公社流体力学

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小劇場演劇 賞レース受賞歴一覧1988〜2024

小劇場演劇にまつわる賞の受賞結果と それに類する上演企画の選出劇団をまとめました。 趣味で作った物なので私の趣味である東京小劇場界隈に偏ってます。東京より西の方は別の方がやればいいと思います。スタートが1988なのはパル多摩が始まった年だからです。 なお、受賞結果が発表されるたびに毎年更新されます。趣味なので。 記事公開記念イベントとして 『公社流体力学が、1988年以降の演劇賞レースを語る』 をやりました(動画6分から)。 目次 2024年岸田國士戯曲賞 池田亮(ゆう

    • 猿博打『まじめにきまじめ』 の感想

      作/井上瑠菜(露と枕) 演出/村上弦(北とぴあ ペガサスホール) 地球に隕石が衝突し地球は砕け散った。しかし東京都北区は奇跡的に破片が小惑星になる。生き残った3人の内2人は頭が良かったので衣食住不自由ない環境を作り上げ、安定した暮らしを手に入れたが、大きな問題が立ちふさがった。暇すぎ! 3人の俳優によるユニットにふさわしい仲良し3人組がワチャワチャしてるだけのSFコメディ。3人の魅力によってキャラクターがイキイキしている。 河村 凌は人懐っこさが空回りする元気な青年。 村

      • TeXi’s『Oh so shake it!』 の感想

        作・演出/テヅカアヤノ(会場:北とぴあ カナリアホール) オンラインゲームでチームを組む三人。トラブルありつつも仲良くやる三人は、リアルでの苦しみが。そして、葬式。 テーマは死。冒頭黙禱があり、客席の後ろにいる音響照明スタッフも立って黙とうをささげる。会場入り口も葬式を模しており、このままシリアスに進行するかと思いきや光がビカビカしてゲーム世界から物語は始まる。 戦い続ける世界は同じような場面を何度も繰り広げる。他人にとっては同じことの繰り返しだが、ゲームのプレイヤーにと

        • 『晩盆奇談怪談 -The Real Nightmare- 』の感想

          (会場:ときわ座) 盛夏火の金内健樹・鳥居トリイ、女優の中村ナツ子によって開催される怪談スペース。初のリアルイベントとして開催。 主催三人に加えゲストとして、DJミキちゃω、近藤亮太、比嘉光太郎、SUGIの3人によって語られる。 昭和の生花店を改築したときわ座での怪談会は独自の雰囲気を持つ。 後半二つの公開禁止怪談を除いたものはスペースで無料公開されアーカイブが残っているので是非。 なので、軽く内容に触れると トップを飾るのは金内健樹が最も不気味と語る怪談。不気味さに囲まれ

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        • 観劇感想(2024)
          10本
        • 演劇感想(~2023)
          62本
        • 演劇シーンの紹介とかランキングとかの企画モノ
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        • 毎月の見たい演劇
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        • 公社流体力学賞
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        • 演劇映像・戯曲販売
          5本

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          第14回せんがわ劇場演劇コンクール の感想

          若手演劇人三冠最後のせんがわ劇場演劇コンクールが開催された。 三冠中最もノンジャンル、ルール無用の異種格闘技戦 去年の 今年も全団体を見たのでその感想を書く。 喜劇のヒロイン『いない、いない、いないっ!』 作・演出/新宮虎太朗 一人芝居の上演中、舞台に子供が上がってきてしまった。俳優は見ないふりにして上演を続け。終演後に劇場職員に伝えるとそんな子はいないと言われて。 ーーーーーーーーーー とぼけた味わいの不条理演劇。子供がいたと主張しているのに頑なに認めようとしない職員

