「B面」と「ドーナツ盤」の頃-80年代アイドル編-
80年代の終焉とともに、音楽から失われたもの。――それは。
「正方形」のあの、レコードの「ジャケット写真」だよねえええっ!
(え?笑)
いや、なんか最近、Spotify漁っていて気づいたんだけど。
ごく一部に限られるが、80年代アイドルの「EP」(概ねシングル曲が片面に1曲収録されている7インチレコード)までも、ちゃんとジャケット写真画像付きで、再現してラインナップされていたりするんです!
きゃっ!となりましたよね。
LP(アルバム)だけじゃなくて、EPのジャケ写まで見ながら、音楽が聴けるなんて!
――うれPッ!
いや、マンモスうれPッッ!!!(笑)
実は、以前にもそれで一つ記事を書いたくらいに、私、アイドルマニア(オタクですね笑)且つ、レコードのジャケット写真マニアなもんで!!
もっとがんばれ、Spotify!
全80年代アイドルのシングルレコードを、サブスクリプションで再現出来たら、そこはどんな夢の世界なの!?
と、叫びましたよね。(……私のこの興奮だけは伝わったでしょうか?笑)
と、いうわけで、久々の日曜企画「80年代アイドル特集」。
(少々ネタに尽きてきたので、毎週ではなく、不定期連載とさせてください。)
(と、しれっとそれとなく詫びを挟む。笑)
【Spotifyで味わえる!80年代「ドーナツ盤」の世界!】
そして、「B面」!
――そうなの!
「2曲目」でも「カップリング」でもなくて、
やっぱ「B面」なの!!
わざわざ700円出して買ってきて、ひっくり返して聴く、レコードのB面!!
80年代中は、自分にとっては小中学生時代にあたるからそんなホイホイとお小遣いで買うことは叶わなくて、いつも涎を垂らしながら憧れていたレコードの。
そして、90年代に入って、長らく抑えていた衝動が一気に大放出して、血眼になって中古盤で狂ったように買い漁った、そんなレコードの。
その「B面」曲まで「良い!」となると、すごく感動しましたよね~。
――な~んか、CD時代になってから、「2曲目」とかってなると、飛ばして聴くことも多くなった気もするんだよなあ。
(まあ、これは「シングル」だけでなく、CDで聴く「アルバム」についても、同じことが言えるかな?
レコードやカセットで聴いていた頃は、「曲を飛ばす」ことのほうが珍しかったから。)
(――それで、元々当時アルバム曲だったものを、今聴き直すと、その曲の終わりに自然とその次の曲のイントロが思い浮かんできてしまったり、いまだにするんだよなあ。笑)
レコードのほうが、「隈なく」聴いていたし、すると、B面の存在感も、その分大きかったような??
本日は、そんな
「B面」まで楽しめる「80年代アイドルEP特集」であります!
Spotifyでシングルレコードとして聴ける10枚(A・B面合わせて20曲)紹介していきます!!
※以下、リリース年順に並んでおります。
【1枚目】松田聖子
「青い珊瑚礁/TRUE LOVE~そっとくちづけて~」
(80年)
「風は秋色/Eighteen」「白いパラソル/花一色~野菊のささやき~」「風立ちぬ/Romance」「赤いスイートピー/制服」「渚のバルコニー/レモネードの夏」「ガラスの林檎/SWEET MEMORIES」「瞳はダイヤモンド/蒼いフォトグラフ」「時間の国のアリス/夏服のイヴ」
ってね?
聖子の80年代シングルはもうね、「A面B面共に」または「両A面共に」名カップリングが多すぎて、迷いに迷ったわけですよ!
いや、今回「いよいよ聖子で一記事書くべきテーマが来たのか?」と思ったくらいなんです、実は!(笑)
――ま、でも――内容的に、聖子の場合、あまり目新しくもないのかな?と。
(そう、多分もう誰かが書いているし、書いていなくてもそのうち誰かが書くよね、このテーマで。笑)
と、いうわけで、「80年代アイドル10人セレクション」に、方針を変えました。(笑)
さて、それならば、と、たぶんB面とのコンボに注目する人はいないであろうところで、あえてこの曲――「青い珊瑚礁」を。
聖子の大ブレイク作であり、この曲がなかったら、もしかすると、その後の「聖子・アイドル伝説」もなかったかもしれない。
――いや、そうなったなら、「80年代アイドル」というものの、その「時流」も、「潮流」も、変わってしまっていたかもしれない!
