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【陰の人生#09】イラストレーター時代①

 宗教的な兼合いと度重なる体調不良とによりおよそ2年程度で最初の会社を辞め、何をしていたかというと、宗教の伝道活動です。
 ただし、当然のことながらいわゆるボランティア・奉仕活動で、報酬は発生しません。毎日3〜6時間ほどをその活動に費やし、余った時間で生計を立てるためのアルバイトに行きました。
 そもそも、生まれつき身体が強くないことに加えて長年の肥満から慢性的な運動不足、褒められたものではない生活サイクル、常に相反する理念と信念と価値観に挟まれるストレス。
 ダイエットのお陰で見た目だけは何とか人並みになりましたが、中身はボロボロで、かつて悩まされたオカルト現象に再び悩まされ始めました。今回は、金縛りです。
 メンタル不調は既に常態化していました。

 人によっては、自身の苦しい思い出などとリンクするかも知れません。どうか、心が元気な時に読んでください。
 また、うっかり読んで気持ちが暗く落ち込んでしまったら、早急にお笑いなどを摂取されますことをオススメします。

金縛り

 症状は、人によって様々な感じがします。私の場合は、横になっている時にまず前兆があります。周囲の気圧が変わるような感じがあり、耳の奥(鼓膜?)を内側にきゅーっと引っ張られる感覚が到来し、これが物凄く痛いです。ああ、来る来る来る!と思った瞬間、ズドン!と体の上に何か乗ってくる感じで、ベッドにめり込むような勢いで身体が重くなる、という金縛りでした。
 恐怖と痛みで冷や汗ダラダラで、言葉も発せないので心の中で神様に助けを求めました。

 ちなみに、効いたことはありませんwww

 宗教団体なので、お察しと言いますか、わりとオカルト談話のようなものがお好きな方も多かったように思えます。その界隈での言葉で言えば「サタンからの攻撃の経験」といったカテゴリーになるでしょうか。ちなみに、私もなかなか好物でした。
 どこから仕入れてきたものか、私も聞いたことのある伝説テンプレ「サタンからの攻撃の経験」はいくつかネットにも流出していました。大会などで話された経験を聞いて、それを地域外の友人知人に伝えることによって全国に広まるのかもしれませんね。
 話逸れましたが、そうした仲間たちから「金縛りに遭った時に神の名を呼ぶとすっと軽くなる。やはりサタンより神の方が強い」と聞かされていましたので最初は必死に縋りましたが、特に効くこともなく、私の場合は時間の経過を待つかそのまま寝落ちするかの二択でした。

 神の名を呼んでも聞かれることがなかった私は「なるほど、これは霊的なものではなく単なる身体の疲れと精神の疲れの齟齬に違いない」と結論付けて寝落ちすることを選びました。
 信仰心の欠如とは、思わないwww
 まぁ、思う理由もなかったもので。

 この、鼓膜が内側に引っ張られる感覚のある金縛りの人って、他にいらっしゃらないんでしょうか。近いところで言うと飛行機離陸時の「キーン!」ですが、あれのもんのすごく痛い版です。
 当時はこの金縛りが来るのが、本当に身構えるくらい恐怖でした。物理的に痛いので。
 あれ、どういう理屈で起こってたのか、それが今でも知りたいです。ちなみに、この時期だけで3年くらいだったかな?今はならないです。

始まりは望んでいなかった

 会社を辞めアルバイトと伝道活動を始めた私に、両親が仕事を持ち込み始めました。

 イラスト、またはデザインの仕事です。

 父にしてみれば、広告代理店やデザイン事務所に依頼を持ち込むよりも安い上、娘なら細かく指示することも可能だったからです。
 父の職業については伏せますが、ポスターやパンフレットの表紙などを、当時は自前のパソコンが無かったため、父の職場に出向いて父のパソコン(Photoshop)で作成しました。
 父は「デザイン事務所が作ったものより良い」とご満悦で、私は小遣いを貰って仕事は終了、でしたが、今考えるとクオリティに対しては相場の1/10〜1/20くらいの値段だったと思います。印刷代は別ですけど。そりゃ、ご満悦ですよね。

 母も母で、私に何かさせなければいけないとでも思ったのか、知り合いのデザイン事務所の所長(いわゆるママ友のご主人)に私のことを話したらしく、そこへ何度か出向いてAdobe Illustratorを使った仕事をさせてもらいました。
 更に、そこから当時流行り始めたばかりのホームページを作ってみるよう促され、悪い頭ながらも参考書を買ってHTMLとCSS程度までは何とか独学で勉強し、JavaScriptなどは配布されているものをDLして利用するなどの対応で、いくつかのホームページを作成させてもらいました。