          第14回せんがわ劇場演劇コンクール の感想

          劇団ヅッカ+Paul.U『登録された鉄の隙間、風の子たちのステップ』 の感想

          作・演出/マツモトタクロウ(会場:Traffic Tokyo 六本木) ハクビシンを見る相手の気を引きたくて彼女は嘘をつく。タップダンスする男や手が長い女性と知り合いになって。 今回は、ミュージシャンPaul.Uと共作したアルバムの発売記念パーティの表題作として上演された作品。 出番がPaul.Uを含んだDJに挟まれる形で上演される。選曲がシアトリカルで、劇への期待を高める。 連射される不可思議な言葉はリズムとなり壮大な光景へと 現実から飛翔するイメージが連なるも、純粋

          劇団ヅッカ+Paul.U『登録された鉄の隙間、風の子たちのステップ』 の感想

          ロリィタ短歌朗読ライブ「衣裳箪笥のアリス」

          短歌:川野芽生 脚色:犬間洗 演出:嬉野ゆう(PSYCHOSIS) (会場/御茶ノ水RITTOR BASE) 歌壇賞、現代歌人協会賞受賞の歌人で、芥川賞候補作家でもある川野によるロリィタ短歌の朗読ライブ。 少女をテーマにした内容で、ウラジミール・ナボコフの『ロリータ』から題を採った歌も朗読される。 ロリィタ服を見に纏った女優たちによる朗読ライブ、というコンセプトだけでは終わらない。 垢ぬけない一人の少女とロリィタたちの交流の物語が紡がれていく。彼女たちの心情は短歌で描かれて

          ロリィタ短歌朗読ライブ「衣裳箪笥のアリス」

          東京にこにこちゃん『ネバ―エンディング・コミックス』 の感想

          作・演出/萩田頌豊与(会場:駅前劇場) 少女はとある長期連載漫画が好き。その漫画は亡くなった母親が愛読しており、母が詠むことのできなかった最終回がどうなるか楽しみにしていた。転校生で一人だった彼女だが、転校先は漫画を知らない子たちばかりで彼らに漫画の楽しさを教え周りには友達が増えていく。 そして漫画の展開も終盤になりどんな最終回か皆で予想する、が・・・。 新たな傑作。 いつも通り頭のねじが外れた連中によるおかしなナンセンスギャグの連発。漫画を知らない子供たちが漫画の楽しみ

          東京にこにこちゃん『ネバ―エンディング・コミックス』 の感想

          公社が6月に見たい演劇

          家で出来る演劇『狂言山月記』 6/6~9(会場:戸山公園 陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡) 「家」(=劇場ではない、日常に紐づいた場所)での活動を中心に活動する演劇企画。今回は、脚本:屋代秀樹(日本のラジオ)、 演出:本橋龍(ウンゲツィーファ)という豪華タッグでお送りする野外演劇。山月記をモチーフにした演劇だがあらすじで 「そんな姿になるずっと前からあなたはもともと持っていたそのおそろしい爪と牙でわたしを傷つけていましたよ」 という素晴らしい一文。暗黒演劇の屋代だけあって、

          公社が6月に見たい演劇

          コンプソンズ『岸辺のベストアルバム!』 の感想

          作・演出/金子鈴幸(会場:下北沢 B1) これから上演される演劇は私が作った演劇。 見知らぬ少女と出会う少年、偶然出会ったママ友、歌舞伎町に秘められた秘密。暗躍する存在の目的は一体。 傑作。 いくつもの物語が同時進行し、やがてひと繋がりになるという構造はすでにやり尽くされているが、フィクションの世界で自由奔放に暴れ散らかして見たことない破壊力。 幸せそうに見えたママ友たちは、疎遠なり問題を抱える。歌舞伎町には人ならざる存在が支配するファンタジー展開。しかもそれってだれかの脳

          コンプソンズ『岸辺のベストアルバム!』 の感想

          宇宙論☆講座『宇宙論☆講座 the BEST & the WORST』 の感想

          作・演出/宇宙論☆講座(会場:北とぴあカナリアホール) 上演しようと思ったが、出演者のぺけが寝坊で遅刻してしまったため開演時刻10分推しのアナウンスをする。しかし、劇団側の都合で推すことにブチギレた観客が抗議をする。そんな彼に、過去の上演を思い出す提案をする。 これまでの良かったシーンだけを抜粋というコンセプトだが、近年メタ演劇を主軸にしている宇宙論なので、ただの総集編にしないだろうと思ったがこういう構造。 五十部さんのマイブームの変遷が語られていき、劇中歌もどんど歌われ

