2012年のTVと、2015年のラジオと「証し」。

「朝日新聞」の山口香・日本オリンピック委員会理事の記事

8年前のロンドン五輪の時、担当番組に、当時注目されていた「武道必修化」の話も込みでお話を伺った。五輪の結果に山口さんは「日本柔道は、ほかのどの国よりも柔道の心(競技として最後まで闘いきること)を忘れてしまって金メダルを取ることだけにこだわってしまった」と話していた。

そして「だから銀メダルを獲った選手でも謝ったり大泣きしてしまう結果になった」「指導者は勝てないのを知りながら『金!』と発破をかけ、選手は委縮した。」といった話をされていたのを思い出す。この時、空手の稽古を積んだ女性Dはサブで「姐さん!」と声に出すほどだった。

一方で、武道必修化と柔道大国の復活について「関連付けるべきではない」といった意味のことを話された。しかしながら「着物文化、畳文化という伝統を保持する事の重要性は慮りたい」とも。世界における「柔道発祥の国・日本」がどこに立っているのかを一番わかっている方だなと思った。

2015年、ラジオの年末特番では、国立スポーツ科学センター(東京都北区)からの生中継でご一緒した。この時は、それこそ2020年を目指す上での選手育成、施設面でのあれこれを、実際に施設内に入って山口さんが説明するものだった。現地からの出演は山口さん1人。ラジオで施設の広さや器具などの説明を過不足なくお話して下さった。

この日の僕の仕事は機材係とフロアディレクター。山口さんが「じゃあ、今度はこっちのトレーニング室ね」と言い、僕はついていくだけだった。最後のまとめのトークだけは、応接室のような部屋からの中継だったのだが、機材位置をどうするか考えていたら、山口さんが「私、こっち座りますよ。そうすれば機材を窓側に置けるでしょ?」とテキパキと指示。俺も「姐さん!」と言いそうな勢いだった。

簡易中継機からの電波が確実に本社に送られているかを確認するのが主な仕事だったが、聞いていて、常に現場や選手に視座がある方だという実感を持った。

それは、7年程前に大きく報道された柔道の暴力問題で、選手15人の告発を後押しした時と同じで「一本」筋を通している人なのだと思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?