 とは言え付焼刃の素人ですから、出来はお察しです。正直、重荷で仕方がありませんでした。お金をいくら頂けば良いのかも分からないし、そもそもお金をもらって良い出来なのかどうかも分かりません。
 単発の仕事ではなく出来ればちゃんと雇って欲しいと思ったのですが、そうした余裕はなかったのか私の出来が悪かったのか、たまにお声が掛かるようなことが複数回あったのみでした。

 宗教団体の中でも自営業の方などが多く、私がデザイン科卒だということは知られていましたので、チラシなどの案件をいくつか頂きました。
 こうして、なし崩し的に私は「イラストレーター・WEBデザイナー」というような肩書きを持ち始めました。

 人によっては、羨ましい環境だとか運が良いとか思われる事例かも知れません。これをチャンスに頑張れ、とか。

 残念なことに、出来なかったんですねぇ。

 正直、自分の好きな絵を描けるわけでもなく、こうした展開を望んでいたわけではなかったと思います。ただ、生計を立てるためには正社員ではない何かをしなければならず(と思っていた)「やり始めてしまったからには後には引けなくなった」という感じで走り始めることになってしまいました。

 Windows95が発売されたばかりの頃でした。もう、30年近くも昔のことなんですね。
 そして、この時の問題は「テレホーダイ」でした。お若い方は、ナンノコッチャ?って感じですよね。当時はネット通信費が今よりも格段に高かったのです。その救済措置として、NTTのサービスにこのテレホーダイというものがあり、夜の11時から朝の8時までは定額でネットに安く繋げる、というものでした。
 そう、私の仕事は必然的に深夜にやることになったのです。

 身体に悪影響がないはずがありません。

 生活サイクルとしては、週に2〜3日、6時間/日のアルバイト。夕方や土曜日にも家庭教師のアルバイトが入っていました。母がママ友経由で取付けてきたバイトです。月に90時間の伝道活動、週5日に換算すると5時間/日、宗教の集会(お勉強会のようなもの)が日曜の午前中3時間と平日夜に2日約2時間ずつ、といったところでした。残りの時間に、イラストやホームページの仕事を詰め込みます。

 朝7時頃起床。
 9時に間に合うくらいの時間に家を出てアルバイトもしくは伝道活動。
 夕方5〜8時くらいに帰宅。(カテキョの有無)
 集会の日は6時半くらいには家を出て9時半頃帰宅後、風呂など。集会じゃない日はこの時間にイラストなどの仕事。
 夜11時を回る頃にネット接続、深夜2〜3時くらいまでネットでやる仕事、およびサーフィン。
 睡眠時間、多分足りてませんね。

 正直、ホームページの仕事が嫌い(というかスキルが足りずに重荷)でしたので、雑誌の「挿絵師募集」に応募して挿絵の仕事をゲットし、当時の「イラストレーター登録サイト」にも登録して、そこからイラストのお仕事を回してもらい、イラストの仕事の比重を上げました。単に、仕事量が増えてるだけなんですが。
 個人サイトも立ち上げて(付焼刃のホームページ作成スキルが役立ちました)今で言うところの「お仕事募集」「リクエスト募集」のような看板を掲げました。当時、デジタルでイラストを描ける人が少なかったせいか、サイトバナーやトップイラストを細々と描かせて頂いたり出来ました。
 納品させて頂いたものなどは、もう古過ぎてデータが残っていませんでしたし、著作権的にも勝手に転載してはいけないと思うので載せられません。古いPNで検索してみたら、今でも使って下さっているサイト(個人の文芸サイト)がありました…。ありがとうございます。
 その当時、気に入っていたイラスト(販促用)のデータが残っていましたが画質悪過ぎでしたwww

 画質悪過ぎ問題
古い絵残ってなさ過ぎ問題
服のセンスがすごい当時っぽい
2000とかだったと思います

 日中、ネットを繋がなくても出来る仕事をし(何と、常時接続ではない時代でした!)夜になると黙々とホームページのアップや更新、描いたイラストを圧縮して会社に送るなど(挿絵は最初の頃はアナログで郵便で送っていたような記憶、途中からデジタルに)、通信作業を行いました。特に、ホームページ案件はアップロードしてから確認・修正・再アップ、みたいな感じで、時間を取られました。

 そして、金額にあまり頓着しなかった私は、相手側が提示する金額で「そんなものだ」と納得し、仕事をこなしていたのですが、時給換算するときっと恐ろしいことになっていたと思います。300円とかじゃないかなー。機材光熱費とかまで含めると、完全に赤字です。仕事すればするほど経費がかさむ、というやつです。

 20歳前後の若造とは言え、あまりにも無知でした。

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