【気の向くままに書いてない?】ワンランク上のエッセイを書くために必要なこと(2014年8月号特集)
エッセイの定義
エッセイってなに?
エッセイの語源はフランス語のエッセ(essai)で、これは試みという意味だそうです。
一方、日本語で随筆と言った場合、随には勝手気ままという意味がありますから、筆のおもむくままに書いたものという印象が強くなります。
エッセイを辞書で引くと、
とありますが、1はエッセイを随筆の面から捉えたもの、2はエッセイをフランス語のessai の面から捉えたものではないでしょうか。
このように随筆と試論、二つの意味があるエッセイですが、共通して言えるのは、《フィクションではなく、自分のこと、自分が体験したことなどを題材に、自分が考えたことを書いたもの》ということ。この点は共通しています。
エッセイの種類
エッセイの種類を題材で分けるのは不可能に近く、笑えるエッセイ、泣けるエッセイ、怒ったエッセイなど分類していけばキリがありませんが、図のように、
X軸 「私」の濃度
Y軸 論の度合い
で分類すると、四つに分けられます。
Aの領域は、「私」の濃度が強く、論が立ったもので、体験を踏まえた意見、提言などがこれにあたります。Bの領域は、体験は書いても「私」の濃度は高くなく、かつ、論が立ったもので、学術エッセイなどがそうです。Cは、「私」を書くでもなく、特に論でもないということで、言葉遊びやギャグ的な文章を指します。Dは、自分が体験したこと、感じたことなどを中心にまとめたものです。ただし、一般的にエッセイと呼ばれるのは、Dの領域が多いでしょう。Aは投書、Bは論文、Cは面白おかしい雑文として扱われることもあります。
エッセイの目的
エッセイを書く目的は、誰のために書くかによって異なります。
誰に見せるわけでもなく、応募するわけでもなく、公表もしない、もっぱら自分のためだけに書くというのであれば、書いたことで自分の気持ちが整理されたり、落ち着いたり、記録として残せたりすればいいでしょう。
一方、公募の応募作を含め、不特定多数の第三者に読まれるものは、
「共感と感銘」
を与えることが求められます。
「分かるなあ」とか「すごいなあ」という気持ちにさせられなければ、読むほうも読む甲斐がありません。読者不在ではならないわけですが、しかし、それはある種の娯楽小説のようにもっぱら読者を喜ばせるためだけに書くことではありません。
書いていることは自分の体験ですし、自分に向かって書いてもいるのですが、書かれたものが第三者の鑑賞に堪えるということです。
エッセイを書く前に
自慢と批判に注意
身辺雑記的なエッセイでよくある二大パターンは、清少納言の『枕草子』のように新たな発見を書いたもの、そして、鴨長明の『方丈記』のように世間や過去を観察、回顧し(誤解を恐れずに言えば愚痴を)書いたものです……
具体例から「良いエッセイ」を考える
特集「エッセイを書く欲と力」
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※本記事は「公募ガイド2014年8月号」の記事を再掲載したものです。
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