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声質で選ぶ!80年代アイドルBEST20

前回の記事は「歌唱力で選ぶ」がテーマであった。

が、しかし。

私のアイドルPOPS関連のこれまでの記事を読んでくださっている方は、お気づきかと思うが。

私は歌というものは「歌唱力が全て」だとは、思っていない。
(「あるに越したことはない」とは思っているけれど。)
(でも、)特に「アイドルPOPS」に求めるものって、少なくともそれ「だけ」ではない。
(と、いうこれらのことを、折に触れて述べてきた。)

そこで今回はこのテーマで書かせてもらおうと思う。

「完全独断!声質が好きな80年代アイドルBEST20」

――いや~、前回は「歌唱力順」なんて(10人とも非の打ちどころないくらい上手い面々だったので尚更)順位つけられないから、さすがにつけなかったけど。
しかし!
今回は、「私が好きな」声質がテーマだから、ランキングにしてみました~。いぇ~い。(「ランキングマニア」が生き生きし出す瞬間。笑)

そして我ながら素晴らしい選曲となりました!
良曲ばかり!何て素敵なプレイリストなんだ!!
(毎回こういう記事で「自選」の選曲を「自賛」している気もするけど。笑)

ちなみに、アイドル以外で、「あ~、この人の声、好きだなあ」と私が思う歌い手の方々。
(パッと今頭に思い浮かんだ方々を並べただけなので、よくよく考えてみると、もっとたくさんいるとは思う。)
(比較しやすいと思うので、J-POPの、主に誰もが知る有名どころを挙げていくと。)
(以下、敬称略)
女性ボーカル
……大貫妙子、今井美樹、遊佐未森、辛島美登里、Cocco、中納良恵、寺尾沙穂、畠山美由紀、宇多田ヒカル、Crystal Kay、平原綾香、Salyu
男性ボーカル
……小田和正、玉置浩二、草野マサムネ、槇原敬之、スガシカオ、平井堅、永積タカシ、堀込高樹、堀込泰行、秦基博、大橋トリオ

あと、70年代デビューで歌声が好き!と思う、「三大名匠アイドル」は、山口百恵氏、太田裕美氏、岩崎宏美氏、てなところかなあ。
あと、そんなに聴き込んではいないが、たとえば、浅田美代子氏の声も好きだったりはする。(声はいい声なのだと思う。そうでないと、73年年間10位の大ヒット曲なんて、出せないと思うから。)

90年代以降デビューのアイドルだと、裕木奈江氏、松たか子氏、神田沙也加氏、高畑充希氏、上白石萌音氏(と、いうか、90年代に入ると「アイドル」としていいのかわからない方が多いし、何だか俳優さん多くなったな??)

と、いうわけで。
「私が好きな声質」って、こんな感じです。
(我ながら若干、わかりやすく「偏っている」気はします。笑)

とはいえ、70年代までと90年代以降のアイドルについては、そこまで詳しくもないので。
今回もまた「80年代デビュー」に限定させていただこうと思います!

では、始めて参りましょう!

※あ、前回「歌唱力で選ぶ10人」で既に紹介済みの方々は、「声質も好き」という要素も含めて選んでいたので、今記事のこのランキングからは外しております!

今回は1位からいきます!


1位
斉藤由貴

そもそも俳優さんって、見た目とか以上に、「声が命」だと思う。
――「声質」自体が、言葉を語らなくてもそれ以前に既に、「何か語っている」かどうか。
そして「声が既に語っている」ところに、「歌」が乗っかると、その人の歌は、それだけでもう「一つの物語」になるのだ。

「歌う語り部」斉藤由貴。
いや~、でも、由貴氏の曲もまた、結構これまでの記事で紹介してしまったんだよなあ。
なるべくこれまでの記事で未紹介の曲をここには上げたい。
アルバム曲にしようかとも思ったんだけど。
たとえば「AXIA~かなしいことり~」とか、やっぱりあの曲、いろんな人がカバーしているけど、由貴氏じゃないとダメだね、全然伝わってこない。

とはいえ、今回の記事はなるべく、ライブやコンサート収録のものからではなく、「音楽番組からの」且つ「生バンド・オーケストラの生伴奏」動画を集めたかったので。
(「プレイリスト」としての「統一感」が欲しかった!)
まとめて聴くと、音楽番組を観ていたあの頃に戻れる気分ですよ! お試しあれ!!)
そうすると、アルバム曲って、あんまりないんですよねえ。(由貴氏はそれでも見つかるほうなんだけれども。)
なので、――そういやこの曲、地味ながら、自分は割と好きなもので、出してみようかと思います!

