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「あるよ!」~SNSは専門家同士のつながり増幅装置・あるよおじさんへの憧れ~ #11

■note#11

「あるよ!」で想起されること


「あるよ!」

この言葉を聞いて、あなたは何を思い出すだろうか。

そう、あの有名なドラマのワンシーン。

2001年にフジテレビで放送されていた「HERO」に出てくる、俳優の田中要次が演じる寡黙なバーテンダーの一言だ。

木村拓哉演じる主人公が、ないだろうと思われるものを注文しても、いつも、「あるよ!」と要望に応えてくれる、驚きと定番の一言にクスッとしてしまうあのシーン。

なぜ、この「あるよ!」は名ゼリフになったのだろうか。

私がこのシーンを見る度に思っていたのは、「相手が望むものを差し出せる」凄さだ。

以前、上野千鶴子さんが、自身の優秀さについて、「自分が差し出したいものではなく、相手が差し出してほしものを瞬時に察知して差し出せるところだ」というようなことを語っていたことがある。

常に「あるよ!」と言えるためには、それだけの準備がいつもできている必要がある。

期待を裏切らないだけの常なる準備が。

幸運は準備ある者だけのもの


「幸運とは、チャンスに対して準備ができていることである」(J.フランク.ドービー)、「幸運は用意された心のみに宿る」(ルイ・パスツール)と言われる。

昨日、専門家が集うセミナーを視聴したのだが、そこに集う方々は、SNSがきっかけでつながった方が多かった。

世の中の全ての専門家であることは難しい。

そのため、ある分野の専門家であっても、専門外の専門家の協力は必要不可欠だ。

ある分野に情熱を注ぐ専門家であるということは、その分野に強くない者にとっては、とてつもなく頼りがいがあり、魅力的に見える。

そのセミナーでは、業務改善に役立つ技術を提供できる方々と、それを望む農家の方々が登壇していた。

話す内容は、互いが自信に満ちあふれており、このつながりによって生まれるシナジー効果に大いなる期待を抱いているようだった。

SNSにより、個と個はつながりやすくなった。お話を聞きながら、レベルの高い専門家の方々が数珠つなぎになって、大きなことを成し遂げていく光景が目に浮かんだ。

「自分もこのようなネットワークの一員になってみたい!」

それが自分のレベルを度外視した素直な感想だった。

残念ながら、今の自分には、一員になれるような、幸運をつかめるような準備がまったくできていない。

あるよおじさんへの憧れ


「あるよ!」

準備が整っている自信と安心感を与えるこの響き。

主人公が思わず

「あるの!?」

と言ってしまうくらい、この言葉がいえることは凄いことなのだ。

「ないだろう」
「困っているけどどうしようもないだろう」

と決めつけていたものが

「あった!」
「どうにかなる!」

に変わる。

専門家として、「あるよ!」と自信をもって言えるようになったとき、遠い世界だと諦めそうになるあのネットワークの中に、私も足を踏み入れることができるのだろうか。

「あるよ!」が名ゼリフになった理由は、視聴者の密かな、期待を裏切らない者への憧れにあったのではないかと思わずにはいられない。


※ドイさんのお言葉に甘えて書いてしまいました。お優しいお言葉、ありがとうございました。


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