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『解体屋ゲン』 #31 慶子の仕事

連載も30回を超え、やや落ち着いてきた頃です。それでも毎週必死で余裕はまったくありません。いつも〆切ギリギリまで手元に置いてしまいますし、直しもキリがない。ちょっと体調崩したりスランプで筆が止まったりすればスケジュールはガタガタに崩れ、毎週最後は徹夜です。原作だけでこんな調子なのに、他の漫画家さんはどうしてこれでやっていけるのだろう?


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……そう思っていたあの頃の自分に言ってあげたい、800回を超えても毎週大変なんだぞ!と(笑)。今は完徹はしないし、精神的にそれほど追い詰められることはなくなりましたが、全然楽になった感じはないのです。逆に楽になったら作品としての質は落ちてゆく気がします。

最近Twitterで「50巻一気に読みました」みたいな感想をいただくことが多くなって本当にありがたいです。おかしな話、単行本が出ない危機感が続いているから作品の質が落ちなかったのかな、と思わなくもないです。早くから単行本が出てそこそこ売れてお金が入ったらモチベーションは下がったのかな…いや逆に上がったのかな……今となっては分かりませんが、孫請解体業者として搾取されるゲンさんと自分たちの境遇が同じようなものであることは、作品にとってはプラスに作用したと思います。いつか見てろよ!みたいな気概を常に持ってましたし。

この回は、裏方である慶子の仕事がどれほど大変かにスポットライトを当てています。この漫画の性質上、どうしても分かりやすい爆破解体、クレーンやトラックドライバーの仕事がメインになりますが、世の中の仕事のほとんどは地味で目立たないものです。

慶子の仕事をヒデが代わりにする場面。事務仕事は絵にしづらいです。


昔も今もセクハラ・パラハラって無くなりませんね。

取材でホテルのバックヤードを見せてもらったことがありますが、客から見えない部分はコンクリートむき出しの低い天井に配管が無数に走り、ろくに日も当たらない狭苦しい環境で従業員のみなさんが働いていて驚きました。それはお客様に日当たりが良く快適な環境を全部割いているからそうなのだと説明を受けて、なるほど裏方とはこういうことかと納得しました。

誰もが物語の主人公になれる訳ではないけど、自分の人生の主役は常に自分です。どの人生にもその人の物語があり、悲喜こもごもがある。だから私は登場人物全員が主役なるような話を書いてゆきたいと思うのです。  <続く>




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