おおた かつひさ

昭和40年生まれ。 30年以上のビジネス経験。前例の無い仕事経験が多め。でもルーティン…

おおた かつひさ

昭和40年生まれ。 30年以上のビジネス経験。前例の無い仕事経験が多め。でもルーティンワークは苦手。 平時に弱く、有事に強い。 スポーツ観戦好き。特に陸上競技、テニス、カーリング。 noteではあれこれと書きたいことを載せてます。 いつの間にか撮り溜まっていた写真も。

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  • 400字書評集

    400字以内で書いた書評をまとめています。

  • ショートショート集

    思いつきで書いています。短めの超ショートショートが混じっています。

  • スポーツに絡んだ書きもの集

    スポーツに因んだ短い文です。観戦記、スポーツの仕事、スポーツメンタルコーチングなど。

  • 400字エッセイ集

    400字目安の短いエッセイです。テーマは特にありません。その時々の思いつきを書いています。振り返って読むと自分のその時の心情が少し思い出されます。

最近の記事

空港のラウンジにて

    • 書評 209 「チョコレートの世界史」

      チョコレートがどの様に誕生し、世界中に広まったかを概括。後半は英国に偏った記述が増えるが、後書きでその理由がわかる。 西欧でチョコレートが産業化する過程は途中まで砂糖のそれと似通っている。中南米の植民地でアフリカから連れてきた奴隷を酷使して大量生産。違いは砂糖がアジアから持ち込まれたのに対し、カカオは中米原産であること。もう一つは砂糖は甘さ=カロリーなのに対し、カカオは当初は刺激的な薬だったこと。そのカカオと砂糖の組み合わせがチョコレートなので、その歴史を思うと幸せをもたら

      • 書評 208 「ふしぎな社会」

        著作の多い社会学者、橋爪大三郎さんによる中高生向け社会学入門書。文庫化前の原題「面白くて眠れなくなる社会学」の方が内容に合っている。 人間と他の動物の違い。それは言語を介したコミュニケーションと組織的な集団化によって生存可能性を高めること。この様なまとめは一般的によくあるが、そのコミュニケーションや集団の維持に必要な要素を一つずつテーマにして、平易な言葉で説明。さらに元々は人間の集団間での生存競争を勝ち抜くために生じた家族、宗教などにも触れる。 本書の目的からか、幸福や正

        • 書評 207 「ルポ 高学歴発達障害」

          書名にある通り、面談による取材を束ねたルポ。 発達障害者の中に生まれる天才をテーマにしているのではない。有名大学を卒業しながらも、社会適合に苦しむ人々を題材にしている。 発達障害を受け入れる素地は徐々に広がっている。しかし、本書の取材対象となった人たちは高学歴故に周りが発達障害と見てくれない。また、本人もそのギャップの様なものに苦悩する。その現実を著者は示そうとする。 その中にもうまく生きる道を見出した人もいるが、そこには機会やパートナーの助けがある。個々の長所を拾い上

        空港のラウンジにて

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        • 400字書評集
          208本
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          97本
        • スポーツに絡んだ書きもの集
          113本
        • 400字エッセイ集
          88本

        記事

          書評 206 「砂糖の世界史」

          表題からは人間の食文化の歴史、甘いものがどの様に食卓を変えてきたかといった話を期待するが、全く違う。 人間は甘味をカロリーとして本能で欲する。だから対価を払って買う。大量であっても売れる。この前提があって、砂糖が世界商品になっていく過程を記述している。 過程とは主にサトウキビのプランテーションのことで、西欧諸国による中南米とアフリカの植民地化によって形成が加速された。中南米の島々や大陸の土地をバッサバッサと切り拓き、そこにアフリカから奴隷として大量に労働力を注ぎ込んで砂糖

          書評 206 「砂糖の世界史」

          書評 205 「人間の大地」

          「ちいさな王子」(星の王子様)で知られるサン=テグジュペリの私小説的作品。 飛行機の操縦士、いわゆるパイロットを職業としていた著者。高空から地表を眺める。それ自体が特別で、自分が生きる世界への視点が変わる。世界は見方によって姿を変える。壮大な姿は時に過酷でもある。しかし、それを知らなかった自分よりも知った自分の方に価値があると言う。 また、当時の航空機は故障で不時着を余儀なくさせる場面も少なからずあった。航路によっては砂漠や人路の無い山岳地に降りることも。命を失ったり、文