「砂の城」


と、言いつつ。
やっぱ由貴はバラードよね、ということで、こちらも。

「光の中で生まれたら
きっとこんなふうだろうね」と
私より一瞬先に
おなじこと言った

という、この歌い出しのフレーズから思い浮かんだという、この曲の作詞者は、由貴氏本人である。
詞だけ読むと、どう見ても「幸せ真っ只中の二人」の情景……のはずなのだが。
この回、歌っている由貴氏自身が、何だか感極まっているし、それを聴いていると、なんだこちらも「もうこの彼氏は死んでこの世にいないという裏設定なのでは?」なんて、詞の内容を(勝手に想像で)膨らまして……いや、「膨らまされて」しまう。

まさに語り部。
――由貴、何て、恐ろしい子!(笑)

「『さよなら』」




2位
薬師丸ひろ子

いやね~、1位と2位は迷った、というか、同率1位にしたいくらい!!(笑)
それにしても、「薬師丸ひろ子の声」を嫌いな人って、この世に存在し得るだろうか?ってくらい、美しい声だよなあ。――というか、「美しいもの」や「清らかさ」を声にするとこんな感じ、その「象徴」みたいな声。
歌うだけで世界が「清まる」よな。
でも、単にそれだけではなく、「美しさ」「清らかさ」の中に、「人の毒」みたいなものも微かに含まれているような気もする。
だから人の心を、耳を、これだけ惹きつけるんだと思う。

自分、言うなれば「暖かくて涼しい」声が好きなんだけど、まさにそれだとも思う。
人肌の暖かさを持ちながら、爽やかに吹き抜ける風、みたいな。
――そんなのって実際「音」でしか表現できないと思うけど。

そんなこんなで、薬師丸氏の曲もこれまで結構紹介してしまったので、どうしようか??と考えて、これに決めました。
(名曲だと思うのだが……正直この曲、そこまで売れなかったんですよねえ。)

「胸の振子」



もう一曲。
――井上陽水の世界も、しっくり馴染む薬師丸ボーカル。

「『野蛮人のように』より ステキな恋の忘れ方」




3位
原田知世

「マツコの知らない世界」で、森山直太朗氏が、「女性ボーカルの世界」のテーマで語っていた時、知世氏の声を「天使系」だったかに分類していたんですよね。
「天性の天使声」――異議なし!ですわ。
由貴氏や薬師丸氏のファルセットももちろん大層美しいのだけど、80年代当時の「どこかか細い」知世氏のファルセットって、「薄いガラス」のようで、「壊れそうな」緊張感があるんですよね。
とはいえ、84年あたりからは徐々に、より安定感のあるボーカルに変わっていくわけである。
その「歌い手としての成長・変化」も楽しめるのが、「アイドルPOPS」というもの。

「アイドルPOPS」の、その歌声に何を求めるか――これはもう、知世氏の声に集約されているとも言えるのでは。

「逢えるかもしれない」(87年)


「早春物語」(84年)




4位
菊池桃子

はい、いつも私のアイドル記事をご覧いただいている皆様は、そろそろ出てくると思ったでしょ?(笑)
正直、1位から4位は、順番付かないですね。
私を「80年代アイドル沼」にはめてしまった(もう出られない!!笑)「張本人」の方々ですからね。

いや~、桃子氏の声は、ズバリあの頃、「時代と世間が求めている声」だったのだと思う。
「桃子が歌うと、何を歌っても桃子」というのは、ボーカリストとしてみれば、「最大の武器」である。

「もう逢えないかもしれない」


と、こういうセンチメンタルなミディアムテンポのシングル曲もまた、桃子らしさ全開なのだが。
さて、次の曲は?
「Alfa Flight」も見つかったから、桃子らしく爽やかな、アップテンポの王道シティポップとして、アルバム曲のそれを紹介しようかとも思ったのだが。
桃子の声といえばやっぱり、こういうバラードも、ですよね?
ということで。
――この曲、好きだわあ。
(生バンドの伴奏が醸し出す、レコード音源との編曲の差異も面白いです。)

