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キャラが渋滞しています

志村けんさんの演じる「ひとみばあさん」。
「嘘つけよ。そんなばあさんいねーよ。」と思っていたのだけど、居ますいます。なんなら忠実すぎるほど忠実に演じていることを、介護職員になって知った。志村けんさんの演技力はいうまでもない。完璧。
ハリウッドザコシショウさんは、誇張し過ぎたモノマネで笑いを作るが、志村けんさんはリアリティーを追求していたんだなぁと、今更ながら鳥肌がたつのである。

腰が曲がったまま震えながら歩く。前方数メートルしか視界がないから、呼びかけらても素通りしてしまう。息をしているだけなのに「ふぇふぇ」言っている。話し出すととまらないし、何度でも同じ話をする。見方にコントになってしまう。
むしろこのくらいのキャラクターはかなり一般的で、現場で働いていると余裕で想像を越えてくる人物に出くわすのである。

義歯を付け忘れてきた老婆は、人に食べている姿を見られるのが恥ずかしいからと昼ごはんを台所に持ち込んで、鯖の味噌煮を手づかみで貪るように口に流し込んでいた。
あるばあさんはトイレに入って内から鍵をかけた。しかし鍵の開け方がわからなくなって諦めたのか悟ったのか、はたまた何かを懺悔していたのか、そのまま1時間ほど何も発することなくそこにいた。外の世界では大捜索が行われているとも知らずに。
皿を舐め回すおじい。フルーツパフェのグラスからはみ出した生クリームように5日溜め込んだ豪快な排便をするおじい。
リハパンの重さでずり下がったズボンには、カンガルーの子供がいたなら飛び込んでくるだろう。
メガネは片側はずっとガムテープで補強されたまま。
ちょうちょを追いかけるような眼差しと足取りで、デイサービスの玄関から帰ろうとするおばあちゃん。

ツッコミは大変。みんな一斉にボケてくるのだから。

そういえば最近「おばあちゃん」という芸人が芸人界隈で注目を浴びている。正真正銘のおばあちゃんで、高齢者のあるあるネタを川柳にして漫談をしている。芸歴5年目だそうで、もう舞台に立っているだけで面白いのに、喋りもネタもしっかりしているから本当にすごいと思う。

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