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風の教え

涼やかな風、ささやかな励ましに心を踊らせる。
精霊たちのダンスを横目にみながら先に進む。
森はいつだって正しい。
各々にそれぞれの居場所があり、共存を可能にしている。
微々な調整を行うことで日々姿を変える。
瞬きをする度に姿を変える。
一枚として同じ写真は撮れない。
均整を目指す社会では起こり得ないその変化に私は魅了されているのだ。
快適さと引き換えに人間は大切なものを失ってしまった。
それがここにはしっかりと存在している。
失うまいという意志がはっきりとみてとれる。
簡単に手放してしまったものはなんなのか。
今それを知る必要がある。
知らなくてはいけない理由がある。
既に手遅れになっているとしても。
むず痒いがこれが現実、飲み込まなくてはならない真実である。
無理にでも咀嚼するべきだ。
その方が今後の負担が少ないから。
切り詰めた精神、計り売りされた時間。
これらを度外視にするほどの理想がここにはあるのではないか。
純正な風に吹かれながらそんなことを考えていた。


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