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ブルーピリオドという芸術スポ根漫画〜アートって、才能か?

昔から漫画が好きなのですが買い出すとキリがなくなるので、基本的にはアニメを先に見てどうしても原作を手元に置いておきたい!という本だけ買うようにしています。

そんな私がアニメ化前から唯一買い続けている漫画、『ブルーピリオド』

人生を要領良く生きているちょっぴり不良な高校生の男の子が、1枚の絵をきっかけに美術の道へと進む物語。
物語は大学受験編から始まり、現在は大学編が連載されています。

私はネットでこういう漫画がある、と知り1話を無料で読んだのですが、その日のうちにその当時発売されていた全巻を買いました。
受験をテーマにしている作品は他にもありますが、美大受験という特殊な世界を描いていること、私自身美大受験のために美術予備校に通っていたので懐古の意味合いでも興味を持ちました。

読み進めての感想は、とにかくきつい。
美大受験を経験した人はもちろん、現在創作をしている人や何か目標に向かって進んでいる人にとっては心にブッ刺さったり、抉られたりする場面があると思います。

アニメ化されているのは受験編までですが、私個人的には大学編の方がしんどくて好きです。
わかる、しんどい、辛い、でも面白い!の連続です。

そして主人公の矢虎をはじめ、出てくるキャラクターが全員魅力的。
全員がそれぞれの価値観を持って芸術に向き合っているのが分かります。
矢虎が予備校時代に出会う絵の天才・世田介くんと油画の教授・猫屋敷先生の作品の方向性に関するやり取りの話が個人的に特に印象に残っています。
求められるものを作るか、自分が求めるものを作るのか。
この選択って創作者にとって常に付きまとう課題だと思うのです。
私自身他者からの評価に引っ張られて私らしさとか作りたかったものってなんだっけ?と分からなくなった時期がありました。
両者の折り合いがつけられるポイントを見つけられればいちばんだと思いますが、その過程で努力し続けられるか、努力の先に成果が待っているかも分からない不安に打ち勝てるのか、これは芸術だけに言えることではないのかもしれません。

「何者かになる権利はあっても義務はない」って台詞がとても好きです。
世田介くんには動物に囲まれて幸せになって欲しい。

先日待望の新刊が発売され、作者の山口つばさ先生のX(この呼び方まだ全然しっくりこない)で記念PVが公開され、登場人物の中でいちばん好きな八雲にCVがついていました。
CVは鬼滅の刃の伊之助でお馴染みの松岡禎丞さん!
解釈一致すぎて最高だったので、アニメ2期を切に願っています。

余談ですが、yoasobiの『群青』を最初に聴いたとき「ブルーピリオドでMAD作れそうな曲だな」と思って聴いていたのですが、後々ブルーピリオドにインスパイアされた曲だと知り「私は!気づいてたよ!!」と誰かに言いたくてたまらなくなりました。
今は応援ソングとして有名な群青ですが、是非ブルーピリオドを読んで改めて聞いてほしい。

どんな技法なら自分らしさが出せるのか、自分にしか作れないものは何なのか、今でもずっと考え続けています。
きっと一生考え続けるんだろうな。
弱ってる時に聴くと涙が出てきちゃいます、群青。
話がそれましたが、ブルーピリオド、最高の漫画です。

今までいろんな漫画の展覧会に行ってきましたが、昨年夏に行ったブルーピリオドの展覧会が世界観をふんだんに表現されていてとても良かったです。
原画や等身大フィギュアが見られる展覧会ももちろん良いですが、登場人物たちが存在する、作品の世界は今ここに実在して自分はその中にいると感じる展覧会は初めてでした。

一年前の展覧会ですが、東京まで見に行ったかいがあったなぁと思います。

コミックス派なので新刊までの期間が長いですが、先に楽しみが待っているというのは良いことです。
いつも好きなものに生かされているなと思います。

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