記事一覧
Biotechビジネスアイデア創出の基礎-後半
前半では研究成果からビジネスアイデアにつなげる手法と、臨床関連の研究成果を実用化する前提で、技術タイプ別によくあるパターンとその解決の可能性を提示した。後半では基礎医学の研究成果実用化について、同様に技術タイプ別に実用化に向けてよくあるパターンと考えるべきポイントを述べる。
Biotech製品企画のシナリオー基礎医学研究者編
iPSC、siRNA、ゲノム編集などに代表される細胞の持つ能力の新発
Biotechビジネスアイデア創出の基礎-前半
昨今、どういうわけか研究者にスタートアップをしろという圧力が高い。研究者になりたい動機は人それぞれなので、承認欲求が高いヒトはピッチイベントで注目され、研究費も獲得できてハッピーになる。一方で自分の肉眼では簡単に見えない現象や、通常の感覚では獲得できないような知見に、様々な手法で世界で初めて自分が知ることになる。そんな実験科学の醍醐味に魅せられたヒトには、なんで必要以上にお金の話をしたり、自分のこ
もっとみるDiversityとDeal Makingの課題の本質?ーおっさんオンリーでは交渉が成立しない
最近、スタートアップ界隈で「おっさんばっかりやんけゴルァ!」的な話になることが多い。ただ、受け取る側はSDGs並みに「世界の潮流についてけないっ!」という意識高い系の話になることが多い。でも現実はそんな簡単な話ではなく、実業ではスタートアップもダイバーシティのある経営体制でないと実際に事業が回らない世の中になっている。いくつかに場合分けして考えてみる。
1.おっさんだけの事業アイデア自体が陳腐
Venture Creation トピック #1
いわゆる「日本モデル」のほうが珍しい?SNSもフル活用しよう!昨年からVenture Creationについて連投した(記事の下を参照)。その後、スタートアップはもちろん海外の関係者、国内のVCや大学、中央省庁の方々とも議論を進めている。その中で両極端な2つの方向からのご意見があった。「Company Creationはウチでもやってます。投資先のココとココとココはそうですね。」というVCさんの肯
もっとみるVenture Creation Model #3
前回のこのコンテンツの投稿から半年以上経ってしまっていますが、当時の原稿を元にから第3弾お送りします。
Venture Creationには人を巻き込む強いミッションを持て!
ここまでボストンを中心としたVenture Creation Modelについて見てきた。最後は日本での実施可能性について論じるが、その前にもう一度Flagship PioneeringがなぜPioneeringという言
7月8-9日開催!ヘルスケアの研究→開発を加速するHVC KYOTO
2024年7月7日、8日に英語おんりーの医療系ピッチ&マッチングイベント、HVC KYOTO 2024を京都で開催します。
大学の研究者もWelcome!
今年からは大学の研究者の発表にも重点を置きます。
「事業計画とかよくわからない」で構いません。ヘルスケアビジネスは規制産業で、取りうる打ち手は実は限られていますが、それを研究者の方に学んで事業計画をかけ、なんてどだい無理な相談なのです(と言
創薬のシルクロードー創薬スタートアップと「Translational Research」のプレイヤーは変わり続けることを知ろう
外部での講演前に考え方を整理するシリーズ。
今回は「オープンイノベーション」「Translational Research」
「事業化」できない構造に最初からなっている、日本の各種プログラム
いわゆる「事業化」というと日本で最近話題になっているのは「スタートアップ」で、「ユニコーンを作れ」とか「リスクマネーが足りない」とか言うことになっている。でも、ことヘルスケア、特に創薬となるとやることは実
BioJapan 2023 見たこと、感じたこと
10月11−13日の3日間、ライフサイエンス業界では日本最大のBioJapanがパシフィコ横浜で行われた。おそらく2009年頃から断続的に参加しているので、毎回この業界の変化を感じる場所ではあるが、今年感じたこと等々について書き留めておく。
京大ブースは大盛況!
筆者は昨年4年ぶりに京大に復帰したものの、一人チームで細々と水面下での活動を行ってきた。今年は京大が一丸となってブース展示を行うとい
「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」について考えてみる 3 現在→未来
ここまで、経済産業省が掲げる「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」が必要となってきた背景と、目指すべき未来の製薬業界の姿について述べてきた。ここから読む人のために予備知識としては、
日本のアカデミア・製薬業界は欧米の時流に乗り遅れ、Biotech企業を中心とする創薬エコシステムを作らなかった。そのために資金もなかった。
製薬企業がデジタル化の進む医療で生き残るためには、一般市民と医療IT人材へ
「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」について考えてみる 2 未来
一つ前の項では経済産業省が実施している「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」が必要とされる背景と、出回っている情報だけでは理解しにくい行間について解説した。簡単にまとめると、
日本は基礎研究力があるが、開発の仕組みを研ぎ澄ます努力が欠けていた
特に資金量が足りなかった
今になって資金だけを入れようとしてもうまく動き始めてくれない…
という状況だ。
この項では3000億円という規模や、その使
「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」について考えてみる 1 現状
中途半端な打ち手が続いてきた日本の創薬エコシステム育成
広く日本社会に大きく関わる内容ですが、創薬に関連する業界内向けの話題です。
世界で数少ない創薬能力を持つ国だ、という自負にも関わらず、日本の製薬業界はパンデミックの流行に対してワクチンも治療薬も創出できなかった。利益追求型の製品設計、グローバル企業との競争に勝ち残るための積極的な海外進出、一方で新興企業が育ちにくい中小乱立の国内市場構成など
BIO2023でみた米国のUpdateと日本の資金調達環境(あくまでもSU支援者としての観察)
少し前の原稿からですが、6月のBIO2023の前後で接した米国市場の状況と、それのときに感じた国内に期限を持つスタートアップの資金調達環境についての文章です。
2023年6月NY、街中は人で溢れていた
San DiegoでのBIO2022では、不況の影響をモロに受けて不況をどう乗り切るか?と言う話題で持ちきりだったし、San Diegoのダウンタウンでもホームレスが以前より増えていて驚いた。そ
Venture Creation Model #2
前稿ではじめたVenture Creation Modelの2回目です。
ここではFlagship Pioneeringのホームページ情報をもとに、Venture Creation Modelについて解説する。(インタビューしたわけではないので、多分に想像が入っていることはご了承ください)
Flagship PioneeringではVenture Creationの段階を4つに分けている。
Venture Creation Model #1
これまでは「日本の科学技術への投資が云々」というと、ノーベル賞学者の先生方が、自分の分野にお金をよこせ、とでも言っているかのように聞こえ、議員さんたちからは「バイオに20年以上投資してるけど結果が見えないじゃないか」というコメントがあった(らしいと聞いています)。ところが今回のパンデミックで、日本はモデルナ、ファイザー、アストラゼネカのワクチンに依存し、しかも前者2つは「mRNAっていう技術らしい
もっとみるInnovationは主要貿易物産だ!
2021年5月21日モデルナ社製とアストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチン製剤の販売が承認された。モデルナのワクチンはファイザーと同じくSARS-CoV2タンパク質の一部をRNAの状態でリポソームを使って細胞に送り届けるものだ。一方のアストラゼネカ(AZ)のワクチンはアデノウイルスベクターを使用して二本鎖DNAの状態で細胞に送り届ける。
報道では「ワクチン供給が遅い」とか「接種順番の不公平