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目標って、達成できないとダメなの? 人生を前に進める、2ステップの目標設定

「決めたことは最後までやりなさい」って、ホントに大事?

 親や先生から教わったからでしょうか。「目標」に対する苦手意識を持っている人は少なくありません。勉強を教えない塾でも、幾度となく相談に乗ったり敬遠されたりしてきました。

・決めてもどうせ忘れる
・達成できなかったら傷つく
・決めなくてもうまくいってる
・漠然とした目標しか立てられない
・目標を達成できない自分は甘い、意志が弱い

 しかし目標設定を楽しんでいる人に話を伺うと、目標に対する考え方がそもそも違います。

・目標は、行動を起こすきっかけ
・目標を決めないと、現状維持になりがち
・目標はデータ、時には失敗することも必要
・目標を達成できないのは、やりたくないから
・達成できるかどうかより、前に進めるかどうか

 そういえば、僕たちは「目標を立てましょう」とは教わってきましたが、「こうして目標を立てましょう」は教わってきませんでした。
(先生や上司にだって、知らないことはあるものです)

 幸い勉強を教えない塾には、世代や立場が多様な人が集まり、目標や行動について意見を深め合うことができました。目標についてどう考え、どう設定すればうまくいくのか、知識だけじゃなく経験も分かち合ってきました。そこにはきっと、子どもにも大人にも役立つ知恵があるはずです。

 そんなわけで、「目標の立て方」についての知見をまとめてみました。よければ読んでみて、いいなと思ったらスキやフォローをお願いします。
ではよろしくお願いします。

◆ なぜ目標達成はうまくいかないのか

目標とは、未来を決めるもの?

 目標設定でよく目にする問いは、「いつまでに、どうなっていたいか」です。設定するテーマがビジネスであれダイエットであれ、期限と分量を定めて計画を立てるのが一般的です。だから多くの人は、目標を「未来の自分との約束」のように捉えています。

 そんな人に贈りたいのが、RADWIMPSの『夢番地』という曲です。歌いはじめの方にこんな歌詞があります。

うずくまって 閉じこもって 明日を待っていたんだよ。
だけどなんで 明日になってみれば今日がまた始まるの。

『夢番地』/RADWIMPS

 「明日の自分」に期待を寄せて今日はのんびり過ごす。しかし明日になっても「明日の自分」にはなれるわけじゃなく、そこには「今日の自分」がいるだけ。頭の中の自分はカッコいいけど、実際の自分はダサい。だから目標を考えるほど自己嫌悪に囚われるようになる、というわけです。

未来を起点に定めた目標は実現しない

 目標設定では期限と分量を考えるため、「目標=未来を決めるもの」と一般的には思われがちです。学校なら志望校の受験、会社なら四半期の目標、いずれも「その時までに、何をすべきか」を考えます。未来の期限までに、必要な分量をクリアできるかどうかが重要なので、どうしても未来を起点に目標が設定されているように思えます。

 しかし、期限と分量だけを考えていてもその目標は達成できません。なぜなら、そこには「現在の自分」に対する理解が抜け落ちているからです。自分の能力や時間の余裕、集中の度合いなど、現在の状況によって目標達成の難易度はガラッと変わります。

 現在の状況が正確に理解できていないまま目標だけを定めても、達成や実現は困難です。『夢番地』の歌詞の通り、時間が経っても目の前にあるのは「今日」だけ、「明日」はいつまで経ってもやってきません。目標設定における最大の落とし穴は、「現在とつながっていない未来」を起点に考えてしまうところにあります。

目標設定は、現在を理解することから

 現在と未来がつながった目標を定めるには、まず「現在」を正確に理解することが大切です。たとえば、

・今の自分のレベルはどれくらいか?(知識・経験・資金・人脈など)
・そこから想定できる、「これからできること」は何か?
・どんな手順を踏めば、現状から目標へ進むことができるか?

 現在の状況から考え始めれば、未来の予測や創造が容易になります。旅行を例にするとわかりやすいのですが、「行き先」を決める参考になるのは「予算と現在地」ですよね。自分が使えるお金と住んでいる場所が明確だから行き先を決めることができます。

 最終的には「いつまでに、どうなりたいか」を決めるとしても、そのための始まりは「今の自分はどうか」です。どんなに大きな目標も、現在の自分が見えているからこそ描けるものです。未来を創造するためにこそ、目標設定は現在を起点に考えることのがポイントです。

現在地を把握するには「振り返り」がオススメ

◆ うまくいく目標は「2ステップ」

最初の目標は「囮」、崩れて当たり前

 現在地が正確に理解できたら、そこから目標設定が始まります。しかし、最初からうまく目標を達成しようとする必要はありません。最初に重要なことは、とにかく動き出すこと。そのためには、何でもいいからまずは目標を設定してみることが大切です。

 とりあえず何でもいいから目標を定めてしまえば、それを起点にアクションを起こせます。いろんなことが見えてくるのはそこからです。

・それは本当にやりたいことか
・予定通り続けられそうか
・もっと良い方法はあるか

 合ってると思えば続ければいいし、違うと思えば方向転換すればいい。最初の目標は「動き始めること」が重要なので、やってみてうまくいかなければ見切りをつけてOKです。多くの人が目標を諦めてしまうのは、最初から全部うまくやろうとしすぎるからです。

 最初の目標は捨て石だと思えば、想定通りに進まなかったからといって気にする必要はありません。それをもとに新たな目標を再度定めていけば大丈夫です。目標についてとてもうまく言い表している言葉があります。

