とか、研究についてとか
研究、就活のその先の人生についても考えてみたり

色々頭の中で考えることは多いけれど、それをあんまりアウトプットできてないなーと感じたので、久しぶりにnoteを書いてみようと思う。
大きく分けて、研究、就活の2つについて自分なりに考えていることを書いてみた。(その先の人生についてとか、他にも考えていることはあるけれどそれはまた今度で)
あくまで僕なりの意見なので、読んでくれる方は大目に見てくれるとありがたい。



研究とは

研究ってなんだろう

大学4年のこの1年間は、研究室に通い卒業研究に打ち込んだ。打ち込んだといえるほど朝から晩まで研究していたわけではないけど、でもそれなりに頑張ったと思う。研究成果といえるようなポジティブな結果は残念ながら出なかったけれど、でもそれもまた研究だ。

簡単にこの1年間僕が取り組んでいた研究を紹介してみると、僕の研究は酵素の研究だ。もっといえば酵素を作る研究、どうすれば酵素を上手く生産できるかという研究だ。(本来はサクッと酵素を作って、どんな機能を持っているかどんな構造をしているかを調べたかったのだけれど、そこは置いておいて笑)
酵素とは、生き物の体の中で起こる色々な化学反応を手助けしているタンパク質で、私たち人間の体内には数千種類以上の酵素があるといわれている。
一番分かりやすい例でいえば、食べ物の消化を担っているのも酵素だ。

酵素の紹介はこれくらいにしておいて、僕の研究はというと、
深海の熱水噴出孔(マグマ熱で高温に熱せられた海水が噴出するところ)に生息する細菌が持つ酵素がどんな機能を持っているのか、というものだ。
この酵素の機能を調べるためにはまずこの酵素を作らなければいけないわけだが、僕はここに1年間費やした笑。
そして1年間費やしたのに結局酵素は作れなかったというオチだ笑笑笑。
酵素を作るといっても、正確には細菌(大腸菌)や酵母を培養して酵素を作らせるのだけれど、色々な条件で培養してみても僕の研究対象の酵素は作れなかった、というのがこの1年間の僕の研究結果笑。

と、ここまで簡単に紹介してみたものの、ほとんどの人にはチンプンカンプンだし、どうでもいいと思うようなものだろう笑。
そんな深海の細菌の酵素なんてどうでもいいし、それが作れようが作れまいが知ったこっちゃないだろう。
でも研究ってある意味そんなものだと思う。
他の多くの人からしたらどうでもいいようなことを突き詰めてみる。
そこに面白い発見があるかもしれないし、意外な活用の仕方があるかもしれない。

僕は2008年にノーベル化学賞を受賞された下村先生の話が大好きだ。
下村先生は、緑色蛍光タンパク質(GFP)という光るタンパク質を、オワンクラゲというクラゲから発見したことでノーベル賞を受賞した。
専門的なことは置いておいて、どうしてこの光るタンパク質がノーベル賞を取るくらいすごいものなのかといえば、この光るタンパク質を生物などを使った研究をするときに、光る目印として利用することができるからだ。
この話の好きなところは、下村先生の研究の原動力が、ただオワンクラゲという生物の発光の不思議を明らかにしたい、という純粋な探究心と好奇心だったというところだ。下村先生はノーベル賞を受賞したときに、
「この研究が役に立つとは思っていなかった」と話しており、どうしてクラゲが光るのか、という純粋な疑問を突き詰めた結果大きな成果につながった有名なエピソードだ。

何かへの応用を目的とした研究も必要だし、重要だと思うけれど、
やっぱり研究というものの根本にあるべきは人間の純粋な知的好奇心、知的探求心だと思う。
「どうしてだろう、なぜだろう」
シンプルな疑問を突き詰めて、その謎を紐解いていく。
そこに研究の面白さがあるし、明らかにした時の達成感があるんじゃないかと思っている。
題材はなんであれ、それこそが研究というものの本質なんじゃないかなと思う。

今世の中で盛んな研究は応用研究ばかりだ。
企業はもちろん、大学での研究も応用研究に大きくシフトされている。
(僕の研究室も酵素を応用した希少な糖や機能性のある糖の合成などを目的としている)
正直それは当然だとは思う。研究にはお金がかかるし、そのためにはお金がもらえるような世の中の役に立つ研究である必要があるからだ。