それくらい重要な曲なわけです。
で、あるからして、「このB面のほうをA面にすればよかったのでは?」とは、さすがに思わない。
「TRUE LOVE~そっとくちづけて~」だと、ここまでの大ブレイクにならなかったと思うし。
とはいえ、大ブレイク作なので、「これが初めて買った聖子のレコード」という人も、当時多かったはずなんですよね。
つまり「名刺代わり」――「聖子を知る」第一印象が、このレコードで形成された人は多かったはず。
と、なると。
「松田聖子って、どんな曲を歌っていくんだろう?」と探った時、メインのA面同様、B面曲もやはり重要になってくるよなあ、と。
そう言った意味でも、この「カップリング」は、とっても良かったんではないかと私は思うわけです。
私自身は、「青い珊瑚礁」より、比べると少し地味だけど、このB面の「TRUE LOVE」のほうが好きだったりします。
――という、この感じですよ!
B面の名曲・良曲って、「私だけが見つけた!」感があって、楽しいんですよねえ。(ま、「私だけ」のはずはないんですけど!笑)
【2枚目】岩崎良美
「四季/今夜は私RICHな気分」
(1981)
岩崎良美氏、デビュー2年目突入の、「春期シングル」である。
同じく80年デビューの聖子のシングルは「チェリーブラッサム」、奈保子は「17才」で、ますます絶好調、それに比べて正直「やや後塵を拝する」位置にいた良美氏であるからして、このあたりで同期の先頭集団に「キャッチアップ」せねば!というところだったと思うのだが。
に、しては。
A面の「四季」は、「ちょっと渋すぎるかもな??」とは思う。
いやいや、でも、私個人は「四季」、大好きなんですよね~。
とはいえ、ねえ、――曲の印象としては、「アルバム収録の隠れた名曲」とか、あるいはこっちのほうが「B面曲」という雰囲気の気もするなあ……。
で、B面に回った「今夜は私RICHな気分」こちらのほうを、A面にしたら、ちょっと展開変わっていたんじゃ?なんて思うわけです。(タイトルはもう少し変えたほうがいい気もするけど。笑)
これはねえ、聖子も奈保子も、いや、他のアイドルも、歌えない曲だと思います。――しいて言うなら、唯一、姉の宏美氏なら歌えるだろうけど、という感じですよね。それくらい「ばっちりキメる」のは難曲だと思う。
いや、「ディスコ」とはいえ「ディスコ歌謡」なら、大場久美子氏の「ディスコ・ドリーム」とか、いくらでもあるわけですけど(笑)、こういう「ブラックソウル」の「本格ディスコ」テイストを出すのは、やっぱりそんじょそこらのアイドルじゃ無理ですね。
と、いうわけで、このシングルは「A・B面」で、良美の実力を堪能できる「最強セット」という意味で、私はおすすめしたいわけなんです。
【3枚目】中森明菜
「SOLITUDE/AGAIN」
(1985)
いや~、85年からの明菜の「シングルAB面」は、完璧なんじゃあないでしょうか。
概して、A面とB面の世界観が繋がっており、「AB面併せて、シングル1枚で完成している」いわばシングルレコードも「作品」という様相になっており、本当にお見事です。(ジャケ写も完璧でどれもカッコいい!!)
やっぱり聖子も明菜も売れ「続けた」のって、こうしてシングルを一枚一枚「作品」として(つまりB面だからといってテキトーな曲を収めたりしないで)、丁寧に作り続けた結果ではないかなあ、と、私は思うわけです。
「レコード、買って良かったなあ」と思わせるからこそ、「次もまた」となるわけなのでね!
という、そんな明菜様の、どれをピックアップしようか?と。
実はこれまでの記事で、B面曲についても数曲は取り上げてしまっていて、そこは外したい。――と、なると、迷ってしまって。
その結果。
先程『85年以降の明菜のシングルは、A面とB面の世界観が繋がっており』と、申し上げたのですが。
1枚だけ「対極」を描いているような作品がありまして。
それが「SOLITUDE」とそのB面の「AGAIN」。
A面の「SOLITUDE」が描いているのは「渇いた孤独」で舞台は「都会」。
一方、B面の「AGAIN」もまた、描かれているのは孤独感とも言えるのだが、「出逢えてよかった、あなた」と歌っているわけである。舞台は「あなたの愛した海」。
――案外、「AGAIN」を、「季節はずれの海辺にて夏を回想する曲」として、秋冬向けA面曲で切るというのは、悪くない選択だったかとも?思う。
いや、何だかんだ言って、「SOLITUDE」も、シングルA面として置くには、かなりの冒険だったと思うので。(よくこれをA面にしたよね?と、当時、割と多くの人が思ったと思う。笑)(それでもヒットさせる、当時の明菜の底力たるや!)
