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KOM-001 「ことさら出版」について

はじめまして。「ことさら出版」という出版インディーレーベルです。そうでない場合、この文章を読まれる方はすでにTwitterアカウントをご覧いただいている方かと存じます。海の物とも山の物ともつかないアカウントを見ていただき、いつもありがとうございます。

ことさら出版は、2018年の12月24日に遠い街(butaji+スズキナオ)の『膝』という3曲入りのCDを発売しました。CD店などには基本的には置いておらず、BASEからの通信販売を行っております。基本以外の例外はまた別の記事で投稿します。

この発売と同時にサイトを公開し、そこで最初に書いていたご挨拶を、以下に少し変えて再掲します。その内容は、通信販売しかやっていなかったサイトに即しており、今はコラムの連載なども始まっているので、現在は少し内容を変えています。

(以下、基本コピペ。変わった点などには注記を入れます)

ことさら出版は、本やCDの小規模出版を行うレーベルです。

現在、商品が遠い街(butaji+スズキナオ)のCD『膝』のみで、突貫工事でつくったサイトも寂しい限りですが、今後少しずつコンテンツを充実させていければと思っております。(注:サイトは変わらず貧弱で、問題に気づきつつもクリティカルじゃないので放置している点も多々あるのですが、コラムの連載は始まっています)

レーベルの名前は、「ただ生きるだけなら、ことさら必要ではないもの」をつくりたい、といういう考えのもと名づけました。

これは、無意味なものをつくりたい、という意味ではありません(余裕があれば制作してみたい思いもありますが)。

むしろ、「ただ生きる」ことの難易度が下がり、人類に余裕・余暇が生まれたために表現や芸術が生まれたと考え、数え切れないほどの「ことさら必要ではないもの」が生み出されるまでに至ったことに対する感謝と、むしろ、現代を生きる私たちにとっては、それこそが本当に大切なものではないか、という認識があります。

また、なんとはなしに―ですが、今後社会が、そのようなものが生まれにくくなる、人類が長い年月をかけて獲得してきた豊穣たる余白が、少しずつ奪われていく方向に向かいつつあるのではないか…というぼんやりとした不安もあります。

動物としての“ヒト”は、食糧や水分、睡眠、太陽光、ある程度の住環境などがあれば(平均年齢は相当に下がるにせよ)生きていけるはずですが、現代の日本に生きる私たちは、好きな表現や芸術、パートナー、仲間、アイドルなどを求めてしまうものです。

これは、非常にザックリした物言いですが、ある程度の余裕があり、平和な環境にある“人間”という生き物は、何か最低限の衣食住以外に大切なものがなければ、生きていけないと感じてしまうからでしょう。

平均年齢が今の半分以下の時代を生きていた人や、また現代においても、戦時下にある人たち、天災に遭って最低限の衣食住も失ってしまった人からすれば、非常に贅沢な話ではあると思います。TOWER RECORDの「NO MUSIC, NO LIFE. 」というコピーも、平和な社会でなければ生まれ得ないものに違いありません。

ただ、人類にとって、「ただ生きるだけなら、ことさら必要ではないもの」ができるだけ多くつくられ、それがなければ生きていけない、と思う人ができるだけ多くなるほうが、より歓迎すべき進化の方向性であるはずです。

少なくとも今の日本で考えるなら、「水分尊い…!」と言っている人と、「佐野玲於の写真集尊い…!」と言っている人なら、後者のほうが幸せで、余裕がありそうに思います。実際に水や最低限の食糧、睡眠のありがたみを日々噛み締めている人もいるに違いありませんが、そんな方は相当にしんどい状況にあるはずです。

だいぶ寄り道が長くなってしまった。とにかく、なんとなく「ことさら必要ではないもの」が生まれる余裕がなくなっていく可能性が頭に浮かんだとき、(これまたなんとなくではありますが)それに棹さす行動をしたいと思いました。また、戦争をなくしたり、政治家になったりする能力や行動力や根性はないものの、「ことさら必要ではないもの」をつくる側に回り、その総数を増やすことはできるかもしれない…と考えました。

そうしてできたのが、遠い街の『膝』です。butajiさんとスズキナオさんという、得難く、なおかつ、たとえば戦国時代の農民に生まれていたら、その輝きが知られていたとは正直思えない、現代の日本だからこそ見出されたのだろう才能の持ち主とご縁をいただき、CDを制作させていただくことができました。(注:わかりにくいこと書いてるな、と自分で思いますが、私自身が元々病弱で、昔から「戦国時代に生まれてたらすぐ死んでただろうなー」とか思っていたので、その流れでついついこんなことを書いてしまいました。ともあれ、医学が進歩しており、「音楽や文章の才能で世に出られる可能性がある現代サイコー!」という思いは強いです

戦国時代云々というのは、ほとんど全ての音楽家にあてはまる話だと思いますが、お二人の力によって「ことさら必要ではないもの」と言いながら、「でも本当はこういうのが必要ですよね?」とドヤ顔で言える作品にしていただけたと思っています。YouTubeでの公開なども考えていますので、お買い上げにならずとも、ぜひ聴いていただければ幸いです。(注:全曲ではなくデモも含みますが、butajiさんのSoundCloudにアップされています

実は元々、「『ことさら書房』という書店をやりたい」「そこで売るオリジナル商品もつくりたい」と思っていたのですが、そんなことを考え始めた2017年くらいから、なかなか物件探しや内装の手配などに本腰を入れられる余裕を持てずにおりました。これではやるやる詐欺になってしまうと感じ、先に商品の制作と通信販売は開始してしまおう…となった形でありまして、なんとも寂しい現状ですが、今後は、読み物のコンテンツを当サイトで連載するなど、もう少し見られるサイトにして、その連載を書籍にまとめる、といった流れも考えております。(注:スズキナオさんの連載「読んでは忘れて」は私が死ななければ絶対に書籍化します

ぼんやりとした未来への不安と同時に、AIによって多くの人間が働く必要がなくなり、ワーカホリックを除けば、最高にハッピーな未来が来るかも…と考えたりもするのですが、杞憂に終わるようならそれが何よりですし、そんなハッピー杞憂エンドの訪れた時代でも親しんでいただける作品を、少しずつ増やしていければと思っております。

(以上、基本コピペ)

こういうのは自分でも、何かを言ってるようで何も言っていない文章だな、と思ったりもするのですが、そんな空回り感も含めて良くも悪くも1stアルバムにそのミュージシャンの全てがある、とか言われたりする感じの空気感はあるような気がするので、とりあえずよしとしておきます(今後しれっと書き直す可能性も否定できませんが)。

昔ならまだしも、アラフォーとなった身でこんな文章を書くことはまあありません。しかし、CDに印刷されてしまっている12/24という発売日中にサイトをオープンするには、もう適当にダーッと書き連ねるしか手段がなかったのです(戦国時代の件なんか特にそう)。自分でも読んでて恥ずかしい気持ちはもう、おそらく皆さん以上にあるので、そっとしておいてやってください。

ちなみに、出版といえば本、というイメージがある方もいるかもしれませんが、「音楽出版」という用語、「音楽出版社」と呼ばれる企業もあります。上にあるように、元々書店をつくることが発想のベースになっているので、第一弾の商品がCDになったのは正直自分でも意外だったものの、CDしか出していませんが、現状でも「出版」レーベルと名乗ってよいのです。って誰に対する言い訳をさっきから連ねているんだ、って話ですが。

ともあれ、そんな感じ(説明にはなってない文章ですよね、すみません)の小さなレーベルです。宜しくお願いいたします。

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