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【「てにをは」推敲は後回し!】まずは「大局」をみて、文章をダイエットさせよう


正しい推敲の手順は、意外と知られていない

 推敲するときは、まず文章全体を見て、そのあと、細かな修正をします。大きな部分から直していくのは、目鼻がつかない段階でディテールにこだわってみても意味がないからです。
 文章全体を森にたとえると、「森⇒木⇒枝」の順で見ていきます。これが正しい手順。逆は効率が悪いのでだめです。

多めに書いて、あとで減らそう!

 推敲と言うと、文章を足したり削ったりすることという印象があると思いますが、書き慣れてくると、削ったり書き直したりはありますが、書き足すことは少なくなります。というより、書き慣れた人は、そのほうがうまくいくと経験的に知っているから、そのほとんどの人は最初に書き上げる段階で少し多めに書き、推敲の段階で削っていきます。

 多めに書いて削る利点は、削ろうとすれば無駄が見え、無駄を削ればテーマや筋道がよりはっきりするからです。
 しかも、必要な情報は残されているはずだから、結果、内容が濃くなるのです。
 逆に、少なめに書いてあとで大幅に足すと、その部分だけ文章の雰囲気やテンポが違ってしまったり、ストーリーラインが歪んだりします。

 多めに書くといっても、それがどの程度かは一概に言えませんが、長編なら一割増、原稿枚数が3枚なら最初は4〜5枚、5枚なら7〜8枚書いておけば適当です。

STEP1:まずは大局を見る。細部はあとまわし

 STEP1でやることは、あとで大改修にならないように全体を見直すこと。具体的には、起承転結のバランスはどうか、テーマは浮き彫りになっているか、構成は巧みかなどを見ます。

文章の無駄を削れば、意味がすっきり通る

 無駄というのは、「意味がない、効果がない」という意味です。
 もちろん、「テーマを導き出すために」が前提で、「これを書いてもテーマは明確にならない」なら、その部分は無駄です。

 たとえば、「子どものときの悪戯は、すべては当時好きだった子の気をひくため」というテーマで書くとしましょう。
そのときに出したエピソードが、
①彼女に変なあだ名をつけた。
②彼女のスカートをめくった。
③知人に不幸の手紙を出した。

 この場合、③は明らかにテーマとは無関係です。見つけたら、迷わず捨てます。
 しかし、無駄かどうかは書いてみないとわかりません。書いてみたら案外使えたということもあります。だから、たくさん書き、たくさん削るのがいいのです。

バランスや配分をよくし、流れをスムーズに

 次に気をつけるのは、文章のバランス、配分です。
 起承転結で言えば、起の部分が長く、後半になるほど駆け足になっているとか、逆に前半はあっさり書いているのに、最後がだらだらと長くキレが悪いといったところをチェックします。

 どこかが長いと感じたとしたら、それはそこだけ筆が乗って書きすぎてしまった部分。すらすら書けるときほど注意しましょう。
 問題は、長く書きすぎてしまったなとは思うものの、特に話が逸れているわけでもないし、必ずしも無駄ではないという場合。削るべきか迷いますね。
 そのようなときは、削ったものと元のままのものを読み比べてみて、作品としていいほうを選ぶこと。「せっかく書いたのに」という私情を挟むと判断が鈍ります。

「何が言いたい?」と自問、テーマを浮き彫りに

 テーマが浮き彫りになっていないと思ったときは、テーマについて十分に書かれていないのなら、不足を書き足します。
 「不足はないが、テーマが浮き彫りにならない」という場合は原因を探しましょう。
 原因の一つは、言葉が抽象的だったり話がまわりくどかったりして、テーマが伝わらないケース

 もう一つは、話の筋道が論理的でないか、何か関係ない文脈が交ざっていて、どんなテーマも立ち上ってこないケースです。
 こうなってしまったら、自分に問いかけてみましょう。「要するに何が言いたいんだ」と。そして、自分に答えるつもりで改めて書き直しましょう。

大幅に加筆するときは、情報不足に注意

 ある部分をごっそり削るときは、その中に必要な説明が含まれていないかを確認しましょう。
〈東大出身の塾講師がいたが、気が小さく、ずっと黒板を見ながら授業をするほどだった。〉

 この部分を削るなら、それで不都合はないかを考えます。たとえば、この講師が東大出身であることを書いておかないと、あとの話が情報不足になるという場合は、当然ですが、原稿のどこかに「東大出身」という情報を書き加えておかなければいけません。

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