このまま生きててもおっさんにはなれないんだなあ ぬんを
このまま生きていてもおっさんにはなれないんだなあ、と電車で大股広げて座るおっさんを見ながらぼんやり考えた時、女子大生だった私は静かに絶望した。
別に「自分は本当は男なんだ」と思っていた訳ではない。自分が生物学的に女であることは承知しているし、そこにこだわる必要がないくらい周囲が私のありのままを受け入れてくれていた。
朝起きて「今日もブラジャーを付けるのか」と嫌になるのは日常だったが、それは寝起きの不機嫌さと相まってただ全てがめんどくさい、という感情だと解釈すればよかった。