見出し画像

2022年8月の月報/店主おちあい

8月。わたし(おちあい)の遠方出張も落ち着いて、スタッフ雄一くんやインターンさんたち、書肆 海と夕焼の柳沼さん、まちライブラリーの林さんと本屋で過ごす日常が戻ってきました。6月に行った宮古島も、7月に行った長崎と福岡もたのしくて、旅のそわそわ感をずるんずるん引きずって帰ってきたから日常に戻るまでにすこし時間がかかったけれど、この本屋の店内で過ごしていると、やっぱりわたしはこの店が好きだなあと思いました。旅をして帰ってくるたびにこの繰り返しで、「やっぱり谷保がいちばん!」と谷保愛をしつこくさけんではいつも雄一くんたちに聞いてもらっています。

8月のインターンさんたち

今月もたくさんの出会いがありました。小鳥書房は4年前からインターンさんの受け入れをしていて、年間30〜40人ほどの人が訪れます。1日インターン、滞在型インターンと選んでいただくことができて、1日の場合は東京近郊に住んでいる人や会社勤めの人が参加されることが多く、滞在型の場合は遠方に住んでいる大学生さんが参加されることが多いです。8月はイギリスの大学に通うしほちゃん、大阪の大学に通う草子ちゃんとなっちゃん、近くの美大に通う琴音ちゃん、福岡の大学に通うはるきちゃんが滞在型インターンで。大学生の萌ちゃん、社会人の和歌子さんが1日インターンで来てくれました。

画像1

画像2

時間とお金を使って来てくれるみなさんに、なにを返していけるだろう。そう考えながらお話を聞いて話して、本屋という空間のなかで、おたがいの共感点を探してゆきます。インターン生さんとして小鳥書房で過ごしてもらう時間はすぐに過ぎていってしまう。一時的なかかわりではなく、小鳥書房で出会った仲間としてずっと大切にしたいし、してほしい。だから「これは出会い編ってことで、これからもよろしくね」とお伝えして、インターン期間を終えてそれぞれの場所へと帰ってゆく後ろ姿をお見送りしています。たくさんの期待と、ちょっとだけ寂しさを抱えながら。

本屋bar「良夜」を本気でやりたい!

7月に3日間滞在していた福岡で、「ブックバーひつじが」さんに毎晩通いました。店主の下田さんは対話を大切にする人で、お客さんの緊張をゆるっとほぐしてしまう、自然体なかかわり方が印象的でした。福岡には星の数ほどいい飲み屋さんがあるのに、なぜかひつじがにばかり通ってしまいました。下田さんは「居心地」や「居場所」という言葉が好きじゃないと言っていたから、ひつじがで過ごした感覚をどういう言葉で例えればいいのか悩んでしまうけれど、ふっと力をぬいて対話と会話をたのしめる、とても優しいお店だったんです。

画像5


7月23日にひつじがでおこなったトークイベントに取材に来てくださった一瀬さんが書かれた記事が、8月22日の西日本新聞の朝刊に載りました。福岡少年院の元院長である中島学さんが、小鳥書房から出版した書籍『ちゃんと食べとる?』を手にもってお話ししてくださっている写真が載っていて、奥にちょこんと見えているあひるちゃんがかわいい。このあひるちゃんは以前下田さんが小鳥書房の本屋に来てくださったときに、小鳥書房から福岡に連れていってくれた子で、この子がいまもひつじがにおじゃましていると思うとなんとなくうれしい気持ちになります。中島さんによるトークテーマのひとつでもあった小鳥書房の新刊『本屋夜話』も、ますます多くの人のお手元に飛び立ってゆきますように。

画像3

谷保に帰ってきて、「ひつじがはこんなふうで、こんなにいいお店でね」と熱を込めて雄一くんに話していたら、「じゃあぼくたちも良夜(あたらよ)」をもっとたくさんやろうよ!」と言ってくれました。そのひとことでスイッチが入ってしまって、書肆 海と夕焼/小鳥書房の閉店後にときどき開催してきた本屋bar「良夜」を頻繁にやってみることにしました。昼間の本屋の空気感とはまた違う、本と飲みものと対話のある夜の空間。ひつじがでもらったヒントを、すこしでもわたしたちの良夜で試してみたくて、すっかり前のめりになっています。
8月は良夜を3回行いました。いつものお客さんや、はじめましてのお客さん、小説家さんや出版界隈の方々がたのしそうにお喋りしてくださったり、はじめて会うひと同士が一気に仲よくなっていたり。そんな姿を見るにつれて、この本屋をやっていてよかったなあと勝手に頬がゆるんでしまいます。閉店後に雄一くんや柳沼さんと「次はここをもっとこうしたいね」と振り返る時間は、いまのわたしにとってなにより心が動く時間です。

画像4

画像6

閉店後のお喋りラジオ「本屋夜話」

8月26日の深夜。雄一くん、柳沼さん、良夜にも遊びにきてくださったお客さんの長通さんと鈴木さんがyoutubeラジオ「本屋夜話」を収録しました。これまでに8回収録した本屋夜話の放送を4人で振り返ってくれた回。長通さんと鈴木さんが真剣にこのラジオを聴き込んでくださっていることがわかって感動してしまいました。柳沼さんとおちあいがお喋りした1回目、雄一くんと柳沼さんがマニアックな音楽の話をし続けた4回目、ひつじがの下田さんとおちあいがお喋りした7回目などがとくに印象に残ったようでした。なんてことないお喋りだけど、だからこそお店のふだんの雰囲気が伝わったらいいなあ。


まもなく9月。あと4か月で今年もおわるのかと思うとびっくりしますね。笑っても怒っても泣いても喜んでも、時間が流れるスピードはいつでも一緒。それなら笑って喜んで、仲間たちやお客さんとともに日々を過ごしてゆけたらと願うばかりです。9月の小鳥書房も、谷保の町にあるダイヤ街商店街の一角で、なにかを誰かにちいさく届けてゆけますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?