「Night Crusing」




5位
松本典子

やはり1位から4位の方々に比べると、「自己主張が控えめ」な声質だとは思う。
――しかし、その存在を一度知ってしまえば、この人の声もまた、唯一無二。つまりハマってしまう。
特にスローナンバーは、癒されることこの上なし。
やわらかい声なんだけど、どこか硬質なところもある声である。――そういうのもまた、「音」でなら表現できるのだよな。

「どんな曲が来ても馴染む」という「器用さ」は、流行歌手としては、「諸刃の剣」ではあるのだ。――「この曲はやっぱりこの人でなければ!」要素が薄まるので、
事実、シングルカットされた曲のその「提供者」を追って見ていくと。
EPO、小坂明子、矢野顕子、ユーミン、久保田利伸、中島みゆき、等々、と、「相当バラけている」。
が、どの曲も「合わない」とか「違和感」とかが、なんと「ない」のである。
――ここが松本典子氏の「恐るべし!」なところなのだ。
その残してきたものを「作品群」として、俯瞰でみると、そのボーカリストとしての価値に気づけるというもの。

さて、どの曲を紹介すべきかと。
「歌声を堪能する」というテーマで、順当にいけば、「さよならと言われて」「儀式(セレモニー)」を出すべきかとも思いつつ。
でも、これらは既に別記事で紹介済み。
そうなってくると、今の季節なら、デビュー曲のこれかな?

「春色のエアメール」



もう一つ。
尾崎亜美氏の曲って、アイドルPOPSとの相性が、いつも抜群ですよね~。
特に「春の曲」に名曲多し。

「パステル・ラブ」




6位
河合その子

さて、今回の記事、「声質だけに基づいて、自分の好きな順に並べる」となった場合に。
ここらへんの順位から「改めて考えてみる」作業になったわけである。
で、考えてみたら……自分、河合その子氏の声質、結構好きだな、ということに気づいた。
と、いうのも、「デビュー当時」の歌い方は、そうでもないのである。(言い方!笑)
でも、作品リリースを重ねるにつれて、声の音域も広がっていき――そう、「ますます、どんどん、良くなっていった」のが、河合その子氏の歌なのである。

まず選んだのは、7枚目のシングルのこの名曲。

「JESSY」



で、活動中期には、アルバム主体の活動で、シングルのリリースは全くしなくなったのだが。
この時期、更にすごーーく、歌が、良くなっている!!

――この曲については、シングルカットすれば、売れたんじゃないかなあ、なんて思ったり。名曲。

「さよならBack Stage Kiss」


もうひとつおまけで。

ホントは、音の統一感がなくなるので、今回はすべてテレビの音楽番組から紹介しようと思っていたのだが。
やはり、ラストアルバムの頃のその子氏の声が、自分はとても好きなので、(しかし、その頃にはもうTV出演はしなくなっていたので、)この曲だけ例外的に「LIVE映像」で紹介させてください。

その子氏の自作曲にして、これもまた名曲。
――これが河合その子の「完成形」。

「空を見上げて」



7位
芳本美代子

自分、「声質」に「せつなさ成分」が多分に含まれている声が好きなんだと思う。
芳本美代子氏の場合、御本人の弾けた飾り気のないキャラクターとは裏腹に、声に「センチメンタリズム」があるというか。
「憂いを含んだ曲」に、その声の魅力が、遺憾なく発揮される感がある。

「せつないの極み」のこの名曲を。
3rdシングル。

「雨のハイスクール」

いや~、この曲好きすぎて。
某カラオケで見かけた時(あると思わなかった)、思わず、人目もはばからず(つまり「一人カラオケ」ではないにもかかわらず、)歌ってしまいました。(おっさんによる「清水の舞台からの転落事故」。笑)
――まあ、もちろんその時はその場の「失笑」をかったわけですけれども。
(「大爆笑」でなかっただけよかったと思えよ、オッサン!!笑)
最後のサビが半音上がることを忘れてキー設定して、――そうでなくても選曲で「転落」した上に、歌の最後、死因は「窒息死」でした。
(……そんな、甘酸っぱい、いや酸味強めな個人的思い出も。笑)


「♪グリーンアップル?ストロベリー?チェリー?ハニーパイ?」という、単語をまるで呪文のように繋げた松本隆先生の作詞センスが光るこの曲も。
――デビュー1年目は「王道アイドルPOPS」で固めるという最適解。
4thシングル。