でも世の中の研究全てが応用研究になってしまってはつまらないな~と思うし、純粋な疑問から生まれる研究からこそ、意外な大きな発見や革新的な発明が生まれるんじゃないかと思う。
それは初めから何かへの応用を目的としている研究よりも、より広い枠組みで柔軟にアプローチできると思うからだ。
だからこそ応用的な研究だけでなく、基礎的な研究の重要性を理解しておくことは大事だと思うし、金銭面なども含め支援する仕組み作りが必要なんじゃないかと思っている。

少し長くなってしまったけれど、ここまでは僕の研究というものに対する考え方の話。

1年間研究というものを体験してみて

卒業研究を1年間やってみた感想を一言でいえば、
研究は難しい、でもそこが面白い
最初に紹介した通り、僕は1年間、酵素の機能を調べるために酵素を作るという研究をしてきたけれど、結局酵素は作れなかった。
つまり1年間研究してみたけれど何の成果も出なかったわけだ。
1年研究したくらいで成果が出るなら世の中の研究者たちはみんな苦労しないのだから、当然といえば当然かもしれない。
それでも、あれだけ色々試したのに上手くいかないもんなんだな~、研究ってやっぱり難しんだな~と身にしみて感じた。
そしてこのことを体感できたことが僕にとっては大きな成果だった。

これまでは答えのある問題や問いに答えることがほとんどだったが、答えの分からないものに、自分の手を動かして実験してみてアプローチするというのが面白かった。
先生と実験のプランを立てて、その結果から原因を考えて、また次の実験のプランを立ててみる。まさにPDCAサイクルぶん回しだ。
もちろん最終的にポジティブな結果が出れば最高だけれど、僕にとってはこの過程が楽しかった。そしてこの過程こそが研究の醍醐味だと思うし、その過程を楽しめるか、面白いと思えるかが大切だと思う。

基本的に研究は上手くいかないことの方が多いし、色々なところでつまずく。そこでいちいち凹んでいては研究は全く進まない。
だからこそ研究するのに一番必要なのは知識でも頭の良さでもなく、体力と根性、そして失敗も成功の元と思える精神力だと感じた。
もちろんある程度の知識は必要だけれど、そんなものは本気で研究と向き合えば自然と身につくし、一番重要なのは結果が出なくても凹まずに根気強く続けられるか、その過程を面白いと思えるかどうかだと思う。
ゴリゴリの体育会系のようなことを言ってしまったが、僕は本気でそう思っている。

そして何よりこのことは研究だけでなく、人生のあらゆる面で大切なことだと思う。
高校時代の野球部の監督が
「人生は基本的に上手くいかないぞ、でもそのなかでいかに少ない成功のために頑張れるかが大事だ」
とよく言っていた。(ちょっと違った気をするけど笑)
確かに人生は上手くいかないことの方が多いかもしれない、けれどそれも人生の醍醐味でそんな失敗こそが人生を面白くする、そう思えるかが大切だと思うし、人生を幸せに生きるために必要なマインドだと思う。

少し話が大きくなったが、
1年間研究してみて感じたことは、なかなかうまくいかない成果の出ない研究というものの難しさと、その一方で上手くいかないなりに試行錯誤しながら実験していく面白さ。
そして何よりこのことを体感できたことが一番の成果であったと思う。

何のために大学院へ行くか

僕の周りは大学院に進学する人がほとんどだ。
そこに何の疑問も持たず、周りがみんな大学院に行くからとか、就活が嫌だからとかいう理由で、あまり深く考えずに進学する人もそこそこいるように思える。(その程度で進学できちゃうことに問題があるのかもしれないけれど)
まあ気持ちは分からなくもないが、自分はそうはありたくないし、もうすぐ大学を卒業して大学院に進学する意味をここできちんと言語化しておこうと思う。

僕が大学院に行く理由はこの研究というものをもう少し体験したいからだ。
僕は研究者になるつもりはないし、大学院を卒業した後は就職するつもりだ。
じゃあなんで残り2年も研究するかと言われれば、これまで理系の知識を、もう少しいえば生命科学(生命科学は簡単に言えばDNAとかタンパク質とか、またそれらが関連した生命現象についての学問と思ってもらえらばいい)について学んできたことを、研究というものを通してより深く理解したいから。やはり自分の手を動かして学んだことは理解度も高いし、これまで学んだ知識はここで生かせるのか、という気付きも多い。
そして(これは次の「働くこととは」にもつながる話だが)これまで自分が学んできたことをより社会に還元するために、研究というものを通して、専門的な知識とそれを活用できる力を自分の強みとして身に着けたいから。大学までの勉強は専門的な知識を身に着けることに重きが置かれていると思うが、大学院ではその知識を活用することに重きが置かれていると思う。そして僕はせっかく色々な知識を学んだのだから、その知識を研究という形で実践してみたいし、身につけた知識を運用するという経験を得たいと思った。もちろん大学院でも新しい専門分野の知識はどんどん吸収する必要があるけれど、それらの知識を自分の手で活用するという経験を大学院の2年間で身につけたいと思う。


