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『解体屋ゲン』 #12 初仕事

ついに五友爆破の初仕事、ビル爆破解体です!………あれ、日本でビル爆破は難しいってさんざ書いてませんでしたっけ?そのための言い訳をたっぷり用意しました(笑)。

前回の話で慶子が説明しています。

まあこの1コマだけなんですが…。例えば湾岸工業地帯のように周囲に民家がなく、飛散物や騒音・振動の問題がなければ、ギリ実現可能ではないか。そういう前提の元に書かれているのが今回の話です。

この話はヒデをいかに五友爆破の仲間に入れるかに主眼を置いているので、ビル爆破はそのための枕というか、素材の一つのつもりでした。この話の中で、これまでの十五年を通じてもっともバカバカしい…というか現実には不可能なエピソードを書いてます。それが…

ビルの屋上にゲンとヒデを乗せたままの爆破解体です。

無理!絶対に無理だから!!だからこそ挑戦したかった。漫画という表現はどこまで自由でどこまで許されるのか。連載が10回を越えたこの時点で、思い切りフィクションに振り切った話をやりたかったのです。

私の書癖として、登場人物のほとんどが過去に傷を背負い、どん底まで落ちてからようやく奮起する(あるいはしようとする)、というパターンがあります。恋人を亡くして自暴自棄になったゲン、鼻持ちならないエリートと離婚歴のある慶子、そして借金まみれになって自殺を試みるヒデ。こうして文章に起こすと相当に暗い。でも生きてりゃ腹も減るし、くだらないことで笑ったり、冗談を言い合ったりする。心の傷はいつかは時間が癒やしてくれるけれど、その傷はいつも鈍痛を伴って完全に忘れ去ることはできない。人生ってそんなもんじゃないでしょうか。

だからヒデには、ここですっぱり過去を断ち切って欲しかった。過去は過去として、借金は借金として背負っていかなくてはならないけど、ゲンと慶子という頼もしい仲間を得て、人生の再出発を華々しく(バカバカしく?)ビルから飛び降りることで飾ってあげかったのです。ビル爆破はそのための装置、ここでは背景なのです。
                                <続く>







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