「アプリコット・キッス」




8位
岡田有希子

岡田有希子氏の音楽世界もやはり「岡田有希子でなければ」の世界である。

特にデビュー曲からの「竹内まりや提供曲による夢見る少女三部作」(勝手に個人的に名付けてみました)は、80年代アイドル界の「金字塔」あるいは「記念碑」つまり「夢そのもの」である。(3曲とも別記事で紹介してしまったので、ここでは取り上げないが。)

声に艶がある、が、それを上回る「落ち着き」「気品」があるので、艶が、純正の「艶のまま」残るわけである。
「浮世をしっかり離れるべき」アイドルPOPSの世界において、一瞬一聴にして、夢の世界へ連れ出してくれる声質は、大変貴重である。

「艶」と「浮遊感」が同居する有希子氏の歌をご堪能あれ。

「Love Fair」


さて、更に有希子氏の声のふわふわ「浮遊感」を楽しめる曲は、他には何が?

で、4thシングルのこの曲を。

「二人だけのセレモニー」




9位
南野陽子

「よく通る声」ではないので、したがって「声量を必要とする曲」や、歌の中の「ロングトーン」とかは、正直、いまいちなんだけど。
でも、その代わりに、語尾に独特の「余韻」が、ふわっと残るのである。
だからその「余韻」が活きる、特に、静かなスローナンバーがいい。

「ナンノが歌ってこそ」の曲が、たくさんあるのだが。
80年代のシングル曲だと「話しかけたかった」「パンドラの恋人」「秋のIndication」「あなたを愛したい」等々、迷ったんですが。
この曲にしました。
この曲もまた、ナンノが歌ってこそなんですよねえ。

「思いのままに」


いや、ホントはこちら↓の曲を紹介しようと思ったんですが。(86年の3rdシングルのB面。)
この番組の収録日が90年代にギリギリ入るので、今回は見送りに……しようかと思ったけど、やっぱ出してみます。(笑)

いやはや、これぞ「ナンノじゃなければね!」の世界観。
――こういうタイプのセンチメンタルな曲もまた、ナンノの真骨頂。

「春景色」



10位
三田寛子

80年代中も、結果的には、どちらかというと既に俳優業の活躍のほうが目立ってはいたが。
82年から87年にかけて、シングル14枚、オリジナルアルバム5枚をリリースしており、音楽活動も精力的に行っていたのである。

声質もそうだが、発音やイントネーションに独特の「はんなり感」がある。――さすがは京都人である。
言うなれば、雨上がりの夕暮れ時を思わせるような、「清らかな湿度」のある声だ。
中島みゆきさんや村下孝蔵さんの提供曲の、その世界観がしっくりなじむというのも、80年代では貴重なタイプのアイドルボーカリストだったのではないだろうか。

「少年たちのように」

いや、これ難しい曲なんですよ。
特にサビの息継ぎが、どこでしていいのかわからない。
(カラオケで「実体験」済み。笑)
(ブレスのことを考えて作られていない……みゆき曲あるあるですね。)


村下孝蔵さんの曲では、「初恋」「野菊いりちん」と迷ったが。

「恋ごころ」





11位
吉田真里子

私はそもそも「生真面目で堅物」な人が好きなのである。
で、それはアイドルに対しても何故か同じだったりする。
なんというか、歌い方にその人の「人間性」って表れる気がする。
吉田真里子氏の歌い方って、「歌詞が、一言一言、いや、一音一音、はっきりと聞こえる」感じがする。
――「堅い」というのは、歌においては必ずしも「褒め言葉」にならないとする向きもあるかもしれないが、いや、しかし私は、(良い悪いではなく)そういう歌い方が「好き」なのである。

「とまどい」

これはもしかすると、御本人にとって、初・生放送番組、且つ、初・生伴奏による歌唱なのではないだろうか?
……なんていうか、いつもより更に「カタい」。(たぶん、相当、緊張されているのだと思う。笑)
けど、真里子氏の場合、それもまた味わい深い。

で、2曲出すのは10位までにしようかと思っていたのだが。

生放送・生伴奏でも、見事に歌われている動画もあったので。
(別記事で既出ですが、これだけはどうかお目こぼしを!吉田真里子氏も88年デビューなので、生伴奏テレビ番組歌唱って、あんまりないんですよねえ。)

