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今井翔太「生成AIで世界はこう変わる」

 【今井翔太「生成AIで世界はこう変わる」SBクリエイティブ, 2014】は、新進気鋭のAI研究社による良書だ。現代の生成AIの仕組みから経済への影響まで幅広に学ぶことが出来る。

 同書の後半では人間活動への影響について述べられている。凡庸で俗物な自分はこれらの議論に興味を引かれる。

 「機械が人間の仕事を奪う」というテーマで議論すると、必ずといっていいほど「人間は創造的な仕事をすれば良いのだ!」という論が出てくる。しかしChatGPTに代表される現代の生成AIは、その創造的な仕事を人間から奪っていくという。

 人間の創造的な仕事の多くは「新結合」で生まれるというのは以前から知られていた。J.W.ヤングの「アイデアのつくり方」はこのことを広く知らしめた小著だ。そして、イノベーション(創造)が「新結合」と喝破したのは、大経済学者のシュンペーターだ。

 現代の生成AIは、その作りからして新結合を「見つけ出す」ことを得意としている。つまり、人間の創造的な仕事をよく代替することができるということだ。著者は次の様に語る。

人間の創造的な作業とされてきたものの大半は、実は「過去の経験のなかから、価値のある新しい組み合わせを見つけること」であり、生成AIは膨大なデータ学習からこれを見つけられるようになった、というものです。

第3章抜粋

 この破壊的な技術が、人間社会をどのように変えていくのか。しばらくは目を離せない。


 

類書

経済への影響についてはこちらも参照
井上智宏「AI失業」SBクリエイティブ, 2023


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