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BtoB事業のユニットエコノミクスを強くする33個の方法

こんにちは。栗原です。

株式会社才流(サイル)というBtoB営業・マーケティングのオンライン化・デジタル化を支援する会社を経営しています。

職業柄、様々なBtoB企業に関わるのと、自社がBtoB事業を営んでいるため、手元のメモにユニットエコノミクスを強くする方法を書き溜めていました。

ある取材の時にそのメモを参照したので、自分のメモ帳に眠らせず、世の中に公開してみたいと思います。前半でユニットエコノミクスとは?を解説し、後半で具体的にエコノミクスを強くする方法をまとめています。

ユニットエコノミクスとは

● ユニットエコノミクスは、顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)を顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)で割った計算式で求めることができる

● つまり、ユニットエコノミクス = LTV(顧客生涯価値)÷ CAC(顧客獲得コスト)

● LTVは、1顧客が生涯に生み出す利益の合計で、サブスクリプション型のビジネスであれば、1顧客あたりの月次利益 × 継続月数。スポット型のビジネスであれば、1取引あたりの利益 × リピート購買回数で算出できる

● CAC(顧客獲得コスト)は、新規顧客獲得にかかった営業・マーケティング費用の合計を新規顧客獲得数で割った数字

● LTV÷CACが健全な数値以上であれば、収益性のあるビジネスとみなせる。SaaSであれば「3」以上が目安。強いエコノミクスを持つ「ユニット」を積み上げた先に巨大な事業ができ上がる

● BtoB事業において、CACは一定以上かかるが、一定の値で高止まりする。逆にLTVは高止まりすることなく、数百億~数千億のオーダーまで伸びていく

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● ユニットエコノミクス = LTV(顧客生涯価値)÷ CAC(顧客獲得コスト)。CACが一定の値で高止まりする以上、LTVが大きい事業の方がユニットエコノミクスを強くしやすい。100万円の商材Aを売るコストと1万円の商材Bを売るコストは、100倍の差ではなく、数倍~10倍の差

● LTVが大きいとは、許容できるCACが大きい、ということ

● マーケティングの観点では許容CACが大きいと、いろいろなマーケティング施策が選択肢に入り、スケールのスピードを上げやすい。TV CMを打てるかもしれないし、タクシー広告で有名なタレントを起用できるかもしれないし、カンファレンスを主催できるかもしれない

● 営業の観点では許容CACが大きいと、いろいろな営業施策が選択肢に入り、スケールのスピードを上げやすい。ハイスキル、ハイサラリーの営業パーソンを採用できるかもしれないし、がっつりした提案資料を作れるかもしれないし、接待でゴルフに行けるかもしれない。もちろん高額なインセンティブも付与できる

ユニットエコノミクスを強くする方法

● 繰り返すが、ユニットエコノミクス = LTV(顧客生涯価値)÷ CAC(顧客獲得コスト)

● LTVは1顧客あたりの月次利益 × 継続月数で算出できる。1顧客あたりの月次利益を増やすには1顧客あたりの単価を上げるか、原価を下げるかのどちらか。継続月数を増やすには、解約率を下げるしかない

● CACは新規顧客獲得にかかった営業・マーケティング費用の合計を新規顧客獲得数で割って算出できる。営業・マーケティングコストを下げるかしかない

BtoB事業において、1顧客あたりの単価を上げる方法

● より重要な課題を解決する
 - 顧客に大きな価値を提供するから、大きな対価をもらえる

● Must haveな商材を売る
 - 顧客がお金を払ってでも、一ヶ月以内に解決したい課題を取り扱う

● エンタープライズ企業を対象にする
 - 年商1億円の会社では、2億円の製品は買えない

● 経営者を対象にする
 - 経営者の課題を解決することは、会社全体の課題を解決することにつながり、顧客企業に大きな価値をもたらす。結果として、大きな対価をもらえる

● アップセル商材を開発する
 - より上位のプランを用意する。日本では、プロフェッショナルサービス、代行サービスが好例

● クロスセル商材を開発する
 - 初期の提案時からクロスセル商材の導入を含めた、カスタマーサクセスのロードマップを提示しておく

● 成果報酬型を取り入れるか、成果に基づいたプライシングにする
 - 顧客企業に1億円の粗利貢献をする製品なら、原価が1万円でも、2,000万円で売れるかもしれない

