マーケティング7

「原体験」がビジネスを駆動!結果にコミットするライザップのマーケティングトレース

『マーケティング7.0』マガジンの第4回は、結果にコミットするCMで有名なライザップのマーケティングを分析してみたいと思います!

『マーケティング7.0』で開発した「マーケティングエコシステム」というフレームワークを用いて、解説したいと思います!

①ライザップの事業・サービス概要
②マーケティング・エコシステム解説
③今後のマーケティング戦略仮説
④ライザップのマーケティング活動から学べること

マーケティングエコシステムとは

画像1

今回の解説で使う『マーケティングエコシステム』は本マガジンで開発した新しいマーケティングのフレームワークです。

従来のフレームワークが扱っていた市場や競合、顧客などの外部環境だけでなく、創業者や開発者の「原体験」と、そこから生まれる「志」がビジネスを駆動しており、それがマーケティング戦略・組織戦略・サービスオペレーションと連携し、全体の統一感が生まれることで、大きな価値が生まれる、とする考え方です。

では、早速、RIZAPについて分析していきましょう!

①ライザップの事業・サービス概要

まずライザップの事業ですが、週2回、2ヶ月間のダイエットプログラムを、35万円で提供しています。

会員数は10万人前後で、RIZAP関連事業の売上高は100億円を突破しています。

画像2

結果にコミット型のサービスは、ダイエット事業から始め、同様のメソッドをゴルフや英語、ボイストレーニングなどに展開しています。今回はダイエットにコミットする「パーソナルトレーニングジムRIZAP」を中心に紹介していきます。

②マーケティング・エコシステム解説

創業者の原体験
代表の瀬戸さんが高校時代に付き合っていた彼女さんのダイエットをサポートした経験。

高校3年生のとき、付き合っていた女の子がいたのですが、彼女は身長152cmで体重が70kg超とかなり太めの体形でした。
彼女がダイエットをしたいというので、彼女が運動や食事制限をするのを、毎日のように電話やメールで励ましたり、会うたびに「かわいくなったね」と声をかけたりしました。その結果、彼女は3~4カ月で20kg以上の減量に成功して、すごくキレイになったんです。

※参照:https://newspicks.com/news/1737527/body/

さらに、ダイエットは大成功し、彼女は別人のようにきれいになり、「クラスで一番かわいいんじゃない?」と言われるまでになりました。しかもそれだけでなく、不思議と生活面もきちんとしてきた。
また気持ちが前向きになるのか、よく笑い、よくしゃべるようになり、もともと友達の多い子だったけれど、もっと社交的になって交友の輪を広げていきました。

※参照:https://newspicks.com/news/2524293/body/

ちなみに「パーソナルトレーニングジムRIZAP」のサービス自体は、会社の決起会で瀬戸社長が思わず「10kg痩せます・・!」と宣言して、様々なジムやパーソナルトレーニングを経験し、業界に問題に気づいたことがきっかけで着想されたようです。


・『「人は変われる。」を証明する』が経営理念
・中期経営計画では「自己投資産業グローバルNo.1」のビジョンを掲げる
・RIZAPの前は「健康コーポレーション」という会社名でしたが、「心が生き生きとした状態で生活できること」を「健康」として定義。健康上の問題がないだけでなく、人生が豊かな状態を本当の健康だと捉え、それを得られることを会社のゴールに置いている
・現在の社名のRIZAPも、英語のRiza(上昇)とLife(生活)とStyle upを組み合わせ、3つを実現させる想いを込めている

マーケティング戦略
ターゲット:生活必需品産業ではなく、自らを「自己投資産業」と定義。痩せて、キレイになりたい、かっこよくなりたい、健康で輝きたい!という層に訴求。

画像3

あるインタビューで瀬戸社長が語っていた「お客様は筋トレをしたいわけではなく、痩せて自信を持ちたいと思っている」という言葉がRIZAPの本質的な提供価値を物語っています。

マーケティングファネル
■認知
・強烈なBefore→Afterを訴求したテレビCMが有名ですが、同様のフォーマットで、テレビCM、チラシ、看板、電車広告、Web広告で訴求。

・広告に起用するタレントは、ダレノガレ明美さん(28歳・女性)から、DA PUMP・YUKINARIさん(39歳・男性)、佐藤仁美さん(39歳・女性)、赤井英和さん(59歳・男性)、梅沢富美男さん(67歳・男性)まで年齢、性別、を幅広く。

・中高年層の認知度が高い赤井英和さんをCMに起用した際、過去最高の問い合わせがあったようで、それぞれの年齢、性別、職業層にアプローチをすることが有効なようです。

・RIZAPは、もともと、どろ豆乳石鹸・どろあわわ、豆乳クッキーダイエットなどの事業をやっていて、その時は、売上100億円の中で広告宣伝費69億円(!)も使っていたようです。広告のPDCAは相当回していて、反響計測のための電話番号が150以上あるほど。社内に膨大なデータを溜まめています

・さらに結果にコミットし、「30日間、満足できなかったら全額返金保証」のため、実際に痩せる人が多い→痩せた人自身が、友人や知人に口コミして広がる。
※筆者も知人からRIZAPの体験談を語られることが過去に数回ありました。

・「30日間、満足できなかったら全額返金保証」は「お金を払ったのに痩せられなかった・・」というクレーム&ネガティブな口コミリスクを抑えられるのもメリットです。

■情報収集・比較検討

画像4

・2ヶ月で35万円で、競合の数倍(!)の価格設定。本気の人を集客しているので、その人たちの本気の情報収集に応える必要性が高い

・Webサイトの「ライザップとは」階層には、トレーニングメソッド、サポート体制、プログラム内容、リバウンド対策に関する詳しいコンテンツを配置。

・情報収集フェーズで参考にされるWeb上の情報に関しては、アフィリエイターを活用。有力アフィリエイターを強力なパートナーにして、成長してきた側面があるようです。

※参考:ライザップはやっぱり桁違いだった。健康コーポレーションセミナーレポート - しくじりアフィリ先生【じりせん】 http://twisterkun.hatenablog.com/entry/2017/04/05/101214

※参考:テレビCMだけじゃない。ライザップ躍進の裏にWebの力あり | 企業ホームページ運営の心得 | Web担当者Forum https://webtan.impress.co.jp/e/2015/08/05/20559

・さらに「30日間で満足できなかったら全額返金」の安心感も、検討の際に最後のひと押しとして効果を発揮する

■コンバージョン
無料カウンセリングに誘導

画像5

■購入
無料カウンセリング後に入会

■成約・ファン化
トレーニングの提供だけでなく、低糖質フードを扱う「RIZAP FOOD」やサプリメント「RIZAP SUPPLEMENT」を販売。

さらに、
・痩せると以前の服が着られなくなる→グループ内のアパレルブランドへ誘導
・痩せることで美意識が高まる→グループ内の化粧品、美容器具ブランドへ誘導

ファッション、ヘアスタイル、メイク、マナーなどをトータルでサポートする「トータル・イメージ・コンサルティング」事業を開始予定とのことで、様々なライフステージの「自己投資」に対して、サービスを提供しています。

画像6

組織戦略

ここから先は

2,472字 / 1画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?