AIがイラストレーターの仕事を奪うのかどうか
世間では最近AI生成によって生まれたイラストがイラストレーターの仕事を奪うみたいな話をしていますが、今日はそれについて書いてみようと思います。
実際に触ってみた
ここ2ヶ月位Stable diffusionを結構いじりました。それこそプロンプトから
LORA、モデルのマージやらなんやら、イラスト系から写真系まで結構ネットの情報を拾ってきては試したりして、試行錯誤してみました。
とまぁ、できたイラストが下です。
Abyss Orange Mix2という学習元素材に
原神の胡桃のLORA(追加素材みたいなもの、何かに似せたいとか要素を際立たせたい時に使う)を混ぜてます。
可愛いですね、これが30秒くらいで出来上がってくるわけで恐ろしや~
あれでも待てよ・・・
なんか手おかしくない?
背景もなんか物足りない感じ・・・
スカートの塗りもざっくりしてるなぁ
ちょっと露出多くない?
胡桃の帽子もう少し大きいのでは?
瞳孔は花みたいになってるよね・・・
彩度ちょっと高い気がするわ
とまぁ、ざっと見ただけでも結構気になる点が・・・
あとクライアントから指定で、もっとこうしてほしい!
手はぐわっと前に突き出す感じで!ちょっと上目遣いがいいなぁ
歯はもっとシンプルに・・・
みたいな要望って山程来るんですよね
んで自分はこれ出すのに大体20枚くらいガチャ回してます。
OpenPoseっていうポーズを割りと指定できるやつとかもあるんですが、
上手いことポーズ作らせても、なかなか思ったようなものが出ないことも・・・
あと、そもそも塗りの雰囲気が合ってない場合、塗りが合ったモデルを探すか作るかしないといけません。
で、まぁ今の世の中同じような絵柄が氾濫しているわけで(同じAIのモデルを使ってるから)どれも一緒に見えますね
SNSに同じような絵柄が上がるってことはそれだけ見ている人も食傷気味になっているはず・・・(現に自分は最近おんなじような絵柄の絵をTwitterでかなり見ているので飽きています・・・)
なのでクリエイティブな会社はやっぱり見たことない物を作りたいし、特筆したアイデンティティのあるものは欲しくなります。
また、やっぱり手が苦手で、もっというとダイナミックなポーズとかマジで苦手で大体立ってるスタンダードなポーズが多いですよね
i2iとかScribbleとかイメージから出力してくれる機能もあるんですが、
色指定がすごくめんどかったり、そもそも結構絵描ける人用です。
(それでも思うような絵はでない・・・)
費用対効果薄くない?
これは単価の話になりますが、もしAIイラスト作成者に仕事を依頼すると考えると、どうしても手描きより単価が下がります。
参入障壁が低いのもありますし、誰でもできるからですね
なのでどんなにクオリティが高いイラストを描いても参入者が多ければ単価は下がります。
また、すぐに絵を出力できるとはわかっているのでここも単価が下がる一員となります。
ですが・・・
自分がイメージする絵を出すのに結構プロンプトを何回も書き直して出力したり、いろんなモデルを探してみたり、openposeでポーズを付けてみたり、i2iやScribbleでラフを自分で描いて出力してみたり、やりましたが結構な労力でした。
これに修正が入れば結局手で直さないといけませんから、結構時間はかかります。
また修正すると言っても多分絵描けないと良し悪しがわからないと思うので
絵を描いたことない人がAIイラストの修正をするのはだいぶ苦労しそうです。
となると依頼金額に対して、費用対効果は高くなさそうだなと感じました。
版元がわからない物に企業は手を出しにくい
んでやっぱりどうしてもついてくるのが著作権の問題ですね、っとこれは、AIの学習させたものが法に引っかからないとか
学習させたものから出力したものは引っかからないとかじゃないんですよね
イメージの問題です
AIは無から生み出すことは絶対的にできないので、何かを参考にして作成しているのは周知の事実で、「その何か」がわからない限り企業は仕事を依頼しづらいです。
「いやでも絵描きだって何か参考にして絵描いてるじゃん、AIも同じように参考して出力しているだけだから一緒一緒!」
それはそうなんですが・・・
AIが何かを参考にした場合数億枚から参考にしますが
手で描くイラストレーター(人間)はそんな事できません
それってつまり何かを参考にしたかどうかを納品時に把握し易いんです。
AIの場合は確実に何かを参考にしている、でも何を参考にしているかAI作成者も、納品された側もその場では把握できません。
でも何かしらに引っかかるリスクがある・・・
これは企業としてはかなり危ない橋を渡ることになります。
もし
「これは私の絵を参考にしている!」
ってなっても
「構図は似ているけど塗り方は違う、顔は違うけど構図は似ている」
ってなった時に、作成者の方が答えられますか?
手で描いてる絵描きなら
「ごめんなさいやりました、構図トレースしました、参考にしました」
ってすぐ言えます。(稀に嘘ついたりする人はいるかも知れませんが・・・)
作成者ですら把握していない制作物を扱うなんて怖くてできません。
なので、いくらクオリティが優れているものが出てきても、版元が確実にわからないものに手を出すのは凄まじくリスクがあり採用しにくいのです。
それでもAIはまだまだこれから伸びると思う
ここまで随分と否定的な意見を描きましたが、AIはまだまだ技術的には発展途上で、今後ますます進化していくと思います。
そうなった場合、これから本格的にAIを活用するとなれば、ゲーム会社やアニメ会社でAIのその機能を買って導入することになると思います。(だれでもできるので個人に依頼する理由はないですしね)
また、版元がクリアなモデルデータやLORAを売る会社が出てくるのではないかなと思います。
AIをうまく活用して、デザイナーであればPhotoshopを使用できる人が求められた時代のように
今後はAIツールを活かして効率的にクリエイティブなものを生み出せる人材が求められてくるのではないかと予想しています。
長くなりましたが、自分もAIの進化は興味をすごくそそられるので、今後も情報を追いかけていければと思います。
それではっ!
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