「さよならのリフレイン」




12位
渡辺満里奈

いや、実は、おニャン子クラブ在籍当時には、私はそこまで注目していなかった満里奈氏なのである。
(もうソロデビュー組も既にたくさんいたので、若干「おニャン子クラブ」という「企画」に、その頃飽きてきていたのかもしれない。)
しかし、おニャン子解散後、87年末から88年リリースの、シングルのラインナップが、とっても良いと感じられた。
で、遡って既発のアルバムを試しに聴いてみると、これもまた良い。
「満里奈、いいな!」となった流れである。
この「キャンパス・ポップをアイドルのフィールドに移し替えて」というラインは、他のおニャン子メンバーだと、成立しなかった。
つまり、「満里奈の声」あってのものだったと思う。
言うなれば、「アイドル特有の媚」のない、直線的なボーカルで、「男女ともに」ウケそうな歌い方でもある。
子供っぽくしているわけでもなく、かといって、変に背伸びして大人びてもいない、「自然体」のアルトボイス。


「見つめてあげたい」

この曲、カッコいいです。
元の音源の山川恵津子氏のアレンジが良く、そしてそれが、歌番組の生バンドに変換しても、よく映える曲である。



13位
真璃子

「気づいたら、何枚ものアルバム単位で曲を聴いていた」という、これもまた(私にしては)不思議な応援の仕方だったかもしれない。
いや、デビュー曲から続くシングルが、「どれも良い曲だなあ」とは思っており、――でもだいたいそういうのって「曲が良い」のもあるけれど、歌っている御本人の「歌が良い」ということなんですよね、結局。(そこにすぐには気づけなかった。)
何というか、「とんねるずの妹分」という「キャラクター(?)」が、かえってそっちが当時は強すぎて、せっかくの御本人の歌手としての「色」が、際立たなかったような気もする……んだけど、「魔の86年」デビュー、やはり「とんねるず色」ですらも、つまり「使える目立つ色は何でも使って」、打ち出していかないと、なかなか前面に出ていくこと自体が難しかったかも?ともまた思う。

どの曲でいこうかと思ったけど、――「恋、みーつけた」「不良少女にもなれなくて」等々、迷いに迷ったが。
このレコード大賞新人賞の時の歌唱が、一番カッコよかったので、こちらにしてみました。

「夢飛行」




14位
伊藤つかさ

今回、「声質」テーマで語る時に、「それなら必ず押さえておかねば」と思った伊藤つかさ氏。

「すごく上手いか」と問われれば「否、」とはなる。
けど、やっぱり声が良いんじゃないかなあ、と思う。
この声だからこそ成立する「世界観」がここにはある。
当時はつかさ氏が中学生だったこともあり、CM等で見かける人気の割に、テレビの音楽番組での歌唱機会が「あまりなかった」という印象ではある。(学業優先という方針だったのか?)
なので、後年にレコード音源で聴いた声の印象が、私の記憶の中ではメインになっており、で、そのまた更なる後年に、こうしてインターネット上で「生歌歌唱」を初めて聴いたりすることにもなったわけだが。
録音音源でかかっている、歌声の、小刻みなビブラートーー例えば「♪髪をなびかせて」の「を」の部分にかかるビブラートとか、とてもいいなあ、と思う反面、あまりにも理想的なビブラートだったから、「これは後から加工してつけたものではないか?」なんて疑ったりしていたのだ。
が、生歌歌唱をこうして聴いてみると、加工ではなく、つまり「本人の自力ビブラート」であったことがわかる。

一言で言うと、誰もが真似できるわけではない、「味わい深い歌唱」ということである。

「少女人形」も良いが、この曲こそ、つかさ氏の声の良いところを引き出していると思う。
もっとこういう「浮遊感のある」曲を、シングルカットしても良かった気がする。

「夢見るSeason」




15位
島田奈美

島田奈美氏の曲で、「NO!」とか「Moonlight Whisper」とか「もっとずっと I LOVE YOU」とか、好きなものってたくさんあるんだけど。
どれも、他の人の声だったら、多分あんまり耳に残らなかったと思うんだよなあ。

少女と少年が同居しているような声。
「力技ビブラート」も、逆に良き。――上手すぎちゃつまらない!島田奈美はこうでないと。

この曲もまたお気に入りだけど、たとえば、提供者であるEPO氏の「安定ボーカル」で仮にもし歌われていたとしても(……想像してみる。)……うーん、たぶん、あんまり耳に引っ掛からない曲のような気もするんだよなあ。


