コウモリIT法務

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データ・プライバシー・セキュリティ系法令・ガイドライン一覧(民間事業者用)

2024年4月26日時点 ※影響を受ける範囲が広いであろう順に整理 ほぼ全員が関係 個人上保護法 個人情報の保護に関する法律施行令 個人情報の保護に関する法律施行規則 個…

AI Actの条文構成

原文 https://data.consilium.europa.eu/doc/document/PE-24-2024-INIT/en/pdf 前文(1)~(180) 第1章 通則  第1条 主題  第2条 適用範囲  第3条 定義  第4条 AIリテ…

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そんな「保証」で大丈夫か?大丈夫だ、問題なry)

しばしば契約において(特に知財被侵害条項)「〇〇を保証する」と強行に求めたり、逆に「保証は絶対回避する」などの交渉が行われるが、そもそも保証の意義は何であろうか…

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フリーランス新法と下請法の比較

※この記事は2024年4月12日公表のパブコメにかかっている施行令案、施行規則案、指針案、考え方案に基づいています。パブコメにより変動する可能性があります。 適用対象…

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Claudeを触ってみたら驚愕した

Cluaudが何であるかは説明がたくさんあると思うので省略。 アカウントを作成すると、チャット等々形式で以下のように利用ポリシー、やりとりを監視している旨の説明と同意…

改めてクラウド例外について考えてみたら迷子になった

この議論の展開を紙にメモしている際も、noteを書くにあたっても、クラウド例外の要件の関係性について行きつ戻りつを繰り返し、迷子になったが、とりあえずの整理を、間違…

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セキュリティ関連ハード・ソフトローの動き

セキュリティは法務分野にも重要な事項になったEUではインターネットに接続する製品に一定のセキュリティ水準の充足を義務付けるCyber Resilience Actが2024年には施行され…

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法務の仕事を早くするためには

法務の仕事を早く処理する人と、そうでない人の違いを考えてみた。 相談や契約チェックの法務業務の場合は、 1.事案・背景・相談内容の理解 2.論点の検討 3.解決方法、対…

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丸投げを嘆く前にできそうなこと

丸投げとは事業部からの相談やチェック依頼はしばしば「丸投げ」でやってくることがある。 相手方からのメールや契約書がそのまま転送されてくるようなケースである。添え…

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Copilotの使用条件やプライバシー・ステートメントを読んでみた

気になった箇所を飛ばし飛ばし抜粋。 Copilot AI エクスペリエンスの使用条件適用される条件体系の確認 ふむ、商用の場合は追加条件があるようだ。そして商用データ保護…

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情報通信、情報処理、IT系法律用語

漢字で説明されると逆によくわからなくなる情報通信、情報処理用語を法律ではどのように定義しているかのまとめです。 電気通信回線:ネットワーク ※「電気通信回線」を…

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良いヒアリングにするために

ヒアリングとは本記事でのヒアリングは「必要な情報を獲得するため、不足する情報を補うための活動」とする。 またヒアリングは相手からの持ち込みの報連相(受動的)の場…

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法務と経理の対立しがちな関係と歩み寄り方

※ヘッダー画像はStable Diffusion Onlineで生成しました。 本記事は会計系Advent Calender 2023の記事です。 blanknoteさん立ち上げありがとうございます! 自己紹介(…

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収益認識会計基準の「法的所有権」に噛みつくだけの記事

「法的所有権」という語収益認識会計基準で、筆者が最も嫌いなフレーズの1つがある。 この「所有権」という言葉であるが、明らかに民法的な意味での所有権ではない。 ま…

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個人情報保護法と外部送信規律の違いをざっくり理解する

※「ざっくり」とタイトルを決めて書き始めたが思いのほか細かくなってしまっています。 あいかわらず新しいウェブサービスやウェブサイトを考えるときは個人情報保護法と…

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リース契約の定義概観

「リースって何?」という話題があったので、リース契約について改めて考えてみる。 リースの概要詳細はリース事業協会の説明を参照。 当事者 リースは、 実際にリース…

