読書感想文【0ベース思考】スティーヴン・レヴィット/スティーヴン・ダブナー著
こんにちはコウカワシンです。
今回は、スティーヴン・レヴィット/スティーヴン・ダブナー両氏の著書【0ベース思考】から学ばせていただきます。
本書は、「どんな難問もシンプルに解決できる考え方」を教えてくれる本です。
本書で目を引くのが、「すべてのバイアスをゼロにして考える」という思考法です。
つまりこれが、「0(ゼロ)ベース思考法」ということです。
これができるようになると、あらゆるバイアスから自由になり、一発で本質に切り込むことができるのです。
なんでも「0ベース」で考えてみよう
先入観を取り除き問題の原点に立ち戻ろう
「0(ゼロ)ベース」とは、先入観にとらわれず問題の原点に立ち戻って考えるという思考法です。
たとえば、サッカーのPKでどのように蹴ればゴールを決めることができるかということを考えてみます。
ゴールキーパーはキッカーが蹴りだすと同時に左右のどちらかに動く可能性が大きいです。
キッカーはどうしてもゴールを決めたいので、左右どちらかのゴールポストぎりぎりを狙うことでしょう。
ゴールのど真ん中を狙うのはかなりなリスクがありますよね。
というのも、「ゴールど真ん中なんて絶対にキーパーにキャッチされるじゃん」という先入観があるからです。
しかし、統計的にど真ん中を狙うほうが両サイドを狙うよりも7%も成功率が高いというデータもあるのです。
だとしたら「ど真ん中」という選択肢を採用するのが、これまでの常識にとらわれず、かつゴールの可能性を高めた答えの一つということになるでしょう。
ですので、どのような問題もこれまでの常識を疑い、「偏り」「偏見」「先入観」といったバイアスを取り除いて原点に立ち戻る意識,、つまり「0ベース」で考えることがが合理的だということなのです。
なぜ「0ベース」で考えることが合理的なのか?
なぜ「0ベース」で考えたほうが合理的なのかは次のとおりです。
「直観」や「主義主張」は問題を複雑にするから
ヘタなフィードバックが判断を誤らせるから
問題の本質を気づけないから
「直観」や「主義主張」、自分がこれまでに経験したことはすべて正しいことでしょうか?
こういってはなんですが、誰でも「自分の考えは正しい」という意識を持っています。
これが偏った先入観で凝り固まり、問題を複雑かつ誤った判断をしてしまう原因になるのです。
こうして問題の本質を見抜けず、いつまで経っても抜け出せない袋小路にハマってしまうしまうということなのです。
「0ベース」で考えるには何が必要か?
「0ベース」で考えるために何が必要かを本書から抜き出してみると次のとおりです。
「目のつけどころ」を変える柔軟性
「わからないものはわからない」と認識し、現実に直面する素直な心
「避けて通りたいところ」にカギがあるとする冒険心
「目のつけどころ」というものは、ある意味「自分の都合のよい」ように解釈しがちです。
ある情報が「自分の都合のよい」ものだとしたら、その他の対極にある情報を排除するのではないでしょうか。
そのようなことばかりでは、混乱と矛盾に凝り固まり、悲惨で無駄で危険な結果を招く恐れだってあります。
それを防ぐためにも「目のつけどころ」を変える柔軟性を持ち、できるだけ詳細なデータを取得して感情を入れないようにすべきです。
それ以外にも、誰もが「実は何も知らない自分」ということに気づいていません。
人は自分の習慣や道徳のコンパス、「誰かがやった結果」を混ぜ合わせたものをもとに決定を下すことが多いそうです。
そのなかには、実は知らない(わからない)ことだってあります。ですが人は、知らないことを「知らない」と認めることが少ないのです。
そして、知っているようで実は知らないことだってふつうにあるでしょう。
ですので、「わからないものはわからない」と認識し、現実に直面する素直な心がとても重要なのです。
誰もが「避けて通りたいところ」というものを持っています。実はそういったものが、問題の本質の場合が多いのではないでしょうか。
たとえば、著者の書籍である『ヤバい経済学』で、犯罪発生率の低下の要因の一つは1970年制定の「人工中絶の合法化」であるとしました。
これは人々の神経を逆なでし「妊娠中絶は犯罪を減らす作用がある」にもかかわらず、米国で妊娠中絶が道徳論争や政治論争の的になったといいます。
つまり、タブーな部分に触れたことで、中絶反対派にも賛成派にも受け入れられなかったということです。
でも不思議と嫌がらせの手紙は殺到しなかったそうです。
これは妊娠中絶が犯罪を減らす「作用があった」と指摘しただけで「根本的原因」だと指摘したわけではないと気づいてくれたからだとしています。
望まれない妊娠から生まれた多くの子どもが犯罪の温床となるひどい環境で育てられたことが根本原因なのです。
こうした根本原因というものには、誰もが目を背けがちです。なるべく避けて通るのではないでしょうか。
このような議論するのも避けたいことがらを横に置いておいて、警官や刑務所や銃規制について議論するほうがずっと気楽です。
でも犯罪撲滅を願うなら、まずは出発点となる根本原因を改善する対策を取ることが重要です。
物事の本質は実は「避けて通りたいところ」にカギがあるというのは、こういったことなのです。
たしかに人が言わないことを言うのはリスクがあるものですが、このような冒険心は何ごとにも大事だということです。
どうすれば「0ベース」思考法を実行できるか?
では、どうすれば「0ベース」で物事を考えられるようになるかを本書から抜き出してみたいと思います。
それは次のようなことです。
誰も考えない「小さな問題」を考える意識を持つ
これ以上ないほど単純になるまで分解する
違う角度から見る意識を持つ
大きな問題を考えることは誰でもします。そのなかで解決するものもあれば解決しないものもあるでしょう。
でも大きな問題というのは、小さな問題の集合体であるともいえます。その小さな問題を考える人はあんがい少ないものです。
大きな問題をいっきに片付けようとするよりも小さなかけらとなった問題に取り組んだほうがグッと物事が前進します。
この誰も考えない「小さな問題」を考える意識を持つという行為は、こんがらがった大きな問題のねじれを取りやすくすると同時に他者との違いをはっきりさせ優位性を持つこともできます。
他者に向いて優位性を持つには、根拠になることの説明責任が必要ですが、他者が納得するには単純明快なことが重要です。
ですので、これ以上ないほど単純でなければいけません。
たとえば、前出の「中絶と犯罪の因果関係」問題で、10年のうちの中絶件数の急増と、犯罪件数の減少を照らし合わせるデータをよくわかるように提示しながら説明すること。
ふつうの人なら、中絶件数の急増した様子から道徳的・政治的な悪影響を心配しつつも、犯罪件数の減少さから見ると何らかの影響を与えたというのを納得するはずです。
そして単純であればあるほど自分自身の理解が深まることも期待できると私は思います。
物事を理解するには、違う角度から見る意識を持つことも大事です。
マジックショーでも真正面からはマジックのタネがわからないが、見る角度を変えれば変えるほどタネがわかってくるのと同じです。
大人の目線からわからないなら子どもの目線から見てみるような感覚がときには必要であるように、違う角度から見ることで問題解決の景色が変わることもあるでしょう。
これを踏まえたうえで、これまでの常識や価値観などを取り去り、現代社会のルールを考慮し、小さな「なぜ?」「本当にそうなの?」という疑問を立てることです。
「0ベースで考える」とは、ときに「ちょっと変わり者」になる覚悟が必要かもしれませんが、他者と差別化を図るためには必要なスキルです。
成功者になりたいならぜひ読んでおきたい一冊ですね。
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