          宇宙論☆講座『宇宙論☆講座 the BEST & the WORST』 の感想

          かながわパフォーミングアーツアワード2024 の感想

          かながわパフォーミングアーツアワードのコンペの感想。 元々、神奈川かもめ演劇祭として始まり、かながわ短編演劇アワードになり2回目の改名。安定しないねぇ。 元々アート色の強いコンテストだったが、この改名はその表れか。 6団体の作品が上演され、グランプリを目指す。 またコンペ外である高校演劇2校、神奈川県立厚木高等学校演劇部(3月16)日々輝学園高等学校横浜校演劇部(3月17)も上演される。これが変わらないのは嬉しい。 DANCE PJ REVO「STUMP PUMP YOKO

          かながわパフォーミングアーツアワード2024 の感想

          公社が5月に見たい演劇

          CHAiroiPLIN おどる落語『らくだ』 4/27〜5/5(会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール) シェイクスピアや太宰治などの名作をダンスに再構築する人気カンパニー。今回おどる落語シリーズの第2弾。急死した乱暴者の葬儀を巡るドタバタ騒ぎだが、落語屈指の高難易度噺で大ネタと知られる。どうダンスにするのか。 晩盆奇談怪談 -The Real Nightmare- 4/30(会場:ときわ座) 盛夏火の金内健樹、鳥居トリイ、女優の中村ナツ子を中心に行われる怪談スペース。初

          公社が5月に見たい演劇

          公社が4月に見たい演劇

          大乱闘だった3月に比べ穏やかな4月。 舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』 4/1~14(会場:日本青年館ホール) 海外奇想小説好きの公社が大学時代に読んで印象に残ったアンドリュー・カウフマンの小説を演劇化。銀行強盗により魂を盗まれた人々の身に起こる不条理を描いた連作短編。奇妙と悲しみに溢れた豊穣な物語群。谷原章介主演と中々の規模。ただ、夫婦の愛と奇跡の物語と紹介で書かれていてそんな話だったけ?と。 エトエ『もうグレイテストヒッツ』 4/5〜4/6(会場:武蔵野

          公社が4月に見たい演劇

          B子『さんぽハイ』  の感想

          作・演出・出演/B子 (会場:イズモギャラリー) 温泉で乳繰り合う男女を覗き見。女の体を触る男に女は趣味の散歩の話をするが、どこかおかしい。彼女の語る場所は住んでる街には存在しない場所で 今回で見るのは3作目だが、一番強烈。 覗き見男と男女の話を主軸に様々なエピソードが入り乱れる。濁流のように奇想天外が訪れ、B子の脳みその中。無秩序に非現実的な光景が入り乱れてくる。しかし、これは女が散歩する世界の話なのか。 高いビルへ登ると女は言うが、そんなビル街には存在しないと男はいう。

          B子『さんぽハイ』  の感想

          若手演出家コンクールの感想(2024)

          毎年恒例の若手演劇人三冠の一つ。 割と不作気味の年が多いが今年はどうか 鈴木あいれ(コメディアス)『キャッチミー開封ユーキャン RTA』 借金を抱えた人間が挑む人生を賭けたゲーム。それは1時間以内に狭い箱から脱出すること。ようやく手を一本出せる穴から手を伸ばし、箱の壁面にあるギミックを解いていくが・・・。 彼らの出世作を、コンクールの制限時間1時間のタイムリミットにリメイク。リアルタイムで役者たちが仕掛けを操作していくが手一本だけで操作するため予期せぬトラブルが起きるがタ

          若手演出家コンクールの感想(2024)