● 単価の高い商材を売れるように営業力を強化する
 - カローラを売っていた人がフェラーリを売るのは難しいらしい

● ブランドを作る
 - 目指せApple

● 単純に値上げする
 - 根拠なく、不当に安い金額になっているケースは多い
 - 某外資系企業はここ数年、毎年25%ずつ値上げしている。それ以上の価値貢献をしているため、顧客の離反は起きていない

BtoB事業において、1顧客あたりの原価を下げる方法

● 業務の効率化
 - ITツールの活用、マニュアル化など

● 仕入れ先を変更する
 - 相見積りを取る。もしくはお互いにメリットがある形で価格交渉をしてみる

● 人がやっていた仕事をソフトウェアに置き換える
 - 製造過程やサービス提供過程で人がやっている仕事を見直してみる

● 規模の経済
 - 生産量や生産規模を高めると、単位当たりのコストが低減していく

BtoB事業において、解約率を下げる方法

● より良い顧客体験を提供する
 - 顧客の成功を支援するから、自社も成功できる

● オンボーディングに力を入れる
 - 一度、離反しかけた顧客を後から取り戻すのは難しい。最初の1、2ヶ月が成否を分ける

● 解約率の低いセグメントに営業・マーケティングリソースを集中させる
 - 既存顧客のうち、解約率が低く、LTVの高いセグメントを特定する

● 契約期間を長く提示する
 - 12ヶ月契約、24ヶ月契約を提示し、長い期間で契約するメリットをつける

● 単発ではなく、複数回分をセットで販売する
 - 一回一回営業していると、CACは余計にかかる

● Nice to haveではなく、Must haveの商材を売る
 - Must haveな商材であればあるほど、当然、解約率は低くなる

● 業務プロセスの深くに入り込み、定常的なオペレーションに組み込まれる
 - 多少使いづらくても、リプレイスコストが大きく、使い続けてしまうサービスは多い

BtoB事業において、営業・マーケティングコストを下げる方法

● 営業、マーケティング部門の人件費を下げる
 - あまりオススメしない

● アウトソース可能な領域は自分たちでやらず、変動費化する
 - 例えば、広告運用、事例インタビュー作成、写真撮影、資料デザインなど

● 効率的に営業活動を行う
 - オンライン商談を活用する
 - ECやセルフサーブ型に移行できないか検討する
 - SalesTechに投資する
 - デジタルマーケティングに投資する
 - 接待を禁止にする
 - 人材育成に投資する

● 効率的にマーケティング活動を行う
 - 使っていないツールを解約する
 - WebサイトやLP、営業資料等を改善し、バケツの穴を塞ぐ
 - ペルソナとカスタマージャーニーの理解を深める
 - 人材育成に投資する

● ネットワーク効果
 - 利用者が増えるほど、その製品やサービスの利便性が高まること
 - 一般的な事業ではスケールに伴い、CPAやCACが上昇するが、ネットワーク効果を持つ事業は、スケールに伴い、CPAやCACが下降していく

● 強力な販売代理店
 - 会社として一蓮托生の取組みにするか、販売代理店の営業パーソン個人に大きなインセンティブを付与する

● 口コミで売る
 - 経営者向けやエンジニア向けの商材は口コミが伝播しやすい

● 既存顧客に販売する
 - 既存顧客の同じ部門に売れる新規事業は強い。「◯◯さんお久しぶりです! 当社で新しい製品を作ったのですが、一度ご案内の機会をいただけないでしょうか?」と電話するだけ

● ブランドを作る
 - Apple信者はAndroid端末と比較検討せず、次のモデルが販売されるのを心待ちにしている

● カテゴリにおける第一想起を獲得する
 - 水漏れ・水のトラブル時は多くの人が「暮らし安心・クラシアン」に電話してしまう

● 特権的な技術
 - 世界でその会社しかできないことであれば、コンペもなく仕事がなだれ込む

● コンテンツマーケティング
 - 一度作ったコンテンツは資産化し、数年単位で新規見込み客を連れてくる

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