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『解体屋ゲン』 #17 十三尺

主人公を食う存在って大事です。ゲンさんであればやはりロクさん、ロクさんが登場するだけで不思議な安定感があります。でも書いてる方はドキドキ、なぜならこの回、はじめて主人公であるゲンさんがほとんど出てこないのです。


今回の話はほとんどが光とロクさんの掛け合いで進んでゆきますが、もう一つの主役が居ます。それが十三尺です。

今じゃほとんど見られなくなった三輪トラック。ボディは最小、小型車扱いなのに4mの荷台を持ちます。2000ccという当時にしてはパワフルなエンジン、独特のルックスと小回りの効く実用性で(諸々の欠点を持ちながら)最後まで愛された三輪車でした。私が子どもの頃にギリギリ見た記憶があります。ちなみに父親は教習車がオート三輪だったそうです。おおらかな時代ですね。

そう、十三尺はロクさんと一緒です。年寄りだけど他にない技術(曳き家)を持ち、若い人にはできないことが出来る、うるさ型だけど愛嬌もある存在です。だからこそ光も惹きつけられる。廃れてしまったもの、今では見られなくなってしまったものが、必ずしもすべてが劣っているとは限りません。

高度成長期を支えた人や物には、今でもかなわないなと思わせる芯の強さがあります。厳しい時代、でもがんばればそれだけ未来が切り開かれる前向きな時代を生き抜いたタフさ、みたいなものです。

でも母なるミチさんには敵いません。男に捨てられた光に掛けるミチの言葉。

今思い出しましたが、「そうね…本当にそうね!」この台詞、実はサリンジャーの「フラニーとゾーイー」から取ってます。自分も含めた人間不信に陥った妹フラニーを兄のゾーイーが孤軍奮闘して助け出そうとするストーリーのラストで、なんとかフラニーが希望を見出した場面です。

主人公不在の『解体屋ゲン』、いかがだったでしょうか。次回はいよいよゲンの過去に迫ります。                       <続く>











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