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介護業界は一体何に答えを出すべきか?介護という概念を見直すべきか

介護事業を営んでいると、現場から「人手が足りない」という不満と「人員を増やしてほしい」と要請されることはよくある。

これは一時的あるいは慢性的な多忙さからの訴えであるわけだが、だからと言って「わかりました。すぐに人員を手配します」とはいかない。

それは、求人を出しても応募がすぐに来るわけではないことと、事業としては収支を踏まえて人員補充を考える必要があるからだ。

特に介護事業におけるコストの大半は人件費である。人員補充をしたほうが良いと分かっていても、経営としては人材を1人補充するためにかなりな資金繰りを考えざるを得ない。

事業拡大も見込んでの人員補充ならば投資と考えられるが、例えば介護施設など入居者数に上限がある、つまり売上に上限がある事業であれば人手を増やすことで利益が減るという覚悟が求められる。

批判されるだろうが、利益を優先するのであれば、人員を増やさない方法をとることが適切な経営判断となる。最低限の人員で最大の利用者数に対して介護サービスを提供すれば、事業として十分に成立するだろう。

しかし、最低限の人員で介護サービスを提供するということは、どこかで必ず限界を迎えるのは目に見えている。

国はICTの活用やDXなどを推奨し、テクノロジーによって人手不足や業務負担の軽減を狙っているが、現状で「介護業界における根本的な解決」が成されたモデルや事例が存在しない。

テクノロジーの活用は各地で色々と試行錯誤していることから、今後徐々に形になっていくだろうが、「介護業界における根本的解決」がなされるには年数を要するだろう。

――― と、ここでふと思う。

「介護業界における根本的解決」とは何か?

そもそも、介護業界が抱えている根本的な問題は一体何なのか?

介護業界は、何を問われているのだろう?
介護業界は、何に答えを出さなければいけないのか?

――― 人手が十分にあれば解消される問題なのか?

――― 国が介護報酬を十分に上げれば良いのか?

――― 介護を必要としない高齢者が増えれば良いのか?

――― 少子化が解消されればいいのか?

――― 機械が介護を代行できれば良いのか?


個人的な考えを述べるならば、まずは日本における「介護」という概念そのものを変えることが優先である。

例えば、「自立支援」という考え方を変える必要があるかもしれない。

「親の面倒を見るのは子供の役目」という風潮もあるかもしれない。

あるいは、介護は介護保険という社会資源を廃止することかもしれない。

義務教育から認知症ケアなど介護について学ぶことかもしれない。

高齢者に過度な医療提供を控ることかもしれない。

「直接人の手をかけることが介護」という思考からの脱却かもしれない。


何が言いたいのかというと、人手不足を始めとした現状の介護業界の問題ばかりに目を向けていては、本当の意味での介護業界の問題を根本的に解決することは難しいのではないか、ということだ。

目先の問題を解消することも大切だが、そろそろ介護の概念を大型アップデートすることが必要なのかもしれない。

ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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