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データ・プライバシー・セキュリティ系法令・ガイドライン一覧(民間事業者用)

2024年4月26日時点
※影響を受ける範囲が広いであろう順に整理

ほぼ全員が関係

個人上保護法
個人情報の保護に関する法律施行令
個人情報の保護に関する法律施行規則
個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン
└(通則編)
└(外国にある第三者への提供編)
└(第三者提供時の確認・記録義務編)
└(匿名加工情報編)
個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について
Q&A

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AI Actの条文構成

原文

https://data.consilium.europa.eu/doc/document/PE-24-2024-INIT/en/pdf

前文(1)~(180)
第1章 通則
 第1条 主題
 第2条 適用範囲
 第3条 定義
 第4条 AIリテラシー
第2章 禁止されるAIプラクティス
 第5条 禁止されるAIプラクティス
第3章 ハイリスクAIシステム
 第1節 ハイリスクAIシステ

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そんな「保証」で大丈夫か?大丈夫だ、問題なry)

しばしば契約において(特に知財被侵害条項)「〇〇を保証する」と強行に求めたり、逆に「保証は絶対回避する」などの交渉が行われるが、そもそも保証の意義は何であろうか。

三者(以上)間における債務保証法律学小辞典[第5版]において、保証は「保証債務又は保証契約をいう[民446〜465]」としており、いわゆる金銭債務保証に用いられる債務保証を第一の保証の意義として挙げている。
これについては条文があるの

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フリーランス新法と下請法の比較

※この記事は2024年4月12日公表のパブコメにかかっている施行令案、施行規則案、指針案、考え方案に基づいています。パブコメにより変動する可能性があります。

適用対象大雑把にいうと、

委託する業務の類型は同じ(製造委託、情報成果物作成委託、役務提供委託※修理委託は含まれていないが差異にならない)。

一方で、役務提供委託は自家使用も対象になる点が異なる。

文言上は、
下請法が
再委託:「事業

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Claudeを触ってみたら驚愕した

Cluaudが何であるかは説明がたくさんあると思うので省略。

アカウントを作成すると、チャット等々形式で以下のように利用ポリシー、やりとりを監視している旨の説明と同意が求められる。

ビジネス利用も可能だが、ビジネス利用での追加禁止事項と要求事項があるので注意。例えば以下。

政治活動への利用禁止(ケンブリッジ・アナリティカ事件を意識か)

個人の監視などへの禁止(GDPRを意識か)

法的、医

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改めてクラウド例外について考えてみたら迷子になった

この議論の展開を紙にメモしている際も、noteを書くにあたっても、クラウド例外の要件の関係性について行きつ戻りつを繰り返し、迷子になったが、とりあえずの整理を、間違っているかもしれないが、後から見直すきっかけにメモしておく。

(2024/3/30追記)
3月25日に個人情報保護委員会からクラウド例外に該当しないと判断した事例と注意喚起がでたため加筆修正した。

海外展開もするクラウドサービスはど

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セキュリティ関連ハード・ソフトローの動き

セキュリティは法務分野にも重要な事項になったEUではインターネットに接続する製品に一定のセキュリティ水準の充足を義務付けるCyber Resilience Actが2024年には施行される見通しであるとか、各国のAIガイドラインでもセキュリティに関する原則が織り込まれるなど、セキュリティに関する関心は技術系の業務に携わる人に留まらず、むしろ法務系にとって重要なマターになってきている。

この記事で

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法務の仕事を早くするためには

法務の仕事を早く処理する人と、そうでない人の違いを考えてみた。

相談や契約チェックの法務業務の場合は、
1.事案・背景・相談内容の理解
2.論点の検討
3.解決方法、対応の提示、文案の作成

のステップを経るが、このサイクルを早くするには、以下が必要と考える。

1はあらかじめよく起こること、起こりそうなことをインプットしておく

2と3は典型的なパターンをインプット、整理しておく

相談が来た

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丸投げを嘆く前にできそうなこと

丸投げとは事業部からの相談やチェック依頼はしばしば「丸投げ」でやってくることがある。
相手方からのメールや契約書がそのまま転送されてくるようなケースである。添えられている内容は、「〇〇から契約書が来ました。ご確認お願いします。」程度で、酷いときには「ご対応よろしくお願いします」のみである(無言転送はまだ経験したことはない)。