「真の目標は、当初定めた目標から90°直角に曲がったところにある」

実験を重ねることで真の目標に気付く

 真の目標は、動き出した先の気付きや展開を経て見つかります。裏を返せば、見つけるまでにはたくさんの試行錯誤が必要になります。それはいわば「実験」を繰り返すようなもの。目標達成には「仮説と検証」が必要です。

 科学者を想像してみてください。一つ実験が失敗したからといって、「自分は科学者には向いてないんじゃないか」と凹んでいては、研究は進みません。実験とは、たくさんの繰り返し(仮説と検証)を経て正解に至るものだとわかっていれば、一つの失敗にいちいち凹むことはなくなります。

 目標達成も同じです。最初はデータが少ないからこそ、実験して経験や情報を増やします。それをもとにまた仮説を立て、検証を重ねていくことで、やがて「これならうまくいく」という正解に至ります。

すべては「データ」にすぎない

 最初から全部を成功させようと思うと苦しくなります。うまくいかなかったからといって検証をやめてしまうと、それ以上の気付きは得られません。一つの結果に一喜一憂していては、行動や習慣の改善も難しくなります。

・試してみて、何がうまくいったか(うまくいかなかったか)
・自分にとって、何が良かったか(良くなかったか)
・前向きに感じていることは何か、後ろ向きに感じていることは何か
・自分の行動から見えてくるパターンや傾向は何か

 成功も失敗も、すべては「データ」にすぎません。どんな時にうまくいって、どんな時にうまくいかないのか、データが集まることで目標や計画は少しずつ正確になっていくのです。仮説を立てて検証することは、自分を批評することではなく、自分について一つ理解を深めることなのです。

検証(振り返り)に批判は不要

◆ 目標設定がもたらす3つのメリット

 目標設定(=仮説と検証)を繰り返していくと、少しずつ要領がわかってきます。最初は意識するだけでも大変だった目標が、気付けば「なくてはならないもの」に進化していきます。目標設定が習慣化されていくことで得られるメリットは、意外とたくさんあります。

メリット① 新しい自分に気付ける

 これは目標設定そのものというより、「検証(振り返り)」から得られるメリットです。目標や計画に対して、自分がどんな行動を取ったのか、どんな感情になったのか、考えるうちに「意外な自分」が見えることがあります。今までならスルーしていたような、小さな変化に気付けるようになります。

 そもそも「自分」とは、これまでの経験で成り立つものです。経験の幅によって僕たちは自分の能力の限界を決めます。だから新しい目標を設定すれば、経験の幅や挑戦の難度が上がるので、新しい自分・意外な自分に気付きやすくなります。

 人は想像以上に自分の可能性を過小評価している、とは自己啓発の世界でよく言われることです。挑戦するものが増えるほど能力は開発され、昔の自分ならできなかったことができるようになります。目標設定は、成長や発見のきっかけを与えてくれるものでもあるのです。

メリット② 安心して挑戦できる

 世間では「挑戦か、安定か」という考え方がよく出てきます。しかし、実際にさまざまな挑戦をしている人の考え方は、「安定があってこそ挑戦できる」というもの。両者は対立ではなく、順序だというのです。

 大きなジャンプは、足元の地面が固まっていないとできません。大きな挑戦をするには、「豊富なデータ」という地面が必要です。目標設定に慣れ親しんでいれば、仮説と検証によって足下が固まります。データが豊富だからこそ、自分にとって適切な挑戦の度合いがわかります。

 人生には、時に大きな挑戦や飛躍を迫られる場面もあります。それができるのも、やはり「現状理解」ができるからこそ。まわりが見えていない中での行動は、挑戦ではなく博打です。目標設定を習慣化し、少しずつ達成の度合いを大きくしていくことで、偉大な挑戦は現実のものになっていきます。

メリット③ 変化に適応しやすくなる

「先のことはわからないから、目標を立てても意味がない」という意見があります。しかし、「先のことがわからないからこそ、目標設定が必要」だと言い換えることもできます。普段から仮説と検証のクセをつけておく方が、先が見えない中でも行動を起こしやすくなります。

 自分なりにアイデアを出して行動できる人は、普段からいろんなことを試しているものです。普段何も考えていない人が、いざという時だけ的確に考えられる道理はありません。変化に適応していく上でも、仮説と検証の習慣は効果を発揮します。

 現状の改善も、変化への適応も、重要なのは「データ」です。データがない人の試行錯誤は、同じパターンの繰り返しであるケースがほとんどです。さまざまな成功と失敗のデータがあることで、人はパターンから抜け出し、変化に適応していきます。

30年前、こんな未来は予測できませんでした

◆ 目標を理解して、理想を実現しよう

 一口に「目標」と言っても、人が抱く印象は千差万別です。そのメカニズムは複雑で、一概に評価を下したりマニュアル化できるものではありません。表面的な出来不出来で自分を批評してしまうと、せっかくのチャンスや可能性を見落としてしまうかもしれません。

「目標の立て方」についてじっくり教わった人はほとんどいないし、万人に当てはまる目標は存在しません。だから、自分に合った目標の立て方は自分で探さなくてはいけません。そのためには、まず自分自身を理解することが大切です。

 人の行動の40%は習慣的なもの(=無自覚)だと言われています。目標や計画も、今まで生きてきた中で培われた「思考のクセ」によって印象付けられています。まずは自分のクセに気付くことから、本当に自分に合った目標を見つけていきましょう。

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お読みいただきまして、ありがとうございました。
じゅくちょう 福田幸志郎


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