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大衆演劇という名の異文化体験(1)

今週号(7/5)発売の『週刊漫画TIMES』掲載の「解体屋(こわしや)ゲン」は、大衆演劇を取材しています。


ところで

みなさんは磯村屋さんをご存知でしょうか。いや、知らない人がほとんどだと思いますが、横浜では知る人ぞ知る焼きそばとおでんのお店です。まだ寒い2月、仕事が進まず当てもなく歩き回っていた私は、不意に磯村屋さんの焼きそばが食べたくなったのです。


その時のつぶやきがこちら。

磯村屋さんは、横浜市営地下鉄ブルーラインの阪東橋駅から南南東に徒歩10分、途中、横浜橋商店街を抜けてゆきます。

ここも歴史ある非常に味わい深い商店街で、庶民的な中華料理、韓国料理、台湾料理各店があるのですが、ここで引っかかるといつになっても先に進めないので、台湾料理の『銭爺』さんの写真を貼るに留めます。

出す料理も店内の雰囲気も台湾の屋台そのもの


さて横浜橋商店街を突き抜けてさらに南下、大さん橋通りを渡ってゆるく右にカーブしたその先に磯村屋さんがあるのですが、その手前左側にちょっと気になる建物があるのですよ。それがこちら。

ここが今回の舞台、大衆演劇の演芸場です。作中では架空の古い建物となっていますが、三吉演芸場は綺麗で立派なビルです。


たまたま時間を見たら開演5分過ぎ、意を決してそっと後ろから場内に入ったら客の入りはまばら(正直、この日はあまり入っていませんでした)、既に最初のミニショーが始まっていました。

それがこちらの賀美座(よろこびざ)さんでした。


最初に30分ほどのミニショー、休憩が入りお芝居(1時間)、もう一度休憩が入って最後のグランドショー(1時間)、全部で3時間たっぷりと楽しませてくれます。そう、なんというか…絶対に満足させます!という気迫のようなものを感じるのです。

実を言うと最初のミニショーの開始15分で「これはただものじゃない!」と感じるところがありました。それがなんなのか全く理解できてないのですが、目の前で次から次へと繰り広げられる舞踊や歌謡ショー、寸劇の数々から伝わる「何か」を感じたのです。

なんだろう、この感じ。とても凄くて、面白くて、おかしくて、物悲しくて、なにかが間違ってるような、歯車が噛んでるような噛んでないような……?

この後のプランは全く決まってませんでしたが、休憩時間に客席に姿を見せた座長の不動倭さんに「漫画原作者の星野と申します。実はこういう漫画の原作を書いており…」といきなりその場で取材を申し込みました。周囲のお客さんからしたら、ただの迷惑な奴だったと思います。でも倭さんは「ありがたい面白い話やがな。ぜひよろしくお願いしますー」といった主旨の温かいお返事をいただきました。

こうして賀美座さんを通じて、大衆演劇の世界に一歩足を踏み入れることになったのです。全く知らなかった大衆演劇の世界。それはこれまでに体験したことのない異文化体験でした。

ー続くー


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