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読書の記録 『これからの「正義」の話をしよう』

著者のマイケル・サンデルさんはハーバード大学でその名も「JUSTICE」という哲学にまつわる講義を受け持っているらしい。『実力も運のうち』とか『それをお金で買いますか?』とか、他にも刺激的なタイトルの著書のある方で、これについては訳者のなせるところもあるかもしれませんが、大好きな紀伊國屋書店梅田本店でいつも買うか買うまいかと悩んでいる書籍のいくつかのうちの一冊二冊ではあります。買うてないけど。

「正義」って難しいですよね。子どもの頃になんとなく思ってた「正義」の形ってみんな同じ形を思い描いていると思ってましたけど実は全然違うもので、それどころか、自分が置かれている立場によっても容易に変容してしまうものでもあります。大昔に会社の社長さんみたいに立場のある人ほど性に関してはマゾ気質があるものだなんてことをテレビで誰かが言うてましたが、正義も性のタイプと同じで立場によって変わるものやと思います。

そしてまた人によって固かったり柔らかかったり強かったり弱かったりもする。自分の正義を絶対に曲げない人もいるし、対する相手によって正義をうまい具合に変形させながら生きる人もいる。何が本当の正義かなんてわからない。

例えば「1人を殺せば5人が助かる。あなたはその1人を殺すべきか?」よくあるトロッコのやつです。どっちが「正義」でしょう?多様性を求める大学が点数の低い黒人を合格させたことによって本来合格するはずだった白人が不合格になることは「正しい」んでしょうか。中絶する権利とは?同性婚は?自由とは?

「正義」って「当たり前」に言い換えてもいい気がする。その「正義」はあなたにとって「当たり前」でも実はあなた以外にとっては「悪」でしかないかもしれない。過去の哲学者たちの哲学を踏まえながら、現在ある問題について「正義」の所在を考えていく。自分にとっての「正義」がいかに脆弱か、思い知らされる。

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