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CHAMPION Running Man Tag

今回はCHAMPIONの古いタグについて書いていきます。


数あるCHAMPION製品のタグでもっとも有名なタグの名称はやはり『ランタグ』でしょうか。
 
日本ではランナーズタグ、アメリカではランニングマンタグと呼ばれています。

そのランタグの初期、それも初めてランナーをタグにデザインしたタグをご紹介していきたいと思います。


OLYMPIC CHAMPION





CHAMPIONのいわゆる『デカラン』は皆さんご存じだと思います。

でも、それよりも古いタグは知らない方が多いですよね。


それもそのはず。

滅多に市場に出ることもありませんし、雑誌やSNSに出ることも滅多にありません。


皆さんLightning別冊『VINTAGE CHAMPION』はご覧になりましたか?


『VINTAGE CHAMPION』の古いタグの年代は私の考察を掲載していただきました。



やはりスウェットを集めているとCHAMPIONは避けて通れません。

そしてスウェットのみならずタグの年代も気になる性分なので一時期はそればかりひたすら調べていました・・・


今回はその年代まで行き着いた経緯、理由を書いていきます。

もちろん、これから紹介する年代が正解だとは自分でも思っていません。


しかし、紙物やYEARBOOK、ジッパーの刻印など、資料をもとに考察した答えなので正確性は決して低くはないと思っております。

私独断の推測も含めた考察ですが、よろしければお付き合いください。






MILLS黒タグ

1928~1930年頃


MILLS黒タグ


最古のコットン製品に付けられるタグ。

ウールセーターなどでは見かけるタグです。
コットン製品最初期はウール製品のタグを流用していたのでしょう。

CHAMPIONは1928年からコットン製品を作り始めているようです。


その根拠は1938年の広告に下記の一文がありました。

『thank you to our customers who have been with us since our first athletic line 10 years ago』

この一文から10年前の1928年から作っていることが分かります。



そしてこのタグのスウェットパンツにはジッパーがついており、ジッパーには『L8』1928年12月製造の刻印があります。


それらのことから恐らくこれがコットン最初期の製品だと推測しています。


このタグが付くコットン製品はこの個体以外に見たことも聞いたこともありません。

ですのでいつまで使用していたか?というのは分かりません。





OLYMPIC CHAMPION白タグ

1930~1933年頃


OLYMPIC CHAMPION白タグ

通称『オリンピックタグ』です。


歴史上初のランナーがデザインされたタグです。
ランタグはここから始まりました。

コットン製品には白タグ
ウール製品には青タグ

この時代から素材別にタグが使用されるようになりました。


OLYMPIC CHAMPION青タグ



まずは確認されている個体。

このタグは3点のみしか確認できていません。


スウェット2着

タンクトップ1着


一着はコレクター間で有名なパーカーです。


Lightning別冊『VINTAGE CHAMPION』に掲載しているグリーンのパーカーと言えば分かる方もいらっしゃるかもしれません。


その個体にはフックレスタロンのジッパーが2本付いています。

『G2』1932年7月
『B2』1932年2月

この刻印から1932年に作られた個体であることが分かります。



そしてこのスウェット。


MIT
OLYMPIC CHAMPION白タグ

これはMITの1935年卒業生の親族から出た個体です。


1935年卒業だと入学は1931年。

そこからは1931~1935年の間に作られたことがわかりますが、卒業間近に作る可能性は低いです。



このタグを初めて見てからしばらくは

『本当にあのCHAMPIONのタグなのか?』

という疑問すらありました。


見たこともないし聞いたこともなく、情報も何もないからです。



しかしこちらを見てください。


これはアメリカの友人に送ってもらった画像です。

※掲載にあたり本人から許可を得ています。

封書です。そして1930年12月31日の消印。


間違いなくあのCHAMPIONです。


1930年!


1930年にはOLYMPIC CHAMPIONの名前、デザインを使っていたことがわかります。


このことから確認できた最も古い年、1930年をスタートと仮定しました。


このタグも前タグと同じようにスタートは推測できても終わりまではわかっていません。


『OLYMPIC CHAMPION』という名前。

何故『OLYMPIC』という言葉を使用し始めたのか真相は不明ですが、
『OLYMPIC CHAMPION MANUFACTURING CO』というスポーツ用プロテクターの会社が既に存在していました。

そのため、短期間でOLYMPICの表記を無くした次のタグに変更をしたと考えています。



OLYMPIC表記無し白タグ

1933~1935年頃


OLYMPIC表記無し白タグ



UNIVERSITY OF COLORADO
OLYMPIC表記無し白タグ


この頃になっても現存数は少ないです。

スウェット4着のみです。


このスウェットのうちの一着が大きな発見でした。

Lightning別冊『VINTAGE CHAMPION』に掲載している一着です。


1933年シカゴ万博のスーベニアスウェットです。

この一着でスタート時期が遅くとも1933年とわかり、また前タグの終わりも1933年と推測できました。



それと同時にCOLORADO大学のYEARBOOKでも着用写真を確認しました。

1935年と1936年では確認できましたが、1937年では確認できませんでした。


UNIVERSITY OF COLORADO
1935 YEARBOOK


1935~1936年ということは生産時期は1931~1936年と考えられます。
もちろん、このYEARBOOKの写真のスウェットのタグまでは分かりません。

しかし同大学の1930年代後半以降のデカラン時期になるとプリントデザイン、フロッキーのカラーが変更されているのでそれ以前とは推測できます。


UNIVERSITY OF COLORADO
デカラン



白×青小ランタグ

1935~1936年頃


白×青小ランタグ


そしてデカラン直前のこのタグ。


フットボールTでは2着確認できていますが、スウェットでは見たことがありません。


極短期間なのでは?と思っています。

と、言うのもCHAMPIONは1935年に社名変更をしています。



CHAMPION社名遍歴


1919~1923年
Knickerbocker Knitting Mills

1923~1935年
Champion Knitwear Mills

1935~1967年
Champion Knitwear Company

1967年~
Champion Products

このことから1935年以降もしばらく使い続ける予定にも関わらず社名が変わってしまったために短期間でデザイン変更をしたのでは?

と推測しています。


以前、アメリカのCHAMPION本社に短期間在籍し歴史を調査していたアーカイブ担当としばらくメールでやりとりしていた時期があります。


その彼が出版した本がこちら。

日本国内では購入することは難しいですが、機会があればご覧ください。
全英文ですが見応えのある内容です。




彼曰く、アメリカ本社にもタグなどの変更記録はなく、ヴィンテージのアーカイブも少ないようです。

ただ、書面で残っている記録は非常に参考になるものもあり、長年気になっていたけれど全く辿り着くことが出来なかった『Champion Knitwear Company』への社名変更年。


これが1935年というのは彼からの情報です。



そして皆さんご存知のデカランに以降します。



デカラン以降は市場にもある程度数もありますし、年代判別もできてきているので私の推測はここまでで終わりにします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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