働くこととは

ぼちぼち就活のことも考え始める今日この頃。
就活支援の先輩メンターに面談してもらって自己分析やってみたり、研究室の先輩に業界の話ちょこっと聞いたり。

研究室で隣の先輩は最近はよく面接で休んでいる。
先日早くも内定を一つゲットしていてすごいな〜と思うし、俺も来年の今頃は内定ゲットして〜とか思ってみたり笑笑
まーそれは半分冗談で(でも半分本気笑)、とにかく就活を意識し始めて、働くことってなんだろうと考え始めた。

大学院を卒業したら、残りの人生の多くの部分を占めることになる「働く」ということ。
働くことの意味を考えることは、人生の意味を考えることと言っても過言ではないと思う。
きっとこの先「働く」ということに対する考えは変わるのかもしれないけれど、今考える「働くこととは」について書き残しておこうと思う。

働くこととは自分の強みを社会に付加価値化して還元すること

これが今思っている「働く」ということの本質みたいなもの。ちょっと小難しい言葉使ってカッコつけてみたけど、要するに働くこととは自分の強みを活かして社会に貢献すること。

この考えはUSJの経営復活を果たしたことで有名な森岡さんの本を読んで僕なりに噛み砕いたもの。働くことの本質についてすごく考えが深まる本で、全ての学生が読むべきだと思うくらい。

社会に貢献するという部分は置いておいて、僕が大切だと思っているのは、「自分の強みを活かす」という部分。自分の弱みや苦手なことを克服することよりも、自分の強みを最大限伸ばして活かすことに注力する。世の中にはたくさんの人がいるし、同じようなタイプの人はいても、それぞれ色々な強み弱みを持っている。だからこそ自分の弱みや苦手なところを強みとしている人は必ずいるし、自分の向いていないことはその人たちに任せておけばいい。逆に他の人が苦手としていることが自分の得意なことかもしれないし、その時には自分の強みを思いっきり発揮するべきだと思っている。そうやってお互いに自分の強みを提供し合って会社や企業といった組織、そして社会は成り立っていると思う。まさに自分の強みを価値(商品)として提供することで、その対価(賃金)をもらうということ。だからこそ自分の強みは何か、どんな強みを価値として提供できるかを考えることが、働くということについて考えることにつながると思う。

自分の強み、と言われてパッと出てこない人もいると思う。だけどどんな人にも周りの人よりも得意なこと、強みになるものがあるはずで、それに気づくために「自己分析」というものが必要だし大切なんだと思う。これまで生きてきた20年ちょいの間に自分の強みが発揮された経験があれば一番だし、そうでなくても自分が好きなことや得意だったこと、夢中になれたことの中に自分の強みが隠れていると思う。

自分の強みは

じゃあ僕の強みは何だろう。
自己分析とやらをやってみて、やっぱり僕の強みは
リーダーシップがあること、人前でも物怖じせずに堂々としていられること
これだと思う。
小学校の頃からリーダー的なポジションに就くことは多くて、人前に立つことも多かった。中学校の頃は生徒会長をやっていたし、実行委員長と名の付くものは大体やっていた記憶がある。
TABIPPOでもリーダーポジションに就かせてもらって、自分の中でリーダーの在り方みたいなものを考えるきっかけにもなった。

でもこれは根本にある僕の特性ではないことに最近気づかされた。
就活支援のメンターに
「いつからリーダーポジションに就くようになった?そのときのきっかけはなんだった?」
こんな質問をされて、確かになにがきっかけで僕はリーダーみたいなものをやるようになったんだろう?いつから人前でも物怖じしなくなったのだろう?と振り返ってみた。

振り返ってみれば人前に出ることが嫌だと思った記憶はほとんどなかったし、小さい頃から前に出たがりな性格だったかもしれない。
そして根本にあるのは僕の「目立ちたがり」という特性だと気が付いた。
とにかく目立ちたかったくぼた少年は、みんなの前に出ることを恥ずかしがらないし、リーダーという目立つポジションが好きだったのだろう笑。
リーダーになれば必然と目立つ。
目立てるから次もリーダーをやる。
そのうちリーダー経験を勝手に積むようになり、自分はリーダーポジションに向いていると思い込むようになる。
だからその後も自信満々でリーダーをやるようになる。
こうして声と態度がデカくなり、168センチしか身長がなくても170センチ以上あるとみんなに思ってもらえるようになったわけだ笑。

