見出し画像

「レペゼン母」~家族の沼から抜け出すという希望

借金に麻薬、高校生でデキ婚したのに離婚、一念発起して町長選挙に立候補するも落選して失踪…
破天荒な息子(雄大)に振り回され、悩んできた明子が、息子とラップバトルで対話し、家族の沼から抜け出す話だった。

NHKドラマ「お別れホスピタル」で、家族というのもは「近しい人だから抜け出せない、かえって傷つける”沼”」と表現していた。

ホント、家族って厄介。

母である明子は、亡き夫が残した梅農園を維持しなくてはいけないと切り盛りしてきたのに、思春期には食事も一緒にとろうとせず、高校生でデキ婚したと思いきや失踪して離婚、借金の肩代わりをさせられ、薬物で逮捕…とトホホな息子に振り回される。どんなに仕事を頑張っても、どんなに息子の尻ぬぐいをしても報われない。

息子の雄大は雄大で、バリキャリで社交的で押しつけがましい明子に反発する気持ちと、でも、認めてもらいたい、けど、叶わない…てな感じで迷走する。

そんな噛み合わない二人が対峙するのが「ラップバトル」というのが面白い。ラップバトルは相手の言葉に全身全霊を傾けないと成り立たず、そして瞬時に切り返す反射神経もいるらしい。ラップバトルという場でなければ、この親子が分かり合えることはなかった。

結局は、お互いに「自分…自分…」で相手のことが見えていなくて、お互い認めてほしかったことを分かり合う。「へその緒を切る」という言葉に象徴される精神的な決別宣言がクライマックスだった。

家族の「沼」から抜け出せてよかったな、と同じ母として思う。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?