見出し画像

エンタメの転換点:2018年にすべて変わった

私にも、テレビのバラエティー番組が面白くない時代があった。どんな音楽も良いと思えない時代があった。

中二病だったわけではない。むしろ逆で私は周囲がドン引きするほどのミーハーである。そんな私が何もかもがつまらなかったということはつまり、特に何も流行ることがない、ブームがないということである。私にとっての2010年代後半とは基本的にそういう時代であった。

バラエティー番組は『イッテQ』とか『水曜日のダウンタウン』は確かに面白かった。けど、かつての『ヘキサゴン』や『エンタの神様』あるいは『爆笑レッドカーペット』のような大きなムーブメントを起こすようなバラエティー番組は存在しなかった。

音楽はAKB48や嵐がオリコンチャートを席巻していたものの、実際に流行っていたと思い出せる曲はというと、「恋するフォーチュンクッキー」くらい。

それ以外だと、星野源の「恋」やピコ太郎の「PPAP」が流行ったり、欅坂46の「サイレントマジョリティー」が流行ったり、TWICEの「TT」が流行ったりはしたものの、全国的に大ヒットしてると実感が持てた楽曲のはそれくらいしかなかったのである。

もちろん、細かく見ていくと「高嶺の花子さん」が流行ったりSEKAI NO OWARIが流行ったりはしていたんだけれど、それは高校生のコミュニティでとか小さな世界の話でそれが全国的なムーブメントを起こしているようにはまったく見えなかったのである。

正直、ミーハーとしてこれはまったく面白くなかった。当時の私はミーハーをやめ、いわゆるオタク文化に逃げ込み、オタク文化のなかでの小さな流行を追いかける人になっていた。

2018年にすべてが変わった

あいみょんが変えた

そんな鬱屈とした状況が変わったのが2018年だったのである。まず一つ目の出来事として起きたのはあいみょんの大ブレイクだった。

2018年、あいみょんのリリースした「マリーゴールド」という楽曲が日本で初めてストリーミング再生1億回を超えたのである。

あいみょんはこの年の紅白歌合戦にも出場し、その誰からも好かれるその人柄と確かな歌声、そして共感を呼ぶ歌詞で若者世代に限らない国民的な人気を獲得していくことになる。

そして、このあいみょんの大ブレイクをきっかけに(もちろんそれだけじゃないだろうが)、日本でもストリーミング市場は急拡大していき、ストリーミングの再生数は音楽ヒットの新しい指標として受け入れられていくことになった。

ストリーミングのランキングは今どんな音楽が流行っているかを生々しく示してくれる。そのおかげで、それまで見えなくなっていた(特典商法のせいでな!!)ヒットしてる音楽が可視化されるようになり、それによって流行りが流行りを呼ぶようなそんなムーブメントが起きやすい状況が出来上がっていった。

こうして2018年以降、数々のヒット曲が日本を彩っていくことになる。

https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/82792/2

これが、2019年のビルボードの年間ランキングである。あいみょんの「マリーゴールド」にKing Gnuの「白日」、髭男の「Pretender」、Foorin「パプリカ」、菅田将暉の「まちがいさがし」と誰もが知っている大ヒット曲が、この年5曲も生まれたのである。

2020年以降はさらにそこにTikTok発やTHE FIRST TAKE発のヒット曲が急増。特にTikTokからストリーミングでのヒットというのが一つの定番パターンとなった(それは1990年代カラオケが音楽文化を盛り上げたのに似てる気がする)

TikTokから大ヒットして誰もが知る曲となった瑛人の「香水」や、何十年も前の曲がヒットしたと話題になった「真夜中のドア」もTikTokである。また、THE FIRST TAKEからはDISH/の「」や優里の「ドライフラワー」などのヒット曲を世に放った。

あいみょんや髭男など今までに出てきた人以外にも、Tani YuukiにマカロニえんぴつAdo、Saucy Dog、藤井風YOASOBIVaundy、米津玄師、Creepy nuts、平井大、Awesome City Club、緑黄色社会、、、、等々。そう。気が付けばJ-POPは百花繚乱の時代になっていたのである。

霜降り明星が変えた

かわったのは音楽界だけではない。お笑い界も2018年大きなムーブメントを巻き起こすことになる。

2018年、キングオブコントでハナコが優勝し、M-1グランプリで霜降り明星が優勝したのである。いわゆる第七世代の台頭である。

それまでのお笑い界はいわゆるエンタ世代・初期M-1世代の芸人がトーク番組で一定の位置を占めており、まったく世代交代が起きる気配がなかった。

復活したM-1グランプリも10年しばりが15年しばりに変更になったことで圧倒的にベテラン有利の賞レースとなっており若手がそこから売れるということにリアリティがなくなっていた。

そんななかM-1グランプリを最年少で優勝した霜降り明星はM-1グランプリを若手が売れる賞レースとして再度盛り上げることに成功する。翌年のミルクボーイ、2020年のマヂカルラブリー、2021年の錦鯉と彼らはスターダムにかけあがり、M-1グランプリはかつての威信を取りもどしたのだ。

さらに、せいやは『すべらない話』を最年少でMVSを獲得し、粗品はR-1ぐらんぷりで最年少優勝を遂げる。確かなお笑いの実力を兼ね備えた二人は若いままでもお笑い界で成功できることを世に示した。

せいやのラジオでの発言きっかけに、第七世代芸人という言葉が生まれ、それをフックに若手芸人がテレビにひっぱりだこになった。こうした四千頭身、かが屋、ハナコ、宮下草薙、ぺこぱ、蛙亭、EXITなどの数々の大スターを世に放った。

さらには彼らのブームをきっかけに、6.5世代芸人と呼ばれるようなニューヨークや見取り図、かまいたち、チョコレートプラネット、シソンヌという確かな実力を兼ね備えながらもなかなかブームできずにいた芸人たちも取りざたされるようになり大変な人気を獲得していった。

そして、2020年『有吉の壁』という今という時代を象徴するバラエティー番組のレギュラー放送がはじまり高視聴率を獲得するように。彼らの人気が確固とした、もっというと国民的なものになっていったのである。

今となっては第7世代も第6.5世代という言葉も死語になりつつあるが、次々と新しい芸人がブレイクしていく状況が今も続いていることは疑う余地がない。最近だとランジャタイモグライダーをはじめとする地下芸人ブームや、真空ジェシカやラランドをはじめとする学生お笑いブーム、あるいは単発でも荒川エルフ、納言、さらば青春の光のブームなどお笑い界は話題にことかかない。

今という時代は最高だ

こんな感じでいつの間にかに、J-POPそしてお笑い界がとんでもなく盛り上がってしまった。ミーハーの私にとってこれ以上に嬉しいことはない。尽きない話題。次々と新しい才能があふれでてくるこのムーブメントがいつまで続くかわからないが、できる限り続いてほしいと思う。

そして思うのは、今あいみょんが高校生だったらどうなっていただろうかということである。きっとTikTokで即刻弾き語り動画がバズり大スターとなっていただろう。しかしあいみょんは数々の名曲を世に放ちながらも「マリーゴールド」まで世間に知られることはなかった。才能に見合わないほどの下積み生活と苦しみを乗り越えてきたんじゃないかと思う。霜降り明星も同様である。

私はそんな時代のパイオニアとなった彼らが大好きである。彼らがいるから今があるのである。だから、いつか彼らがオワコンと呼ばれる時代が来たとしても応援しつづけようと思うのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?