これに対し受け取った側は「丸投げだ!」と憤るわけであるが、なぜ丸投げに

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Copilotの使用条件やプライバシー・ステートメントを読んでみた

気になった箇所を飛ばし飛ばし抜粋。

Copilot AI エクスペリエンスの使用条件適用される条件体系の確認

ふむ、商用の場合は追加条件があるようだ。そして商用データ保護の記事は以下のようだ。後で読もう。

適用範囲の確認

適用範囲を確認することは大切。…スレッドエクスペリエンス?
「人間の創造性を引き足、刺激し、向上させることを目的」というのは面白い言及。

適用される条件が多層になること

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情報通信、情報処理、IT系法律用語

漢字で説明されると逆によくわからなくなる情報通信、情報処理用語を法律ではどのように定義しているかのまとめです。

電気通信回線:ネットワーク

※「電気通信回線」を定義したものはありませんが、電気通信事業法では「電気通信」を「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。」と定義しており、回線とはこれを伝える導通路となります。
私見ですが、「放送(「公衆

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良いヒアリングにするために

ヒアリングとは本記事でのヒアリングは「必要な情報を獲得するため、不足する情報を補うための活動」とする。
またヒアリングは相手からの持ち込みの報連相(受動的)の場合だけでなく、こちらからアプローチ(能動的)する場合もあるが、なるべく共通して使えることを記載する。

以降の文章量からもわかると思うが、ヒアリングの出来は事前準備が半分以上を占める。

事前準備編満足する情報の状態をまず定義する

どんな

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法務と経理の対立しがちな関係と歩み寄り方

法務と経理の対立しがちな関係と歩み寄り方

※ヘッダー画像はStable Diffusion Onlineで生成しました。

本記事は会計系Advent Calender 2023の記事です。
blanknoteさん立ち上げありがとうございます!

自己紹介(なぜ法務が会計ネタ?)コウモリIT法務と名乗っているとおり、普段は法務職をしています。
ああ!石を投げないで!

ときどき法律と会計にまたがるnoteを書いています。

私自身は経理担

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収益認識会計基準の「法的所有権」に噛みつくだけの記事

「法的所有権」という語収益認識会計基準で、筆者が最も嫌いなフレーズの1つがある。

この「所有権」という言葉であるが、明らかに民法的な意味での所有権ではない。
また「法的」とつけているが、「法的でない所有権」というのも存在しない。
つまり、この語は、契約(≠契約書)を基礎とする収益認識において、正確でない法律用語を用いてしまっている。

この原因はIFRSをそのまま和訳したことにある。
IFRSと

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個人情報保護法と外部送信規律の違いをざっくり理解する

※「ざっくり」とタイトルを決めて書き始めたが思いのほか細かくなってしまっています。

あいかわらず新しいウェブサービスやウェブサイトを考えるときは個人情報保護法と外部送信規律の両方の検討に苦労しているのであるが、毎回担当者に「両者の違いは?」という質問を受ける。

正直厳密に区別する意味はあまりないので担当者に説明するときは「どういった情報を取得して、どういった流れで、どう使うのか教えてもらえれば

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リース契約の定義概観

「リースって何?」という話題があったので、リース契約について改めて考えてみる。

リースの概要詳細はリース事業協会の説明を参照。

当事者

リースは、
実際にリース物件を使うユーザー・レッシー
リース物件をユーザーに提供するレッサー(リース事業者)
リース物件の供給者(メーカー、卸売業者など)であるサプライヤー
の三者の間で行われるのが一般的な形になる。

一般的には
レッサー・サプライヤー間の

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