ま、私の個人的見解としては、「SOLITUDE」は、この2007年版でいよいよ完成した――という気もする。(本当の「都会の孤独」が、ここにはその空気ごと描かれている。)
(って、まずいぞ!文字数がまた相当多くなってきてしまっている!)
(そう、アイドル関連記事では、いつものことだが!!笑)
(ここからは、タンタンタンっと、かっ飛ばしていきます!!!)
【4枚目】岡田有希子
「Love Fair/二人のブルー・トレイン」
(1985)
「Love Fair」も、当時有希子氏が主演していたドラマ「禁じられたマリコ」の世界観とリンクしているようなところもあり、シングルA面として全然悪くない。
が、しかし、「岡田有希子っぽさ」全開なのは、B面という気もする。
まず、詞が竹内まりや氏。「初めての、彼氏との一泊旅行」がテーマという。――そう、「自意識高い系女子」の、例の「ワクワクドキドキ世界」ではっぴ~・どり~み~極まりないのである。
で、作曲が杉真理氏、編曲が松任谷正隆氏。
カレッジポップな浮かれ感溢れるこの曲、確かNHKの歌番組ではこちらを歌っていたような記憶があるが、なかなかどうして、こっちがA面でもよかったくらいに、充実のカップリングでありました。
【5枚目】中山美穂
「WAKUWAKUさせて/ハートのスイッチを押して」
(1986年)
これも美穂氏のシングルの中では「最強コンボ」という気がする。
A面が年末展開にふさわしい「アッパー・パーティーチューン」だとすると、B面は洗練すら感じさせる「小粋なアーバンポップ」という装いである。
当時、徐々に「な・ま・い・き盛りのとっぽい小娘」から、「都会派の洗練された大人」へとイメージが移り変わりつつあった美穂氏の、その「旬」をとらえたシングルとも言える。
両曲とも、詞:松本隆氏、曲:筒美京平氏、編:船山基紀氏である。
――やはり、さすがの仕事であるな、と。
【6枚目】小泉今日子
「水のルージュ/Kiss」
(1987)
87年春のカネボウのキャンペーンソング。
このAB面も、セットで良いのだよなあ。
B面曲って、概して「最後までA面候補を争った曲」だったりすることも多いのだが、そういう視点で聴くのもまた面白かったりする。
B面の「Kiss」も、アレンジをアップテンポにすれば、お洒落な化粧品CMポップスになりそう。
こちらも、作詞:松本隆氏、作曲:筒美京平氏のコンビ。
大村雅朗氏のアレンジも両曲とも冴え渡っていて素晴らしい。
【7枚目】菊池桃子
「アイドルを探せ/Ivory Coast」
(1987)
これは元から両A面のシングル。メインは本人主演の同名映画主題歌「アイドルを探せ」なのであるが、多分、制作スタッフ側は、「Ivory Coast」も前面に出したくて、両A面扱いにしたのではないだろうか。
桃子氏の曲の中では、私はこの、「Ivory Coast」が一番好きかもしれない。
編曲は、ジブリ映画でおなじみの久石譲氏である。(桃子氏の曲の中で編曲を手掛けたのは、実はこの1曲のみ。)
【8枚目】斉藤由貴
「砂の城/記憶」
(1987)
アルバム「風夢」の先行シングルである「砂の城」がアップテンポの楽曲であるのに対して、B面の「記憶」はスローバラード。――こういうカップリングの仕方、好きですね~。
これもまた、どちらも名曲で、「取り合わせ」としては、個人的には斉藤由貴シングルの中で一番好きである。
「記憶」の作詞は由貴氏本人。
――泣ける。
ホントに、良い詞を書くのですよねえ、由貴氏ったら、もう!
【9枚目】工藤静香
「MUGO・ん…色っぽい/群衆」
(1988)
これが工藤静香氏の人気を決定的なものにした5枚目のシングル。
「ん、色っぽい」という、化粧品CMコピーを、無理やりねじ込んだにしては、キャッチ―に上手に仕上げましたな、中島みゆき氏。(作詞を担当。)
で、B面も、A面と同様、作詞:中島みゆき氏、作編曲:後藤次利氏の曲なんだけど……なんというか、アイドルにも容赦なく「みゆき節」炸裂な詞を提供する中島氏と、それを受けて立つ静香氏の、その「コラボレーション」通り越して「真剣勝負」感すら滲み出ている、このシングルの組み合わせが、私は大好きなんです。(笑)
ところで。
ここでSpotifyに、ちょっとイチャモンを付けたい。
確かに、88年後半には、世間では、シングル「レコード」よりシングル「CD」のほうが主流になっていたとは思う。
……思うのだが。
まだデザイン的にはこの頃は、「レコードジャケットの正方形」を基準に、写真も作られていたものが多かったと思うのだ。
つまり、せっかく「正方形の画像枠」なのだから、取り込む画像は、長方形の「8cmCDシングルジャケット」ではなく、「正方形」の「レコードジャケット」から取り込みましょうよ!
