見出し画像

自叙架空#132



私の部下でフロアマネージャー補佐はプレデターだ



プレデターは、容姿は映画に出てくる奴と同じだが、人に暴力をふるったり殺めたりといった残虐行為は一切せず、数年前に我が社の百貨店部門に新卒で採用されて以来、真面目な勤務態度と高い接遇スキルでお客様からの評判も良く、今やうちの店舗には欠かせない存在となっていた

 


ある時ビルの配電盤のトラブルで営業中突然フロアが停電になり、予備電源に切り替わるまで一分の間真っ暗で、夜目が効くプレデターはお客様に声を掛けてフロアの安全な場所に誘導し、皆を落ち着かせているのが私の耳にも聞えていたのだが、一分経って照明が点くとあるお客様が連れがいないと言い出し、床には引きずった跡のような血痕が非常口のドアまで続いていたため、私を含め全員の視線が一斉にプレデターに集まると、プレデターは突き出した両手を振って違う違うと否定したものの、残念ながらその二つの掌はこれでもかというほど血で赤く染まっていた

   


   
     コウ 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?