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東京日記9 武蔵浦和駅

武蔵浦和駅に着いて、やることといえば、まず「埼玉新聞」を探すことである。地方紙を買うためにここまでやってきた。駅構内で購入できれば、わざわざ外に出る必要はない。
 下車してみると、武蔵浦和駅も西船橋駅に劣らぬ広さであり、どうやらここもそれなりにハブ駅であるらしい。帰りの新宿行きのホームを探すつもりだったが、それを見つける前にNew Daysが見つかった。余談であるがNew Daysを見るたび脳内にはアリシア・キーズのNew Dayが流れる。もう十年ほど前の曲かもしれないが、私はこの曲が好きで、京都でワイドの生放送を担当していた頃はよくオンエアしたものだ。超が三つつくくらいのカットアウトなのが気持ちいい曲である。
 アリシアを脳内再生しながらNew Daysに入るまでもなく、入口から少し出張ったところに新聞各紙が置いてあり、そのなかに埼玉新聞もあった。もう終わり?と拍子抜けするくらいであった。男女の交わりにおいて私はこの埼玉新聞のようにはなりたくないと思った。
 わざわざ千葉経由でやってきた埼玉でやらねばならないことをもう終えてしまった。「もう終わり?」それはネチネチと前戯に時間をかけながらいざとなったら八秒ほどで終わってしまう、というような呆気なさであり、私は散々曹操軍の武将を討ち取っておきながら関羽に瞬殺された顔良の真っ二つにされた顔を思い浮かべた。顔良は名前の通りなかなかの男前であった。
 こうなると、もう少し何か武蔵浦和に爪痕を残したくなるものであり、さきほど西船橋駅で食ったばかりであるというのに、私は立ち食い蕎麦の店に入ることにした。
 店の名前は忘れたが、ざる蕎麦がざる蕎麦ではなく「せいろ」であった。「せいろ」が何なのか私にはわからない。バイオリンとヴィオラの違いのようなものなのか、あるいは新日と全日くらい違うのか。さっき食べたにも拘らず、大盛りを注文した。

続く
※続かないかもしれない

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