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留置所の面々@羆

割引あり

動物園の見せ物よろしく、署長、副署長、警務課長が巡視に来る。平日は毎日の恒例行事だ。署内の偉い人トップ3。取調べで捜査員が茶化していた。
「スリーアミーゴスが巡回に来るやろ?なっ自分」踊る大捜査船なんて何年前のネタだよ、と呆れながら無反応を貫いた。

留置場入口のインターホンが鳴ると、いちばん若い看守が「署長巡視!」とすっとんきょうな大声を発しながら走ってゆく。大扉と呼ばれる巨大なドアを開けて場内に入ってくる。敬礼しながら「男性留置施設、総員◯名異常ありませんっ」と叫ぶ。「ご苦労さん」と当番の班員を労ってから檻をじろじろと見て回る。
警部補(班長)がコバンザメのようにご機嫌を取ってくっついて回る。「◯◯事件で報道された者でして」「そうか。問題は?」「完全黙秘です」「ちっ」舌打ちも聞こえる。

説明してほくそ笑む班長が見える。ベタ金の階級章に1本線。警視正様が檻を覗き、「こん、にち、わ」と小馬鹿にした態度で声をかける。巡視の都度、正座していたら「やめとき」とたしなめられた。房内の誰もが無視している。
留置人、今でいう被留置者のラインナップを見てみよう(プライバシーのため実例を脚色してある)

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