とにかく僕の「目立ちたがり」という特性が良い方向に発揮された結果、
「リーダーシップを発揮できる」という強みが生まれたと自分で分析している。だからこそ、この自分の強みが最大限活かせるような仕事を最終的にしたい、そう思っている。最終的に、と書いた理由は「リーダーシップを発揮できる」という強みを社会に出てすぐ活かせるとは思っていないから。

じゃあまずはどんな強みを活かそうと思っているか、
それはだいぶ前の「研究とは」のところで書いた
「専門的な知識とそれを活用できる力」だ。

自分のキャリアを思い描いてみる

僕は現時点では食品・飲料業界で働きたいと考えている。
その理由は2つ。
まず消費者の立場から自分の仕事の成果を感じられる、つまりTo Cの業界がいいから。もう一つは「食」というものを通して人々の健康に、もっといえば人生を豊かにしたいと思っているから。
もう少し深掘ると、「より手軽に、そしてより楽しく栄養価のある食事を摂れるようにしたい」、そのために「健康と反対側のイメージにある食品をより健康的で栄養価のあるものにしたい」
漠然とだけど、こんなことをやってみたいと考えている。

健康と反対側のイメージにある食品というと、例えばカップ麺やお酒、お菓子など。最近CMでやっている「完全メシ」や「カップヌードルPRO」はまさに僕がやりたいことドンピシャ。(最近はプロテインビールなんか作ったらおもろそうとか考えてみたりする笑)
どうしてそんなことをしたいかと言われれば、一人暮らしをしてみてやっぱり栄養バランスの良い食事を準備するのは大変だし、もっと手軽に栄養価のある食事がとれればな~と思ったから。きっと一人暮らしをしている多くの人が感じることであろうし、自分と同じように感じている人たちにより手軽で栄養価の高い食事を届けることで、生活を豊かにできたらいいなと思った。その延長戦上で、お酒特にビールとかお菓子でより健康的になれたら最高だよな~とか思って、健康とは反対のイメージのあるカップ麺だったりビールだったりをより健康的なものに近づけたいと思うようになった。

今書いた「食」というものを通して自分がやりたいことと、さっき書いた自分の強みを結びつけて、自分のキャリアプランを大まかに描いてみる。

大学院を卒業してからは理系職(研究・開発とか生産・製造、品質管理など)で就職して、まずは「専門的な知識とそれを活用できる力」を伸ばす期間にしたい。大学院で身につけた強みを、より食品の生産や開発に関するものに特化させて、実際の現場がどんなものかを知り、自分の知識やノウハウを高める期間という位置付けだ。
と言っても正直まだあんまりイメージしきれてないから、どれくらいこの期間が続くは分からないし、入ってみてから考えることにする。

そしてゆくゆくは商品開発の企画やプロジェクトなどに携わりたいと思っている。この時に必要なのが、そこまでに伸ばした「専門的な知識とそれを活用する力」、そしてもう一つ活かしたい自分の強みとしての「リーダーシップ」。新たな商品を生み出すためには、それを可能にするだけの知識とノウハウ、そして多くの人を取りまとめるためのリーダーシップが必要になると思う。そこで自分の強みを最大限に発揮して、より多くの人に手軽で健康な食を届けることが、自分にとって強みを最大限付加価値化して社会に還元することになる、と今は思っている。

「食」は生きることの基本だ。その「食」にアプローチすることは、人々の生活に直接大きな影響を与えることだと思う。だからこそ、「食」を通じて自分の強みを多くの人に価値として提供したい。だいぶ大雑把ではあるが、これが現時点での僕のキャリアプランだ。

終わりに

ここまで自分なりに研究と働くことについて考えていることを書いてみた。思ったより長くなってしまったが、かなり頭の中は整理できたと思う。
もうすぐ大学を卒業して大学院へ進学する。
大学院の授業も始まるし、就活も本格的に始まるし、もちろん自分の研究もやらなければならない。
M1の前期はなかなか大変そうだ。
そんな忙しなくなる日々でも、自分の軸みたいなものは失いたくない。
だからここに、この先の自分の軸となる考えを書き記しておいた。
迷った時に振り返られるように、そして考えが変わったときにその変化に気づけるように。
研究も就活もどっちも頑張る。
ただその軸にあるものは失わずに
これから大学院2年間、社会に出る前の残りの学生生活の抱負的な感じでこのnoteを締めようと思う。



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