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優しい嘘ってあるじゃないですか。あれですよあれ。

「ぼくね洗濯もの畳むことが下手くそで、綺麗に畳めないからお願いしてもいいですか?」
東京で一人暮らしをしていた時は、毎日のように洗濯していたし今でも自分の洗濯物は自分で畳むようにしている。

「包丁うまいですね!料理人だったんですか?ぼく手を切ってしましそう」飲食店のバイトをしていた。まかないを作っていたし、包丁や台所の捌き方には自信がある。

「掃除機とモップがけお願いしてもいいですか?他の仕事が忙しくて手が回らなくて」
利用者さんの後ろについて、掃除しているところを見守っている。

「この計算難しいですね、ぼくもパッとは答えわからないかも」
さすがに二桁の足し算はできる。

「よく足上がりますね。ぼく体が硬くてそんなに上がらないかも」
上がる。寝る前にストレッチをするようにしている。

「歩くの早いですね。ついていくのに必死ですよ、ぼく」
夕方過ぎ、週に3日はランニングをしている。


これらの嘘はきっとバレている。

でもどうだろう。得意気になって「もう少しね、角と角を合わせると綺麗に畳むことができるよ」「包丁の持ち方はね、こう持って野菜の方を回していく感覚で皮を剥いていくといいよ」「モップはもう少し濡らさないとダメだね」「毎日ストレッチするともっと足が上がるようになりますよ」

などと、得意気にレクチャーすることに何の意味があるのだというのか。

そんな日常的な当たり前のこと、散々やってきたはず。ナンセンスな会話をするぐらいなら「嘘も方便」にしておいた方がいい。

優しい嘘ってあるじゃないですか。あれですよあれ。

「大丈夫!そんな簡単に死なないから!」
いや、これはあかんか。嘘でもあり本当でもある。

「全然汚れてないですよ!」
いや、リハパンの中は爆発している。すぐさま新品を用意する。

「そろそろ洗濯したほうがいいかもしれないですね。まぁとりあえず着てきた服を着ましょうか」
目を離した隙にサッと替えの洋服とすり替える。

嘘を真実に捻じ曲げるマジックも身につけた。隠蔽ではない。これは優しい嘘なのさっ。

介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。