「内気なキューピッド」



16位
渡辺美奈代

おニャン子クラブ内では満里奈氏と共に「W渡辺」なんて言われて、リスナーの「比較・好対照」だったお二人である。
クラブ内のデビュー順も並んでいるし。
レコード会社も同じソニー組ではあるのだが、満里奈氏が「EPIC」に対して、美奈代氏は「CBS」のほうのソニー。
「意図的に差別化をはかった」ところも大いにあると思うが、満里奈氏の路線とは対照的に、デビューからの始めの2年間は、「とことんガーリー・アイドル」の「THE 王道」路線を極めた、渡辺美奈代氏なのであった。

「おニャン子クラブ」という母体がなかったら、確かに、「デビュー曲からシングル連続5曲オリコン1位達成」は、なかったかもしれない。
でも、(私見としてはだが、)――もしかするとおニャン子クラブの中では唯一、「おニャン子クラブ」を経由しなくても、デビューには漕ぎつけていたのではないか?と思う、そんな「逸材」が美奈代氏なのである。
(つまり、「レコードデビューをさせたい」と多くの人が感じるであろう資質や条件が、美奈代氏本人に既に備わっていた、と、私は思うということである。)

美奈代氏の声の良い所が存分に味わえる「雪の帰り道」か「アマリリス」にしようかと思ったのだが。
この曲も大好きなので。

「Winter スプリング,Summer フォール」



17位
高井麻巳子

と、いうわけで、おニャン子クラブ出身者がここまでで4人揃ったわけだが。
「おニャン子クラブ」という「企画の面白さ」がウケた側面は大いにあると思われるが、しかし、ソロデビューした方々の「歌う顔ぶれ」をこうして見て見ると、結局「(アイドルとしての)面白み」がある面々が、「うまいこと」揃ったのだというふうにもまた思える。
――順当にいくと、「デビューには至らない」とか「スカウトした複数人の中から抜きん出てはこない」とか、そんな「候補生」になりがちな人のほうに、実は「最もスター要素がある逸材」が隠れている、という事実に、うまく「おニャン子クラブ」という企画が「はまった」のかもしれない。
「某大手事務所のコンテストで、歴代の『グランプリ』より、『グランプリの次点候補』のほうが結果的にブレイクした」とか、あるいは、「3人組ではスタート時のセンターより、そうでない者のほうが結果的に後のセンターになる」とか、そういう「最終的にブレイクするのは、人々が頭に描く『ど真ん中』を、ちょっと外したところ」、というような現象に、これは近いものがある気もする。

高井麻巳子氏のボーカル、言葉で言い表すなら、「素直・素朴」「落ち着き」そして「直線的」といったところだろうか。
「技量を結集した精密な筆致で描かれた絵」も素晴らしいだろうが、そればかり見ていると、「真っ直ぐに描かれたクレヨン画」も見たくなる。
そんな「『イラスト』でしか描けない風景」を、見事にディレクションしていて、高井麻巳子氏が残した4枚のオリジナルアルバムは、どれも私は結構お気に入りである。
――「風鈴物語」「夕暮れのピアノ」「星のせせらぎ」等々、アルバム曲にも、シングルカットしたらよかったのにと感じるような良曲がたくさんある。

これは最後期のシングル曲だが、これまた良曲。
春先の雨の日に聴きたくなるこの曲を。

「テンダー・レイン」




18位
水谷麻里

1年目と2年目とで、歌い方が全然違うのが面白い。

2年目は、パンチとテンポ感のある曲が並んで、したがってボーカルも「勢い」が必要となったが、しっかり声量のあるボーカルを聴かせてくれた。
それに対して、デビュー1年目は、松本隆×筒美京平による作品群「これぞ王道アイドルPOPS」路線で、それを清々しく涼やかなボーカルで彩った。

2年目の曲からは、これまでの記事で2曲紹介していたので、今記事では1年目のこの曲を。

「乙女日和」



19位
畠田理恵

すっかり朝ドラ主演女優、いや、芸能活動を休止されてもう長らく時は経つのだったな、今ではとっくに「棋士の妻」としての印象のほうが強くなった、そんな畠田氏であるが。
デビューは、アイドル歌手としてだった。

デビューからの1stと2ndシングルが、所謂「青い性路線」方面(かなり言い方が古いですね。笑)で、曲としては悪くないんだけれども、御本人のキャラクターからはズレている感じがして、もったいなかったかも??――少々何かが違うというか80年代後半では「その路線」自体が古いというか……。