と、私は声高に叫びますよ!「ジャケ写・命」で半世紀生きてきたんですからね!!(笑)
【10枚目】Wink
「涙をみせないで~BOYS DON'T CRY~/Only Lonely」
(1989)
だ~か~ら~さあああ!
まだ1989年、シングルもギリギリレコードで発売されていたはずなんだからさああああ!
てか、トリミングするならするで、何でこんな(上の画面参照)変な切り取り方をしているのだ?!?!(翔子の頭が切れているじゃないか!笑)
ほら!ほらほら!
このEPジャケットで取り込めばいいじゃないか!!!
(Winkのジャケ写の中では一番好きなものなので、つい激高してしまいました。笑)
それはさておき(興奮冷めやらぬが、笑)、収録曲について。
大ブレイク作「愛が止まらない」の次のシングルだけあって、「どうだァァッ!!」というところを、A・B面共に揃えてきた感。
この一か月後リリースのアルバム曲の中で聴き比べても、やはりこの2曲をシングルカットして選出したのは、さすが、「正しい選択」であるな、と。
――「これから勝負を賭けていくぞ!」「絶対売ってやるからな!」という制作チームの「勢い」を、こうして味わい楽しむのが、80年代アイドルPOPSの醍醐味でもある。(笑)
さて、その他、Spotifyでほぼ全シングル復刻している80年代デビューアイドルを、ザっと紹介。
(デビュー順・敬称略。)
松本伊代
(但し、1st・2ndシングル「センチメンタル・ジャーニー」と「ラブ・ミー・テンダー」だけ、シングルパッケージとしては入ってないようなのだが。
う~む、何故なのだ?!
そこでレコード会社が変わったとかでもないしなあ。
……とはいえ、まあ、オリジナルアルバムやベスト盤から曲自体は入っているから、いいんだけれども。)
堀ちえみ
早見優
飯島真理
倉沢淳美
荻野目洋子
浅香唯
森川美穂
酒井法子
BaBe
森高千里(デビューから1992年まで)
西田ひかる
CoCo
ribbon
あれ?と思われた方もいるかもしれません。――そうなんですよ。
ここに名前のない、あの方も、あの方も、まだ「シングル」パッケージでは、Spotifyに上がってないんですよ。
(何故か1枚だけシングルパッケージで出ている方とかもいるが、そういう方は上の紹介一覧からは外しました。)
さあ!80年代デビューアイドルのみなさん!(と、その関係者の方々!)
出し惜しみせず、全シングルを、ジャケ写ごと、Spotifyに上げてくれたまえ!!
と、難しいであろう要求を声高に訴えかけて(どこに訴えかければ
いいのかもわからんし)この記事を終えます。(笑)
Spotifyで見つかった80年代デビューのアイドルシングル盤を集めた
「ジャケット写真ごと楽しめる!80年代デビューアイドル・シングル盤コレクション」
こちらのプレイリストもどうぞお楽しみください!
(Spotify中、シングルパッケージを拾えるうちで、各アイドルの一番売れたシングルを、売上順に並べてプレイリストにしてみました。)
――いやいや、これ、作ってはみたけど。
実は、何かがちょ~っと、自分の中でしっくりこない。
だって!
「正方形ジャケット」にこだわりたい私なので!
作っちゃったよ!VersionⅡ!
(そう、おんじようなのを二つも作ってみました!)
(ヒマか!!笑)
「正方形ジャケット写真のみで構成した、80年代アイドル『EP盤』コレクション」
(Spotify中、「正方形ジャケ写のEP」パッケージを拾える曲の中で、各アイドルの一番売れたシングルを、売上順に並べてプレイリストにしてみました。)
(但し、「セーラー服と機関銃」と「Again」は、厳密には正方形ではない「マキシ(12cm)CDシングル」のジャケ写でしたが、薬師丸さんも工藤さんもこれしか「EPサイズジャケット」がなかったので、このプレイリストに含めてしまいました。……って、細かいな!笑)
そして結果的に、こちらは「80年代リリースの曲」に限定されたプレイリストになりました。
――やっぱ自分は、こっちのほうがしっくりくるのよね~、何かね~。(笑)
今回は以上で~す!