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盛りすぎないで一乗寺

 久しぶりに恵文社一乗寺店に行きました。一乗寺はラーメン街道が有名で、恵文社もあり、二十代の頃はよく行きました。加茂街道沿い、出雲路橋西詰のあたりに住んでいて自転車なら割とすぐに行けたというのもあるんですが、壬生のあたりに暮らしていると、そんな思い出だけではどうにも一乗寺まで足をのばそうという気にはなかなかならない。京都市内に住んでいると、なかなか住まいより北と京都駅の南には行かなくなるものだ。

思い出いっぱい恵文社


 今日はイラストレーターで漫画家のおおえさきさんの個展を見に久しぶりに恵文社一乗寺店へ。おおえさんはエフエム京都でFLOWER HUMMINGという番組を担当されていて、まあ、言ってしまうと、その番組を私が担当しているんですが、おおえさんは、なんというか、時にさり気なく、何気なく、事もなさげに人生の芯を突いてくるんですよね。それは絵でも漫画でもDJとしての語りでもそう。私はディレクターをしながら、そんなおおえさんの哲学にすっかり心酔しているわけです。どんな形でもいいから表現がしたい、というおおえさんのクリエイターとしてのスタンスも私の目指すところであります。

 久しぶりに一乗寺へ行く。一乗寺に行くのはいつも久しぶりです。久しぶりに一乗寺へ行くと、いつも自分の中で一乗寺を美化しすぎていたな、と思う。若かりし頃の思い出とか、恵文社の醸し出すサブカルっぽさとかアカデミックな感じとかが、自分の中で大きくなりすぎていて、なんとなくレトロな文化都市といった趣をイメージして出かけるんですが、別にそこまでたいした街ではないし、ラーメン街道と呼ばれる割にそんなにラーメン屋も多いのは多いけどそんなに軒を連ねているわけでもない。どこにでもある町です。っていうくらいのつもりで行くほうが「一乗寺っていい町やん」と思えると思う。盛りすぎてはいけない。話は逸れますが、京都にめちゃくちゃインスタ映えするゼリーが有名な喫茶店があるんですが、そのゼリー、確かに見栄えはいいけど味のほうは「???」らしい。期待して行くとがっかりしてしまう。紅葉の名所も雑誌やなんやでめちゃくちゃ美しく切り取られているものを見てから行くと「え?こんなもんなん?」となってしまう。盛りすぎるのも考えものです。

 おおえさんの個展はぐるり鑑賞したあとに『バーテンダーと時間旅行』なる図録を購入。
これはショートショート作家の田丸雅智さんと、おおえさんのコラボで、おおえさんの絵に田丸さんが物語を付けるという新しい試みが掲載されています。読むん楽しみ。個人的には、私も何か書いたものをまとめたいと思ったので紙質とか綴じ方をチェックしたかったというのもある。最近、絵を描きはじめたので、おおえさんの絵を参考にしたいというのもある。

おおえさきさんの作品


 絵の描き方とか、スパイスカレーの作り方とか、俳句とか、そういう本があれば欲しいと思っていたんですが、面白いもので恵文社は「こういうのが欲しい」と思っていくと、そういうのは売っていなくて、そういうのではないけど面白そうな本が見つかる。今回は前に欲しいと思ったけど買わなかった漫画雑誌『アックス』が置いてあって、やっぱり欲しいと思ったので買ったのと、絵を描きたい衝動に私を導いた和田誠さんのエッセイを購入。恵文社のブックカバーはめちゃくちゃいい匂いがする。どれも読むのが楽しみです。

ええ匂いする恵文社のブックカバー



 『アックス』は隔月発売で次号は今月末の発売らしいから、来月の頭にはもう一度行くことにしよう。他の書店で見かけたことないし。好きな場所にこうやって再訪する用事ができるのは嬉しい。好きな場所には積極的に用事を作っていこう。

置いてたら買いたくなるやろ、これは。
和田誠さん、もっと早く知りたかったな

#note日記 #日記 #コラム #エッセイ
#恵文社 #一乗寺

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