さて、ご紹介するのは、飛鳥涼作曲(やっぱいい曲を書くよな)の、3rdシングルのこの曲。
この、センチメンタルでメロディアスなミディアムテンポの曲調が、御本人の落ち着いた声質には、一番合っていた気もする。

「人見知り」



20位
相川恵里


「ABコンプレックス」

この2ndシングル、今見ても、「全く非の打ちどころはない」好楽曲、好パフォーマンスである。――「80年代アイドルとしては」満点ではないだろうか。
当時はまた新人賞レースは盛んで、各音楽祭に相川氏もよく登場していて、そのせいか、この曲はいまだに記憶に鮮やかである。

その後も好楽曲が続いていたと思うのだが、89年に入ると、軒並み「正統派アイドル」は、テレビからその存在感が薄れていったところもあり。
当時、一アイドルファンとしては、そんな音楽番組界隈を見ては、「つまらん時代になったなあ」と溜息しきりであった。

アイドルがブレイクするにはやはり、「時代の波」にふわりと上手く乗れるか、というところが鍵だったりもするわけである。(そこに面白みがあるとも言える。)
87年、88年デビューで、「正攻法」でスタートダッシュをかけた組は、ことごとく「2年目、3年目」で、歌手としての息が続かなくなった感がある。(無論、その後、多くの方々は、俳優業にその活路を見出すわけであるが。)
(酒井法子氏ですら、やはり「90年代の波」からは、歌手としては一度乗り損ねて振り落とされた感がある。――もちろん、その後、90年代の真ん中で、自身の主演ドラマとその主題歌でヒットチャートの真ん中に戻ってくるという「離れ業」を繰り出すわけであるが。)

80年代の終わりも近く、80年代に燃え盛った「アイドルPOPS」というものも、その「時代の変わり目」だったのかもしれない。

同じ87年、88年デビューでも、森高千里氏やWinkは、88年末から89年にかけて大ブレイクを果たすわけであるが。
もうそこには「90年代型アイドル像」のその「波」が既に来ており、それにうまくディレクションとして「先に乗った」感があるなあ、なんて思う。



21位
仁藤優子

って、あれ?
20位までじゃなかったの?!

というところで、最後の最後に仁藤優子氏。

「おこりんぼの人魚」

このデビュー曲、とっても素晴らしい、サビ前の高音の声の伸びである。

――うーん。
これはアイドルに限らずだが、いや、でも特に「アイドルPOPS」によくうかがえる事例かもしれない。

「音域の、高音ギリギリいっぱいに設定して歌唱させる」案件である。

確かに、そのほうが「耳に引っ掛かりやすい」音触になると思う。(それは顕著に、90年代の小室ファミリーの曲なんかにあらわれていると思うのだが。)
しかし、歌声は「消費する」ものではないので、「消耗」させてはいけないのである。
「声」は財産である。
聴き手としては、好きになった歌手の声は、「末長くその歌声を聴きたい」わけである。
やはり、制作陣やマネジメントする会社は、その歌手の、「天からの授かりもの」である「声」というものを、もっと「守る」視点をもって、歌手の活動を支えてあげて欲しいものである。

……なんてことを付け足したりしてね。(思いっきり蛇足。笑)
(わかる人にだけわかる話でゴメンナサイ。)


と、いうわけで、今回の記事も、「(ライブやコンサートからではなく)テレビの音楽番組からの」「生バンド・オーケストラの生伴奏」動画に統一して集めてみました。

それで泣く泣く外したのが、高岡早紀氏、西田ひかる氏、ソロでの相田翔子氏(相田氏の「ソロデビュー」は90年代だしな)。
いや~、この声好きだなあ、とは思いつつ、80年代中のTV番組からの生伴奏動画がなかったので、この方々は今回は入れられなかった!!残念!!
(88年デビューにもなると、音楽番組もカラオケ伴奏が多くなるんで、生伴奏歌唱が全然見つからないんだ、これが!)

あと、スミマセン、こういう企画で80年代アイドルを語る上で、聖子と明菜とキョンキョンは殿堂入り、ということで!
(今回も入れられませんでした。)
(だってランク付けすると、どこに入れていいかわからないのだ。――他のアイドルと比較できない!)

今回は以上です!


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