          書評 205 「人間の大地」

          書評 204 「人間はどこまで耐えられるのか」

          面白おかしい科学エッセイの様なタイトルだが、限界環境で人間の身体はどの様になるのかを生理学者が解説した本。一般向けを著者も意識していて学術用語はほとんど出てこないが、単なる身体の反応を紹介するだけでなく、なぜそうなるのかまでが明瞭に書かれている。 高度、水深、高温、低温、宇宙空間、強酸・アルカリ性などの極端な環境と場合分けをして、人類が実際に成し遂げた記録と共に、なぜ過酷な挑戦なのかを解説。また、一般の読者も経験し得ること、例えば高山病や潜水病、熱暑下や吹雪の中で生命を危険

          書評 204 「人間はどこまで耐えられるのか」

          書評 203 「日本アニメの革新」

          日本アニメの歴史解説本は作品のストーリーや設定、いわゆる世界観とかターゲット層に視点をおいたものが多いが、本書は違う。 もちろんその視点も持っているが、制作方法や製作側の経営方針、経営の背景などに言及している。昭和中盤生まれとして「テレビ漫画」の時代からリアルタイムで体験してきた者としては、首肯できるものが多い。 気になったのが「受容」という単語の頻出。需要の誤植では、と思った。実際、素直に読むと需要の方が当てはまる箇所がある。しかし、「需要」も文中に使われているので、意

          書評 203 「日本アニメの革新」

          赤いチューリップ

          赤いチューリップ

          書評 202 「仕掛学」

          他者にある行動をさせたい。そこで、相関する事象をデータから読み解いて導き出す。そんなことを著者は研究していたそうだ。その過程で、どう見ても相関が見出せないのに実際にある行動を導き出しているものが世の中にはある。その気づきから、調査研究を進め、そのまとめとして書き上げたのが本書とのこと。そして、これが学術研究の対象になり得るとして、名付けたのが「仕掛学」。なるほど。 その前振りからすると、実例集が期待される。実際、多数の事例が紹介されているのだが、それだけに留まらない。サンプ

          書評 202 「仕掛学」

          書評 201 「怖い絵」

          名画と呼ばれる西洋絵画。美術館や画集で見て、美しいとか引き込まれるといった感覚を得る一方、凄惨な画面があったり、何か違和感を感じる絵がある。その様な絵を22枚取り上げて、解説をしてくれるのが本書。 見ているのが辛い様な厳しい画ながら、当時の欧州では違和感の無い場面であったことの解説はさらっと読める。しかし、画面以上に辛い背景があったとか、違和感の裏側には作者による隠された世情の批判、あるいは壊れ抱えた精神の発露があったとの解説には思わず顔を顰めてしまう。 それでも読み進め

          書評 201 「怖い絵」

          SS97 「手荷物検査」

          久しぶりの海外旅行を前に、最新のスーツケースを購入した。小さな機械が内蔵されている。その分容量が少ないし、重いのだが、かなり画期的な機能がついている。 移動中に中の衣類を綺麗にしてくれるのだ。 どういう仕組みなのかわからないが、洗濯機がついている様なことらしい。試しに朝、衣類を放り込んでスイッチオン。仕事から帰ってスーツケースを開けてみると、確かに綺麗になっていた。ちょっと皺が目立つが、普段着のTシャツやジーンズなら気にならないレベル。これは良い。 海外旅行出発の当日。普

          SS97 「手荷物検査」

          書評 200 「大胆推理! ケンミン食のなぜ」

          食にまつわる文化史の著作が多い著者によるエッセイ集。都道府県ないし大きな市の特色ある料理や味付けを取り上げて、考察した22編が束ねられている。 著者は生活史研究家を称しているが、歴史学や社会学などの学者ではない。言って見ればライターなのだが視点が面白く、なおかつ等身大というか市民目線で調べて考えているのが読者としては馴染みやすい。 本書では福岡の豚骨ラーメンなど誰でも聞いたことがあるものから、さほど知られていないものまで同列に書かれている。元々は雑誌の連載だったこともあり

          書評 200 「大胆推理! ケンミン食のなぜ」

          書評 199 「OPEN」

          米国シンクタンクのシニアフェローである著者。日本語では評論家になってしまうが、社会の分析・予想を行う専門家が近いか。 人類史を紐解き、人類の優位性とその発展に寄与した最大の要素としてオープン性を挙げている。開放性、受容性と呼んだ方がわかりやすいかもしれない。集団を形成することで地球上の生物の中で圧倒的に力を持った人類。その力の源泉は集団の多様性であり、個々の優位を活かした分業。ならば、その多様性を拡大すれば発展は加速する。わかりやすい論旨の上に史実を挙げて、それを証明してい