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ある男の決意

きれいに生きなさい。
そう教えられて育ってきた。
ふさわしい場所にふさわしい色を塗りなさい。
塗りつぶすならば、まず丁寧に縁をとってからにしなさい。
そのほうがきれいに生きられるから。
もちろん正しい。
正論である。
ただ、それだけだ。
正しいだけ、美しいだけ。
そこに個性はない。
きれいに囲まれて閉塞感を抱いている人間がいることをわかって欲しい。
自分のなかの正解を探っている最中だから。
恐怖が無いわけではない。
模範解答の存在を知りながら別解を求めている毎日。
あるのかもわからない。
納得だけを頼りにしてがむしゃらに走っている。
身体を壊すかもしれない。
歩けなくなるかもしれない。
それでも動かずに終わるよりはましだ。
せっかくならボロボロになって終わりたい。
余力なんて知りたくない。
わがままは承知だ。
これだけを許して欲しい。
後片付けはちゃんとするから。


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