見出し画像

【「私」にしか書けないものが必ずある】簡単なコツをつかめば文章にも「個性」が生まれる(2018年4月号特集)


 全く書けないわけではないが、どうもありきたりな文章だと思う、読む人に伝わらないと思ってしまう。そんなお悩みを解決しよう。

解決策①:一点突破で、ある面をとぎすます

「私」は世界に一人、「私」を書こう!

 ありきたりとは、珍しくない、ありふれている、平凡という意味。
 そうなってしまうひとつの原因は、正しいことを書こうとしすぎること。客観的な正論もいいが、報道の文章ではないので、それをそのまま書いても面白くはならない。正しいことを書くのがだめなら、正しくないことを書けばいいのかというと、そうではない。

 一番いいのは「私」を書くこと。
 「私みたいに平凡な人間のことを書いても面白くないですよ」と言う人がいるが、そんなことは全然ない。一人一人が違った生き方をしているし、考え方も違う。

 それでもありきたりになってしまうとしたら、それは書き方のほうに問題がある。同じ体験をしても、見る角度や光の照らし方、思索の深め方によっては全く違った見え方をする。ありきたりな文になってしまうのは、人と同じ見方をしているから。

 優等生的な文章もありきたりになりやすい。自由さがなく、誰かに書かされたような文章では読む人をはっとさせられない。
 また、すべてが平均点というのもよくない。それならここだけは抜群にいいというほうが印象に残る。一点突破だ。

 個性的な人にしか個性的な文章は書けないとは思わないこと。これは逆。個性的な文章を書いたから個性的な人になれる。

ありきたりからの脱却

観察力を養う

 思索を深めるためには情報が必要で、情報は子細な観察力のたまもの。「桜」について書くならまず桜をよく見る、細部を見る。それがひいては描写力につながっていく。

独自の視点

 題材の新しさにも似ているが、新しいだけでなく、「よく知られていることだが切り口が新しい」などの目のつけどころを磨く。これがいいとありきたりから脱出できる。

「私」を書く

 個人的な体験、主観が一番面白い。平凡な風景でも、ちょっと見方を変えると劇的に変わることがある。それを可能にするのが個人の主観。ただし、普遍性は必要。

焦点は小さく

 風景を書くにしても漫然と遠景だけを書くのではなく、望遠鏡でのぞくように部分をクローズアップさせる。どこに焦点をあてるかには個人差があり、それが個性となる。

思索を深める

 通りいっぺんの見方ではなく、「幸福な夢こそが人を傷つける」のように、逆説的で、はっとさせることを書く。ただし、深い思索の末に出てきた言葉でないと刺さらない。

新しい題材

 先んずれば人を制す。まだ誰も取り上げていないことを書く。新しい情報、新しい話題、知られざる流行など。ただし、新しいものは古くなるのも早いので注意。

解決策②:直接的に書かず、察してもらう!

伝わらない理由①:説明している

犬といってもいろいろなのに、犬種や個体差を無視して共通の特徴でくくって「犬」と説明するのが概念。これは意味内容だけを伝えるのには便利だが、具体性がないので実感は伝えにくい。
たとえば、「楽しい」と書けば楽しかったことはわかるが、どう楽しかったのかはわからない。
感情や感覚、テーマなどは抽象的概念で説明しないこと。それで伝わったと思わないこと。

伝わらない理由②:間に余分がある

〈梅にウグイスと言う。ウグイス色の鳥と言えばメジロだ。メジロと見間違えたのだ。〉
これに手を入れてみよう……

伝えたいことを正しく伝えるための技はまだまだある!
特集「文章を書く7大お悩みを解決!」
公開全文はこちらから!


※本記事は「公募ガイド2018年4月号」の記事を再掲載したものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?