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【文章を商業レベルに引き上げる】ライターになりたい人には絶対見てほしいライティングのポイント14選(2018年6月号特集)


 才能のうちの文才、これをお金に換える、誰かに買ってもらうには、文章が商業レベルになければならない。基本のきを知っておこう。

語句の問題

1.並列の場合は呼応させる

 「そこから出たり入ったりしている」のように並列にする場合は、言い方をそろえたほうがいい。「そこから出たり、入った」ではしっくりこない。
 「文章力の向上とテーマ性を高める」も、一方が「向上」で、一方が「テーマ性を高める」なので呼応しない。「文章力を向上させ、テーマ性を高める」としたほうがいい。

2.「にて」は「で」

 「講座は東京にて行われた」と書いてもいいが、「にて」は文語的な古い言い方だから、「講座は東京で行われた」と普通に書いたほうがいい。
 同様に少し古い言い方に「より」があり、雅文では「都よりの使者」などと言うが、これは「から」にする。「東京から」の意味で「東京より」と書くと「東京よりも」と勘違いされる。

3.同じ助詞を続けない

 助詞がつく文節が続かないようにしたい。「私は今度こそは入選したい」などは「は」が連続している。誤りではないが、できれば違う言い方にしたい。
 ただし、2連続はやむを得ない場合もあるのでいいが、3連発は避けたい。「渋谷駅の隣のビルの屋上」などは「渋谷駅の隣にあるビルの屋上」のように書き換えよう。

4.かなや漢字の連続に注意

 「幼児語では魚のことをととと言う」。この場合は「トト」にできるが、変換できない言葉もあり、その場合は「とと。幼児語では魚のことを言う」など語順を変えて対処してもいい。
 「その時間寛平が」は「そのとき」か「その時、」として、「時間」と読まれないようにしたい。ただし、できる範囲で。あまり神経質に考える必要はない。

5.同じ接続助詞を続けない

 「行けと言われたので彼の家に行ったから帰りが遅くなった」。
 「ので」「から」という同じ種類の接続助詞は一文には1つに。
 「応募しようと思ったが、簡単そうだったが、書かなかった」も逆接の接続助詞「が」が連続している。これもよくない。

6.逆説ではない「が」

 「犯人は逃走しましたが、現場の様子はどうですか」。これは「犯人は逃走しましたが、さて」という意味合いの「が」。誤りではないが、「犯人は逃走しましたが、しかし」の文脈と勘違いされるので避けたい。

7.文末に変化を

 現代文の文末には「だ」「た」ぐらいしかないので、同じ語尾がいくつも続くようなら注意。
 となると、「だろう」「なくはない」などをもってきたくなるが、その際は推量や二重否定を使う効果も同時に考慮したい。

問題は短い文が続き、その語尾がそろったとき。
〈今日、打ち合わせをした。紛糾した。無事、解決した。〉
「紛糾した」を「紛糾する」と現在形にしたくなるが、安易に現在形を使うと素人くさくなる。
このような場合は、〈今日、打ち合わせをした。紛糾したが、無事、解決した。〉のように文を続けることで文末を少なくしたほうがよい。

8.開く言葉

 「思う」のように漠字で書くことを「閉じる」と言い、「おもう」のようにひらがなで書くことを「開く」と言う。
 難読漢字を開くのは読み手の不都合を考えれば当然のことだが、平易な言葉でも漢字では書かないほうがいいものもある。

 たとえば、補助用言。「頂く」は動詞だから漢字でもいいが、「していただく」の場合は補助動詞だから、「○○していただく」で一語に見えるようにかな書きにする。
 また、「その様な」「そんな風に」など漢字の意味が薄い場合や、「先ず」「然し」など和語の副詞、接続詞もかな書きにする。

9.接続詞をうまく使う

 文章は、読んでみないことには何が書かれているかわからないが、文頭に「だから」「しかし」とあれば文脈が予想でき、読み手の理解が早くなる。
 ただし、接続詞だらけにすると小学生の作文のようになるので、要所要所で使うこと。接続詞以外にも、文脈を予想させる言葉はある。

 たとえば、「そんなことは少しも……」と言えば、このあとに「……なかった」のように否定が来るとわかる。
 こうした接続詞や副詞は車の方向指示器のようなもので、文章の行き先を示してくれる。読み手はついていきやすい。

10.重複表現

 「馬から落馬する」式の言い方を重複表現と言う。単に言いすぎというだけで誤りではないが、やらないほうがいい。
主なものは下記のとおり。ただ、強調してあえて重複させることもある。絶対に使ってはいけないということではない。

  • 古来より

  • 従来より

  • 射程距離

  • まず最初に

  • 後で後悔する

  • 余分な贅肉

  • 思いがけないハプニング

  • とりあえずの応急処置

  • 後ろから追突

  • 時速10キロのスピード

  • まだ未定

  • 最後の追い込み

  • かねてからの懸案

  • 被害を被る

11.専門用語・略語

 『世にも奇妙な物語』という番組に「ズンドコベロンチョ」という言葉に振りまわされる話があるが、一般的に知られていない言葉や専門用語、業界用語、略語などは説明なしに使わないこと。とくにこなれない外来語は説明を入れるほうが親切。

12.「と」の位置

 何かを列挙する場合、「部屋と私とTシャツと小説」のように「と」でつなぐが、日本語の場合は最初だけ「と」を使い、「部屋と私、Tシャツ、小説」とする(ちなみに英語は逆で、カンマでつないで最後にandとなる)。

13.送りがな

 送りがなは「読む」であれば、「読まない、読みます、読む、読むとき、読めば、読め」のように活用語尾から送るのが原則。
 ただし、本則どおりに送ると「終る」だが、「終える」と区別するために「終わる」と送るなど例外もたくさんあるので、辞書で調べて覚えてしまったほうが早いし楽。

 覚えておいてほしいのは、動詞や形容詞は活用(変化)するが、名詞は活用しないこと。
 ストーリーという意味で使う場合は「お話を書く」のように送りがなはつかないが、スピークの意味で使う場合は「お話しする」のように送りがながつく。

14.同じ言葉の繰り返し

 「同じ言葉を使わない」という文章作法がある。
 たとえば、〈元プロ野球選手の中谷選手が渡米した。実は元プロ野球選手の中谷選手には持病があり、実は持病の治療のために渡米したのだ。〉
 「元プロ野球選手の中谷選手」「渡米」「実は」「持病」が2度ずつ出てくる。

 「同じ言葉を使わない」はもともとは漢詩の作法で、漢詩なら同じ漢字を使わないで書くことも可能だが、日本語では無理だ。
 だからダブってもかまわないが、できればダブらないように、少なくともすぐ近くでは使わないように意識しよう。

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特集「才能をお金に換えよう」
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※本記事は「公募ガイド2018年6月号」の記事を再掲載したものです。

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