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読書感想文【思考の整理学】外山慈比古著

こんにちはコウカワシンです。

今回は外山滋比古(とやま・しげひこ)さんの著書【思考の整理学】から学ばせていただきます。

本書は、「思考の整理ノウハウを手に入れ能動的に物事を考えられる人になる」ための考え方を教えてくれる本です。

著者の外山さんは、英文学者でお茶の水女子大学の名誉教授を務められた人です。

グライダーから飛行機へ

外山さんは、「学校教育で知識を受動的に得た人(グライダー人間)が評価されているが、本当は自力で物事を発明・発見できる人(飛行機人間)が必要であり、そうなるべきなのだ」を力説します。

グライダーといえば、高性能で優雅な飛行をする乗り物を連想しますが、自力で地上から飛び立つことはできません。

それを学校教育で知識を受動的に身につけて頭でっかちの知識人に例えたのが「グライダー人間」ということです。

それに対しスマートではなくても自分で物事を考え実行する人を自力で地上から飛び立つことのできる飛行機に例えて「飛行機人間」になるべきといわれるのです。

しかし、学校教育で知識を身につけることがいけないということではなく、いわゆるグライダーにエンジンを付けた飛行機に進化することが重要であるともいうのです。

つまり、学校教育で必要な知識を得たうえで自分でしっかり考えられる思考を持つという「グライダーから飛行機へ」の進化を促すのが本書の意図なのです。

それには「思考の整理」をして活発に頭脳が働く仕組みが必要です。

なぜ「思考の整理」が必要か?

本書が掲げる「思考の整理」がなぜ必要かというと次のような理由です。

  • 知識の詰込みだけではコンピューターに敵わないから

  • 頭の中がごちゃごちゃしていたらしっかりと考えることができないから

  • アイデアを生み出す過程には思考を整理する必要があるから

まず言えるのが、知識をいくら詰め込んだとしてもコンピューターには勝てません。

詰め込むだけの倉庫の大きさではコンピューター(現代ではAI)の能力が高く、だとしたら人間はものを作り出す工場であるべきです。

物を作り出す工場になるためには、工場内がごちゃごちゃと混雑していたのでは生産性が高い仕事ができるはずがありません。

それは頭の中も同じです。

生産性の高い仕事、仮に新しいアイデアを創造するためには、自分の持つ知識と新たに得た情報をミックスし熟成させる工程が必要です。

そのためのノウハウの一環として思考を整理する必要があるのです。

「思考の整理」には何が必要か?

頭の中をスッキリさせ、物事を生み出すパフォーマンスを上げるために何が必要かというと次のとおりです。

  • 睡眠

  • 醗酵

  • 情報の取捨選択

頭をスッキリさせるためには、心身ともに健康でなければいけません。それにはきちんとした「睡眠」をとって十分な休養を取る必要があります。

外山さんは、睡眠の質を上げる工夫をし、そのうえ“朝飯前”といった状態が仕事のパフォーマンスを高めることから、一日に二度このような状態をつくり思考の整理に役立てたそうです。

そして、ずっと考え続けても名案は湧かない、これを「見つめる鍋は煮えない」と評し、物事はいったん寝させるに限ると言います。

いったん寝させることで他の情報とも相まって考えがまとまり、すーっとアイデアがひらめくことがあります。

うまく頭の中で考えがまとまる過程を「醗酵」といいます。

この醗酵の過程では、「情報の取捨選択」が必要です。つまり“忘れる”ことが大事なのです。

忘れることはいけないことだとはいいますが、人間、何でもずっとおぼえているのには無理があります。

何でもおぼえていられる、倉庫はコンピューターには敵いませんから、人間は工場のごとく創造的に活動できるようにシフトすべきです。

ですので、工場の稼働効率を上げるために情報の取捨選択をするのです。

必要な情報は留め置き、不必要な情報は捨て去ることが大事なことなのです。

「思考の整理」をするには、どうすればいいか?

それでは、「思考の整理」をするためにどうすればいいかを探っていきたいと思います。

それは次の通りなのではないかと思います。

  • 十分な睡眠をとる

  • メモの活用

  • 声に出してしゃべる

やはり頭のパフォーマンスを最大にするには心身ともに健康でなくてはいけません。

そのためにも食生活や生活習慣を見直すとともに十分な睡眠をとることが欠かせません。

そして、ふとしたアイデアが頭に浮かんできたら、すぐさまメモを取ることがベターです。

外山さんは寝る床の中とかトイレ、電車とかで移動しているときなどにいいヒントが浮かんでくることから常に紙に書き留めれるように用意しているそうです。

こういったメモの活用こそが、思考の整理に大きく役に立つのです。

それから、声に出してしゃべることも良いと言います。

たとえば、書き上げた原稿を声を出して読み直してみるのです。声が出せずとも声を出して読むつもりで読むのです。

もし、読みつかえるところがあれば、必ず問題がひそんでいます。再考すべきです。

外山さんは、調子に乗ってしゃべっていると、自分でもびっくりするようなことが口をついて出てくるそうです。

それだけ声は考える力を持ち、私たちは頭だけで考えているのではなく、しゃべって、しゃべって、しゃべりながら考えているのでしょうね。

まだまだ本書では「思考の整理術」なるものがまんさいなわけですが、本書を参考にしつつ自分なりの思考の整理方法を思いつくことができるでしょう。

さすがに「東大や京大で1番読まれた本」というのが、よくわかります。

中学生以上なら読破し、自分なりの考え方をできる素地ができることでしょう。

ぜひ若い世代に愛読書として読んでいただきたい一冊に感じました。


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