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学び続けるために大切なこと(『論語』憲問篇)

今回取り上げるのは『論語』憲問篇からの言葉。

古の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす
(読み:イニシエのガクシャはオノレのタメにし、イマのガクシャはヒトのタメにす)

『論語』憲問篇

昔の学者は自己修養のために学んだものだが、今の学者は他人に認められるために学んでいる、という意味。

学びの目的に関するお話ですね。


自分の成長のために学ぶのか、それとも世間に認められるために学ぶのか。

学ぶ目的は人それぞれです。

ですが、今後も学びを継続していきたいのであれば、自分の本心に寄り添った理由を見つけておいた方が良いと思います。

学びの理由が自分の内側にあると、辛いときや苦しいときに踏ん張ることができるからです。

例えば、

  • 「品のある大人を目指しているので、教養を身につけたい!」

  • 「海外生活に憧れているので、外国語を喋れるようになりたい!」

  • 「家族に楽をさせてあげるために、もっと勉強してお金を稼げる立場になりたい!」

というようなイメージ。

学びの理由が自分の本心から出たものであれば、苦しくて途中で立ち止まってしまったとしても、もう一度前に進む勇気が湧いてくるものです。

実際、私の場合もそうでした。

私は一人でも多くの人に古典と歴史の面白さを知って欲しいと思い、noteで1年半ほど発信を続けています。

しかし、その根底には「もっと中国古典について詳しくなって、自身の教養を深めたい。教養のある大人になりたい!」という自分向けの理由もあります。

この自分向けの学びの理由があったからこそ、書いた記事に反応が無い時期や深夜残業が続いて苦しい時期でも、記事を更新し続けることができました。

なぜなら、古典を調べ、自分の中で咀嚼し、記事としてまとめることだけでも、自分向けの学びの理由を達成できたからです。

これがもしも、「多くの人に古典や歴史を知ってほしい」という外向きの理由だけであったなら、「誰も読んでくれていないなら意味がないよね……」となって、途中で更新を諦めていたかもしれません。


苦しいときほど、自分の本心に寄り添った理由が大事になってきます。

逆に、他人が決めた借り物の理由では、いざという時に踏ん張りが効きません。

例えば、以下のような理由は、学習を継続するにあたり難易度が高いと思います。

  • 有名な人がおすすめしていたから。

  • 上司に言われたから。

  • SNSで流行っているから。

なぜ継続の難易度が高くなるのかというと、目標達成には時間がかかるからです。

もともと人間は習慣化が苦手な生き物。

習慣化には3週間かかるという話はよく耳にすると思いますが、この「3週間説」は、マクスウェル・モルツ博士の『自分を動かす あなたを成功型人間に変える』という自己啓発本にある、以下の記述が元になっていると考えられています。

  • 整形手術を受けた患者は、自分の新しい顔に慣れるのに約21日かかる

  • 腕や脚が切断された患者は、手足の幻影が21日間ほど残る

ご覧になると分かるかと思いますが、どちらもかなり特殊な状況です。

通常、習慣化には意思力が必要になりますが、上記の場合は意思力の強弱に関係なく、環境そのものが変化しています。

そのため、「習慣化するまでに約3週間かかる」ではなく、「変化した環境になれるまでに約3週間かかる」と言った方が正確でしょう。

最近の研究では、習慣化にはその2~3倍の期間がかかることが明らかになっています。

以下の記事でもご紹介しましたが、ロンドンの大学生を対象とした研究で、習慣化には約66日必要という結果が出ました。

66日というと約2ヶ月と少し。

孔子も「まずは3ヶ月頑張りなさい」といった趣旨の言葉を残しています。

その心三月仁に違わざれ
(読み:そのココロサンガツジンにタガわざれ)

『論語』雍也篇

学びの道は、今も昔も、一朝一夕で成り立つものではありません。

自分の本心から離れた理由だと、途中で嫌になったり、飽きてしまったりして、挫折しやすくなります。

せっかく人生の貴重な時間を使うのですから、途中でやめてしまってはもったいないです。

自分の心に誠実になって、自分が心から学びたいと思う理由を見つけていきたいですね。

古の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす
(読み:イニシエのガクシャはオノレのタメにし、イマのガクシャはヒトのタメにす)

『論語』憲問篇

昔の学者は自己修養のために学んだものだが、今の学者は他人に認められるために学んでいる、という言葉をご紹介しました。

会社で上司に認められたり、SNSで有名になったりするためだけに行う学びは、時々苦しいものがあるかもしれません。

学びは継続してこそ大きな成果につながります。

途中で嫌になってやめてしまうのはもったいないです。

学びを続けていきたいと思っている方は、ぜひご自身の心の声に耳を傾けて、自分が学ぶ理由を探してみてはいかがでしょうか。


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