金蔵皇栄

メソアメリカ史、特にアステカを専門にしています。メソアメリカ文化の知識を広めながら、偏…

金蔵皇栄

メソアメリカ史、特にアステカを専門にしています。メソアメリカ文化の知識を広めながら、偏見を取り除くことを目標にしてます。norteでは解説記事のほかに少し私生活についても書きます。

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アステカ王国に存在した16kmの巨大建造物「ネサワルコヨトルの大堤防」

情熱とサボテンの国メキシコ 北アメリカ大陸に位置し、首都はメキシコシティ。おのずと名の知れた国のひとつである。この国では昔、現在のメキシコ人の前に先住民が住んでおり、この地にやって来たスペイン人は彼らとメキシコの地を植民地支配することで繁栄を得た。 そんな植民地時代も時は過ぎ現代。独立からさらなる混乱を経て彼らは力強くメキシコの地に生きている。今回はそんな彼らの首都であるメキシコシティ・・・その下に眠る、巨大な街と消えた湖。そして街を支えた大堤防について学ぼう。 メキシコ

    • クロニカから見るデジタル化される資料

      現在、インターネットの普及により多くの歴史的資料や情報がウェブサイト上で一般公開している。 例を上げれば、日本文学研究において重要な「竹取物語」や日本史研究において用いられる「平家物語」 これらの動きは研究者に限らず、研究という活動における大事な一次資料の読解を一般の歴史愛好家やアマチュア研究家にまで広げることができた。インターネットの社会における情報化の大きな功績といえるであろう。 また、これらの活動は日本史研究だけに限らず、メソアメリカ研究においても同様であるといえ

      • 個人的参考書(随時更新中)

        ここは私が現在所持しているメソアメリカ参考資料や本たちです。また、これから購入する気がある本も下部に記述してあります。メソアメリカについて興味がある方は、ここから本を探してみてはいかがでしょうか。 個人的に初心者におすすめの本は太文字にしております。 入手済み・インディアスの破壊についての簡潔な報告 岩波文庫 1976年6月 ・ラテンアメリカ民話集 岩波文庫 2019年12月 ・コロンブス航海誌 岩波文庫 1977年9月 ・マヤ文明 石田栄一郎 中公新書 1967年

        • 『まやまやぽん体操』の歌詞を徹底解説

          「悪魔崇拝だ」「子供の影響に悪い」「狂っている」 これは、2023年7月18日の午後11時45分に放送されたNHKの番組である『まやまやぽん体操』に対しての反応である。 なぜ、このようなコメントが付いたのだろうか。 今回は実際にまやまやぽんの歌詞を分析しながら、本当に不適切だったのかを考えていく。 そもそもの『まやまやぽん体操』とは何であろうか。 これは、去年の夏ごろから開催されている古代メキシコ展の開催と合わせて放送されたNHKの番組であり、“古代メキシコ文明の魅

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        アステカ王国に存在した16kmの巨大建造物「ネサワルコヨトルの大堤防」

          「銃・病原菌・鉄」はアステカ王国を滅ぼしたのか

          新大陸の先住民と西欧について言及するとき、切っても切り離せない話題がある。それこそが『銃・病原菌・鉄』である。 少し、人類史を学ぼうとすれば出てくるこの単語は1997年のジャレド・ダイヤモンド氏著書から引用され、メソアメリカ研究をする人間も一度は通る道である。 多くの人々は、アステカ王国についてもこの書籍の考えを引用し、アステカ王国の滅亡を「武器などの技術の差」や「免疫のない人々が病原菌と接触したから」と片付ける。実際、私の経験した高校の授業でもそのように教えられ、当時日

          「銃・病原菌・鉄」はアステカ王国を滅ぼしたのか

          三都市同盟を支えた都市「テツココ」とは何か

          アステカ王国=テノチティトラン このような考えは多くの人が抱いている考えであろう。 実際、義務教育における世界史においてもアステカ王国の首都として紹介され、アステカ=テノチティトランのような考えを持ってしまう。 しかし、三都市の同盟によって形成されたアステカ王国において、このような安直な考えは間違っているといえよう。 今回はアステカ王国の歴史を踏まえて、アステカ王国を支えた大都市「テツココ」について学ぼう。 テツココはアステカ王国において、テノチティトラン、トラコパン(

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